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ピアジェ/ピアジェ ポロ FORTYFIVE(1/1) 2009年11月号(No.25)

PIAGET / PIAGET POLO FORTYFIVE

ポロのファーストモデルが誕生したのは、30年前のことである。30周年となった2009年、ピアジェはポロの名を冠した高級スポーツウォッチを当世流の大型ケースでリリースした。クロノスドイツ版編集部が新世代三針モデルを検証する。

PIAGET / PIAGET POLO FORTYFIVE

ポロのファーストモデルが誕生したのは、30年前のことである。30周年となった2009年、ピアジェはポロの名を冠した高級スポーツウォッチを当世流の大型ケースでリリースした。クロノスドイツ版編集部が新世代三針モデルを検証する。

point
・自社製ムーブメント
・視認性が極めて良好
・ケースの作り込みが秀逸

point
・バックルが自然に開いてしまう
・精度が平凡

クロノス評価

ストラップとバックル(最大10pt.):6pt.
操作性(5pt.):5pt.
ケース(10pt.):10pt.
デザイン(15pt.):13pt.
視認性(5pt.):5pt.
装着性(10pt.):9pt.
ムーブメント(20pt.):16pt.
精度安定性(10pt.):7pt.
コストパフォーマンス(15pt.):11pt.
合計:82pt.

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美しい自社製キャリバー。キャリバー800Pは外観的にもトップクォリティである。チラネジ付きテンプの大部分がブリッジの下に隠れているのが、喜びを損なう一滴の苦汁。

ポロ・ジェネレーション

時が経つのは早いものである。1979年当時、ドイツで最も好まれたヒット曲と言えば、Mの"ポップムジーク(Pop Muzik)"やペーター・マファイの"ソー・アー・ユー(So bist Du)"、またパトリック・エルナンデスの"ボーン・トゥー・ビー・アライブ(Born to be alive)"などが挙げられる。同年のサッカー・ブンデスリーガ1部では、VFBシュトゥットガルトと1.FCカイザースラウテルンを抑えたハンブルガーSVが勝者となる。富裕層がテニスやゴルフ、ポロのようなスポーツを満喫していた時代だ。今日ではテニスやゴルフは大衆スポーツとなっているが、ポロだけは唯一、限られた層のスポーツという地位を堅持している。2000年以上前にペルシアで発祥したこの団体競技は、現代に至るまで、限られた人々の間でしか行われてこなかった。ポロの現役選手は皆、高額で世話に大変な手間がかかるポロ用のポニーを少なくとも2頭は所有していなければ、トーナメントへの参加が許されない。このことが、ポロというスポーツが特定の社会層に限定されてきた主な理由なのだろう。現在、ドイツ・ポロ連盟には27のクラブと約300名の現役選手が登録されている。スイスにも少数のクラブがあり、オーストリアでは、ウィーンの近くのエプライスヒドルフやクラーゲンフルト近郊のディーンストル・グートなどに、クラブが集中している。1979年といえば、ピアジェがポロ・コレクションをリリースした年でもある。ポロ・コレクションの時計には、贅沢さと特異性を兼ね備えたポロというスポーツの性格が反映されていた。優れた高級スポーツウォッチにはマーケットが存在することを証明したのは、オーデマ ピゲが72年に発表したロイヤルオークである。パテック フィリップもまた、76年にノーチラスをリリースすることで、同セグメントの重鎮が他にもいることを主張した。79年以来、ポロはこの類型学的グループにおいて第3の重要な代表者を務めており、数多くのバリエーションを生み出している。

ポロのファーストモデルがリリースされてから30年経った2009年、ピアジェは若々しくリニューアルした「ピアジェ ポロ FORTYFIVE」をプログラムのラインナップに加えた。45mmというケース径を与えられた新世代ポロは、ビッグサイズを追う今日のトレンドにもきちんと対応している。直径が32~35mmだったファーストモデルに比べると、革命的な飛躍だ。もちろん、ドーフィンハンドや4時、8時、12時位置のアラビックインデックス、ケースに水平にデザインされたリブなど、ポロ特有のディテールは健在である。
しかも、これらのディテールはさらに進化している。中でも重要な要素を挙げてみよう。分針は長くなって5分ごとに置かれたインデックスまで届き、視認性が格段に良くなった。ねじ込み式リュウズにはめ込まれたラバーパーツは、スポーティな性格を強調するばかりか、グリップ性が向上したことからリュウズの巻き上げも容易になった。さらに、ケースのベースマテリアルも新しくなり、ポロのラインでは今回初めて、チタニウムが採用されている。軽い上に、堅牢でアレルギーを起こしにくいチタニウムは、スポーツウォッチにふさわしい素材である。ケース上に水平に配されたステンレススティールのリブは、チタニウムのベースとほとんど境目がなく、一体化している。スティールとチタニウムのコンビは、ポロのモデルではこれまでなかったものである。批判的精神をもって観察したとしても、ケースには欠点がまったく見つからない。5ピースから成るケースは極めて手の込んだ構造で、感銘を受けるほどの精密さだ。角はエッジが立っているが、尖っているわけではなく、着用時には肌に優しい。5つのパーツの接合部はさらに、全体の造形美にも貢献している。

ラバーストラップはスポーツウォッチにとって、チタニウムやステンレススティールと並ぶ理想的な選択肢である。ポロのストラップを起草したピアジェのエンジニアたちは、ケースからストラップへと流れるポロ特有のラインに新しいニュアンスを加えることに成功した。射出成形のラバーストラップには、上下に2本ずつ、ステンレススティールの小さなパーツが挿入されている。これは、象眼細工を想起させるケースを踏襲したデザインで、4本のスティールエレメントのうち、ケースに近い方のふたつのパーツは、ラグとして機能している。弾力性のあるエレメントの恩恵により、ストラップとケースは硬く固定されず、連結は極めてフレキシブルだ。スティールエレメントは同時に、ストラップの耐久性にも貢献している。ストラップを裏返すと、スティールエレメントがネジでラバーに固定されているのが見える。こうしたディテールからも、"長い耐久性"というキーワードが技術者たちの仕様書のトップに記載されていたことを窺い知ることができる。
この時計の魅力は、なんといっても調和の取れたプロポーションだろう。大きな文字盤はゆったりと設計され、視認性は暗所でも抜群である。それでいてなお、デザイナーたちは、幅の広いベゼルのためのスペースもケースに確保している。湾曲したフォルムの恩恵により、ケースは手首への馴染みが良く、一瞬たりとも頭でっかちに見えることはない。ここにも、ステンレススティール製のトリプルフォールディングバックルに対するチタニウムケースの優位性が表れている。45mmという直径や大型バックルにもかかわらず、重さは110グラムに過ぎないのだ。

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融合措置。ケースからブレスレットへと流れるような移行部は、素晴らしい出来映えである。

5ピースから成るケースは極めて手の込んだ構造で、感銘を受けるほどの精密さだ

バックルの機構もケースと同じように熟考され、時間をかけて丁寧に仕上げられている。ハイライトは、バックルの両サイドにある4個の小さなクラスプだろう。これらのクラスプを操作すると、ストラップをわずかに延長あるいは短縮することができるのだ。取扱説明書で"夏冬ポジション"と呼ばれているこのエクステンション機構は、ストラップをバックルの内部で前後にスライドさせるだけなので、外側からはまったく変化がないように見える。実際、温度変化に応じてわずかに変化する手首の太さに、簡単に合わせることができる。ただ、手首の上で時計の位置を何度直しても、着用時に時折バックルが不用意に開いてしまうことがあったのは残念な点である。
ピアジェが、10気圧の防水性を備えたポロにトランスパレントバックを与えてくれたのは、嬉しい決断である。サファイアガラスを覗くと、極めて美しい自社製キャリバー800Pを鑑賞することができるからだ。ブリッジに施されたサーキュラー仕上げは、ピアジェのムーブメント特有の装飾である。機能は時、分、秒の他、日付表示を備える。日付表示用リングは大きく、ふたつの窓で表示するビッグデイトに勝るとも劣らない。また、扇形の表示窓は、文字盤のレイアウトに心地良く順応している。3日分の日付を同時に表示する日付窓は、高い人気があるものの、必ずしもなければならないものではないが、文字盤の調和を崩す要因にはなっていない。

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特別なハイライト。バックルはクラスプで心持ち延長することができる。

45mmという直径を与えられた新世代ポロは、今日のトレンドにも対応している

パワーリザーブはツインバレルによって約72時間まで確保されている。2万1600振動/時のチラネジ付きテンプは、大部分がブリッジによって隠れてしまっているのが残念だ。クラシカルな振動数だが、秒針が覚束ない様子で進むのは、スポーツウォッチのダイナミズムにはマッチしていない。2006年にリリースされた自動巻きキャリバーは、ピアジェが製作するキャリバーの中で最も新しいラインに属しているが、ここからはすでに数多くの派生キャリバーが生まれている。現在、ピアジェ ポロFORTY FIVEのクロノグラフモデルには、880Pシリーズが搭載されているが、振動数は2万8800振動/時で、800Pよりもハイビートだ。
精度に関しては、残念ながら最高とはいい難かった。ウルムのケルナー時計宝飾店で行った歩度測定器によるテストでは、振り角は安定していたが、マイナス2秒/日からプラス10秒/日までの日差が確認された。着用テストでは、計算上の平均日差がほぼプラス5秒/日だった。

ピアジェは、ドイツでも抜群の知名度の高さを誇っているものの、メンズウォッチに関しては、フレンスブルクからガルミッシュ・パルテンキルヒェンまで(訳注:ドイツ最北端の街と最南端の街。ドイツ中の意)苦戦しているのがこれまでの実情だった。だが最近では、首尾一貫したモデル戦略、数多く発表される新型キャリバー、そしてデザインの好ましいリニューアルなどによって、ピアジェは男性の時計愛好家からも注目を浴びるようになってきた。それでもやはり、三針のピアジェ ポロFORTYFIVEで141万7500円という価格は、購入を視野に入れた場合に考え込む要因になりそうだ。"三針時計""ラグジュアリー""スポーティ""マニュファクチュール"という共通要素によって、すでに述べたロイヤルオークやノーチラスの他、ブランパンのフィフティ ファゾムスや、グラスヒュッテ・オリジナルのスポーツエボリューションなどもポロのライバルである。こうした環境下では、ポロは中間の価格帯に属するモデルだ。客観的に観察すれば、ポロは加工精度が高く、素晴らしい造形美と立派なムーブメントを備えた時計である。有名メゾン以外で選択肢を探している愛好家にとってなら、掘り出し物ではないだろうか。こうしたことから、次のように結論づけてみた。この時計の名付け親であるスポーツ、ポロも、ここしばらくは一般とは無縁の競技に留まるだろうと。

■スペック

製造者:ピアジェ
Ref.:GOA 34010
機能:時、分、秒(ストップセコンド仕様)、日付
ムーブメント:自社製自動巻きキャリバー800P、2万1600振動/時、25石、耐震装置(KIF使用)、平ヒゲ、チラネジ付きテンプ、ツインバレル、パワーリザーブ約72時間、サーキュラー仕上げのブリッジ、ペルラージュ仕上げの地板、ブルースクリュー、直径26.8mm、厚さ4mm
ケース:チタニウム(グレード5使用)、リブ型SS製インサート付き、サファイアクリスタル、6箇所ネジ留め式サファイアケースバック、チタニウムとラバーのねじ込み式リュウズ、10気圧防水
ストラップとバックル:SSエレメント付きラバーストラップおよびエクステンション内蔵SS製トリプルフォールディングバックル
サイズ:直径45mm、厚さ10.8mm、総重量110g
バリエーション:黒文字盤
価格:141万7500円
*価格は記事掲載時のものです。記事はクロノス ドイツ版の翻訳記事です。

精度安定試験 (日差 秒/日、振り角)
文字盤上:+6
文字盤下:+5
3時上:+10
3時下:-2
3時左:+4
3時右:+8
最大日差:12
平均日差:+5.2
平均振り角:
水平姿勢:273°
垂直姿勢:261°

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