ロマンと遊び心あふれるウルベルクの「UR-100V タイム アンド カルチャー」

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2022.05.25

ウルベルクの新作「UR-100V タイム アンド カルチャー」は、ブランド独自のサテライト式時刻表示や天文に関する表示を搭載したUR-100Vシリーズに、古代アステカ人が残した石彫のモチーフをケースに刻んだ腕時計だ。時を綴り、無形のものを書き記し、流れる時間を実体化する。そんな古代へのロマンと悠久の時の流れを感じさせる腕時計である。またこの時計は、シンガポールの時計ジャーナリスト、SJXがウルベルクのふたりにインスピレーションを与えて誕生したモデルでもある。世界でわずか20本のみが製作され、すぐに完売を果たした本モデルの魅力を改めて紹介する。

UR-100V タイム アンド カルチャー

自動巻き(Cal.UR12.02)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。ブロンズ表面加工ステンレススティール+チタン(直径41mm、厚さ14mm)。3気圧防水。世界限定20本。完売(発売価格6万8000ユーロ)。
Originally published on Montres de luxe
2022年5月25日掲載記事

UR-100Vシリーズに「太陽の石」のモチーフをエングレービング

 時・分表示にサテライト方式を採用するウルベルクのUR-100Vシリーズに、時代や文化を超えた時間感覚を備える新作「UR-100V タイム アンド カルチャー」が加わった。

「この新作は、星の下にある私たちの場所や歴史、文化、私たちの頭上にある同じ空を知識の源にして、世界中で行われてきた研究や観察について語っています。私は常に何千キロと離れたところで、時という世界的な共通言語を誕生させた独特な観察が行われてきたことに心引かれてきました」とウルベルクの共同創業者であるマーティン・フレイは語る。

 今回この旅路を具体化するのに、天文に関するインジケーターを備えたUR-100Vは理想的手段だったと言えよう。この旅路の最初の寄港地は、1479年頃の中米の地だ。

「UR-100V タイム アンド カルチャー」のケースには、現在メキシコ国立人類学博物館で所蔵されている、古代アステカのモノリスとして知られる「太陽の石」のモチーフが刻まれている。

 これは直径3.6m以上、重さ24トン以上ある大きな円盤状の石彫だ。モチーフは3つ目の円が月の20日を、4つ目の円が1年260日を表すアステカの暦を基にしている。これが本モデルのブロンズ加工されたステンレススティールケースに刻まれているのだ。

UR-100V タイム アンド カルチャー

時・分表示には、ウルベルク独自のサテライト方式を採用。

SJXの発案をもとに実現

 エングレービングに使用された工具の先端はなんと0.05mmという細さだ。精緻な仕上げを鑑賞するにはルーペが必要なほどである。モチーフの浮き上がっているところはサテン仕上げ、くぼんでいるところはマイクロビーズ加工が施され、立体感が生み出されると同時にビロードのような仕上がりになっている。
 
 実は「UR-100V タイム アンド カルチャー」のインスピレーションの源をウルベルクのフェリックス・バウムガルトナーとマーティン・フレイに与えたのは、シンガポールを拠点に活動する時計ジャーナリスト、SJX(スー・ジャーシャン)だ。2019年の晩夏のことだったという。

「UR-100Vシリーズに、もうひと捻りを加えるのはどうだろう? この時計は世界を股にかけるものなので、ぜひ旅をさせてあげてほしい! UR-103のファーストモデルのように文字盤の一部を覆うことによって、特別な存在になるはずだ」。こうして「UR-100V タイム アンド カルチャー」は中米に錨を下ろすこととなった。

UR-100V タイム アンド カルチャー

ケース素材には表面にブロンズのメッキ加工を程したステンレススティール、ケースバックにはチタニウムを採用。

 フェリックス・バウムガルトナーはさらに付け加える。「この時計にはいくつものキーワードがあり、国を越えた影響力を持っています。アステカにインスピレーションを求め、シンガポール発信のアイデアを基にスイスで製作され、そしてどこかの国の小売店のショーケースに納められ、まだ見知らぬ時計愛好家のお気に召すことになるでしょう。この時計には他にも秘密があります。私たちの作品につながる特徴を隠しておいたのです。目利きの方は、時計を手に取り、シグネーチャーや頭文字、マヤの数字など解読すべき要素を発見されていくでしょう。本当の意味での宝探しです」(例えば肉眼ではほとんど見えない「秘密の署名」としてSJXのイニシャルなども刻まれている)。

 時間の分表示もユニークだ。例えば分針は60分を表示したのち一旦隠れ、速度計のように再びその姿を現す。またフロントカバーの端にあるふたつの開口部には、UR-100の特徴である2種類の天文に関する表示がある。片方には524.89kmの距離が刻まれてる。これは地球が自転により20分ごとに進む距離だ。もう片方には3万5742kmとある。これは20分で地球が太陽の周りを公転する距離だ。このように「UR-100V タイム アンド カルチャー」を手に取ることで、壮大な時間に思いを馳せることができる。


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