ヴァン クリーフ&アーペルの創造性の秘密を探しに

LIFE編集部ブログ
2019.10.25

 10月17日、ヴァン クリーフ&アーペルより新作ウォッチ「レディ アーペル ポン デ ザムルー」が発表されました。これに合わせてフランス・パリではお披露目イベントを実施。このたび恐れ多くも、日本チームの末席に加えていただく機会に恵まれました。
 ヴァン クリーフ&アーペルといえば、1906年にパリのヴァンドーム広場に創業したハイジュエリーブランド。ですが、現在では複雑機構を用いて詩情あふれる世界観を文字盤上に作り出す時計界のファンタジスタとしても揺るぎない地位を確立しています。今回の旅では、新作取材だけでなく、ヴァン クリーフ&アーペルの創造性がどのように生まれているのかを体感することもミッションに加え、行ってまいりました。

ヴァン クリーフ&アーペル

 ヴァン クリーフ&アーペルの時計に関するアーカイブを遡ると、1920年代からはジュエリー加工技術を取り入れた女性用の時計を多く生み出しており、創業後の早い段階から時計製造を手掛けていたことが分かります。当時はまだ、女性たちが公の場で時計を見る行為は好まれない時代でした。しかしそんな中でも、ヴァン クリーフ&アーペルはジュエラーとしての技量を時計製造に応用し、女性たちを魅了するための時計作りの創意工夫を重ねていました。写真は、パリ市内である夜に行われたパーティー会場の一角です。当時のレディスウォッチのいくつかが展示されていました。

ヴァン クリーフ&アーペル

 かたや、こちらはタキメーター付きクロノグラフの表示をすっきりとまとめた同社製の古い懐中時計です。スイス・ジュネーブの社屋を訪れた際に見つけました。女性用の時計も、男性用も、どちらも人々の求めるものをよく研究し、美しく作り出していた姿勢がうかがわれます。

ヴァン クリーフ&アーペル

 長い時間をかけて培った工芸技術と時計製造力を融合させ、豊かな創造力を加えてブランドの新しいアイデンティティとして結実させたのが、創業100周年記念として2006年に発表された「ポエティック コンプリケーション」です。このコレクションからは、物語のある詩的な複雑時計という意味のそのままに、人や自然、妖精のモチーフをはじめ、星や惑星の動きなどを腕時計の文字盤状で表現した作品が次々と生み出されてきました。その最新作が今回の「レディ アーペル ポン デ ザムルー」です。詳細は本誌で別記しますが、この新作では複雑機構を搭載しただけでなく、高度なエナメル技法や装飾技術なども随所に惜しみなく投入されています。これほどロマンチックなストーリー性を求めて全力を尽くすブランドは他にないでしょう。

ポン デ ザムルー

 話を旅に戻します。
 パリ市内ではセーヌ川クルーズにも参加しました。クルーズではパリ1区にあるチュイルリー公園付近から出発し、4区にあるオテル ランベールを超えたあたりまで、実に10本近くの多くの橋をくぐりました。
 時計のモデル名「ポン デ ザムルー(Pont Des Amoureux)」とは「橋の上の恋人たち」を意味するフランス語です。

セーヌ川

 ルーブル近くでは、恋人たちの橋として知られる「ポン デザール(Pont des Arts)」を通過しました。これはパリで初めて金属製の橋として架けられた橋で、かつてはここの欄干の金網に南京錠を取り付ける恋人たちが多くいました。新作の中で、パリのお昼を描いた「レディ アーペル ポン デ ザムルー ジュール ウォッチ」には、これと似た欄干のデザインが登場しています。

セーヌ川

「ポエティック コンプリケーション」のモチーフにはかつて、ノートルダム寺院に近づく少女の姿が描かれたこともありました。クルーズでは、再建を待つノートルダムを見上げる瞬間も。尖塔をたずさえた美しい姿にまた出会えることを祈ります。

ノートルダム

 旅の最終日にはスイスへ移動し、ジュネーブ北部メイランにあるヴァン クリーフ&アーペルの社屋にも立ち寄りました。

ヴァン クリーフ&アーペル

 ヴァン クリーフ&アーペルのジュエリー工房やデザイン部門は主にパリにありますが、それ以外の時計製造に関する開発設計や組み立てなどは、ここメイランで行われています。
 屋外には緑が多く、ガラス窓からは柔らかい自然光が差し込みます。壁面には葛飾北斎をはじめとした国内外のさまざまな絵画や、自社製品の古いデッサンなどが飾られていました。

ヴァン クリーフ&アーペル

 デッサンの中には、2017年の名作「パピヨン オートマタ ウォッチ」の誕生の経緯が垣間見えるこんな美しい作品も。

ヴァン クリーフ&アーペル

 従業員用の通路の一角には、ある哲学的な数式が描かれていました。これが意味するのは、「一定の時間であっても、永遠のように長く感じるときもあれば、一瞬のように過ぎてしまう楽しいときもある。その感覚の差が大きいほど、時間の価値というものは高まる」というところだそうです。
 なお社員の方の多くが、毎朝始業前に右下の数式にある∞マークに触れて気分を高めているのだとか。「時の価値は無限である」。そんな思想を愛する人々が、ヴァン クリーフ&アーペルの時計づくりに携わっていることにも、創造性の鍵が見つけられそうです。


【ニュース】至高の技が息づく、ヴァン クリーフ&アーペルの新しい「レディ アーペル ポン デ ザムルー」が登場
ヴァン クリーフ&アーペル
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