MEMBERS SALON

知られざる高耐磁時計の真価 Part.3(1/5)

ROLEX

高い耐磁性能が評価される現行ミルガウス。その名の通り、1000ガウス(=8万A/m)という超耐磁性に特徴がある。
だが、この時計の美点は、性能もさることながら、時計としてのパッケージングにもある。
インナーケースを持つ超耐磁時計は、普通の時計に比べて大きく、厚くなりがちだ。
しかし、ロレックスは、ミルガウスという超耐磁時計を、常識的な厚さと重さに留めることに成功した。

ロレックス
オイスター パーペチュアル ミルガウス

強磁性合金の磁気シールドとムーブメントの主要部品(パラクロム・ヘアスプリングなど)で1000ガウス(8万A/m)までの高耐磁性を実現。腕時計としてのパッケージングも秀逸である。自動巻き(Cal.3131)。31石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。SS(直径40mm)。100m防水。1000ガウスまでの耐磁性能を備える。72万4500円。
広田雅将:取材・文
Text by Masayuki Hirota
吉江正倫:写真
Photographs by Masanori Yoshie

MILGAUSS

 1950年代半ば、各社はそろって超耐磁時計をリリースした。IWC「インヂュニア」、オメガ「レイルマスター」、そして、ロレックス「ミルガウス」。いずれもムーブメントを軟磁性体で覆い、超耐磁性を与えた時計である。しかし、IWCを例外として、各社は耐磁時計の生産をやめてしまった。理由はいくつかあるが、最も大きな原因は、インナーケースを持つために、時計が大きく、重くなる点にあった。磁気を避けるために大きく重い時計を持つ。磁気にさらされる環境で働いているならともかく、普通の消費者には耐えられないことだったに違いない。

 2007年に発表された新しい「ミルガウス」は、耐磁時計としては相対的に薄いケースと、優れた装着感を実現した時計である。編集部による実測値は厚さ13.4㎜、重さ156g。超耐磁時計にもかかわらず、サイズや重さは常識的な範囲に留まった。

 ただし、時計に超耐磁性を与える手法は、かつてのミルガウスに同じである。ムーブメントを覆う「強磁性合金」が何かは不明だが、1000ガウス(=8万A/m)を意味する「ミルガウス」という名称にもなった高耐磁性は、現行品では最も高いもののひとつだ。加えて、この時計は搭載するムーブメントにも耐磁性がある。ニオブとジルコニウムの特殊合金であるパラクロム・ヘアスプリングは、従来のインバー系ヘアスプリング(ニヴァロックス1)に比べて、より高い耐磁性を持つ。磁気シールドがあっても磁気がムーブメント内部に浸入していると考えれば、ムーブメント部品も耐磁性に優れているに越したことはないだろう。

 実用性と超耐磁性を両立した新型ミルガウス。「食わず嫌い」のユーザーは多いようだが、実用品として考えると、これはお勧めできるロレックスの最右翼である。

Contact info: 日本ロレックス Tel.03-3216-5671


  1 2 3 4 5  
前の記事

デジタルと機械式時計にハマった、男の物語4

次の記事

超高精度機、ブレゲ /クラシック クロノメトリー 7727の魅力を再考する

おすすめ記事

正規時計販売店

正規時計販売店

高級時計を取り扱う全国の正規時計販売店をご紹介。各店が行うフェア情報やニュースもお届けします!

時計ランキング

時計ランキング

その年の新作モデルや、機構、仕上げの完成度など、毎回決められたテーマの中から、優れた10本を時計ジャーナリストたちが選出します。

スペックテスト

スペックテスト

クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!

基礎からの時計用語辞典

基礎からの時計用語辞典

時計の部品、機構、ブランド名など、基礎から専門用語まで、広範囲にわたって解説します。時計の知識を深めるための用語辞典です。

PAGE TOP