自動車とのコラボレーションウォッチの数々(後編)

FEATUREWatchTime
2019.05.15
多くの腕時計ブランドが、自動車メーカーやモーターレース、レーシングチームとのパートナーシップを結んでいる。他にも「ペブルビーチ・コンクールデレガンス」といったプレステージ性の高いカーイベントへの参加や、歴史的なモーターレース、クラシックカーレースのイベントやフェスティバルのスポンサーを行うブランドもある。そして、それらのブランドのほとんどが特定のドライバーや車、イベントとのコラボレーションウォッチを発表している。これらのパートナーシップを通じて、時計ブランドは自動車への情熱を表現し、腕時計を新次元へと推し進めようとしている。ここでは『腕時計と自動車のパートナーシップ』に焦点を当て、そのコラボレーションモデルをお届けする。
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Originally published on watchtime.com
Text by Roger Ruegger


ロジェ・デュブイ
「エクスカリバー スパイダー イタルデザイン エディション」

 ここ数年のうちで、自動車業界とのパートナーシップ強化に特に力を注いだブランドとしてロジェ・デュブイが挙げられる。ロジェ・デュブイは、ランボルギーニのモータースポーツ部門のスクアドラ・コルセとの提携を2017年に発表した(スクアドラ・コルセはこれ以前にはブランパンと8年間パートナーシップを結んでいた)。なおロジェ・デュブイは2016年には、ミラノに拠点を置くタイヤメーカー大手のピレリともパートナーシップを結んでいる。そして「イタルデザイン アウトモービリスペチュアーレ」とそのV10型スーパーカー「ゼロウーノ」とも提携することとなった。ゼロウーノは2017年の第87回ジュネーブ国際モーターショーで発表され、世界限定5台が生産されている。このコラボレーションモデルが世界限定8本で発表された「エクスカリバー スパイダー イタルデザイン エディション」だ。ロジェ・デュブイでは現在これ以外にも自動車関連の限定モデルをいくつか展開している。「エクスカリバー アヴェンタドール S ブルー」「エクスカリバー アヴェンタドール S ピンクゴールド」「エクスカリバー スパイダー ピレリ」などがそれで、いずれもパートナーであるイタリアのカーメーカーが使う素材を腕時計にも採用している。


ロジェ・デュブイ「エクスカリバー スパイダー イタルデザイン エディション」。手巻き(Cal.RD505SQ)。19石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約60時間。カーボンブラックDLCチタン(直径45mm)。50m防水。世界限定8本。2140万円(税別)㉄ロジェ・デュブイ ℡03-4461-8040



パルミジャーニ・フルリエ
「ブガッティ タイプ 390」

 2004年からパルミジャーニ・フルリエはスーパーカー、ブガッティとのコラボレーションモデルを作り続けてきた。2018年のジュネーブ国際モーターショーにおいて、ブガッティは(ヴェイロンの後継モデル)シロンの最新モデルを発表し、パルミジャーニ・フルリエはシロンから着想を得たブガッティ タイプ 390を発表した。このモデルは、ケース素材、カラーなどがカスタマイズ可能で、その購買体験は車をオーダーするのと近いものがあった。
 ブガッティ タイプ 390は取り外しが容易なシリンダー状のムーブメントを備え、ダブルバレルにより約80時間のパワーリザーブを誇る。同軸上にまとめられた輪列、3つの遊星ギア、フライングトゥールビヨンが備えられ、羽のような形状のケースは12°傾斜しており、人間工学的によりフィットする仕上がりとなっている。
 残念ながらパルミジャーニ・フルリエとブガッティは2019年3月に提携関係解消を発表したが、15年にわたり実に良好な協力関係にあったと言える。


パルミジャーニ・フルリエ「ブガッティ タイプ 390」。手巻き(Cal.PF390)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。18KWG(縦42.2×横57.7mm)。30m防水。3400万円(税別)。㉄パルミジャーニ・フルリエ ℡03-5413-5745


ブルガリ
「オクト レトロ マセラティ グランルッソ」
「オクト レトロ マセラティ グランスポーツ」

 ブルガリとマセラティは2012年以降パートナーシップを締結しており、同年にオクトコレクションから、ジャンピングアワー機能を備えたクロノグラフと、分、日付、クロノグラフの4つの表示にレトログラードを採用したモデルを発表した。2017年にはマセラッティのダッシュボードに見られる回転カウンターから着想を得た「オクト レトロ マセラティ グランルッソ」と「オクト レトロ マセラティ グランスポーツ」の2モデルを追加している。キャリバーBVL262を搭載し、いずれもレトログレード分針とジャンピングアワー表示が特徴的だ。マセラティオーナーのみが購入できる、特別な限定モデルとなっている。

(写真1枚目)ブルガリ「オクト マセラティ グランルッソ」。 自動巻き(Cal.BVL 262)。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42日間。18KPG(直径41mm)。100m防水。344万円。
(写真2枚目)ブルガリ「オクト レトロ マセラティ グランスポーツ」。自動巻き(Cal.BVL262)。33石。2万8800振動/時。約42時間パワーリザーブ。ブラックDLC加工SS(直径41mm)。144万円(税抜)。㉄ブルガリ ジャパン ℡03-6362-0100


ウブロ
「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ カーボン イエロー」

 ウブロは2011年にイタリアのフェラーリと提携を開始し、2012年に最初のコラボレーションモデルのビッグ・バンを発表した。フェラーリはウブロ以前にもジラール・ペルゴ(1994年から2004年)やパネライ(2005年から2010年)とパートナーシップを結んだ経歴を持つ。しかし当時のCEO(現会長)であるジャン-クロード・ビバーの手腕のもと、ウブロとフェラーリの関係性は過去にない早さで一気に深まった。この2ブランドのフュージョンは、腕時計ブランドと自動車メーカーのコラボレーション史において最も成功した事例のひとつと思われる。
 フェラーリのロゴである跳ね馬モチーフを冠したモデルをいくつか手掛けた後、フェラーリは時計のプロダクトデザインを行う初期の段階から関わるまでとなっていく。2017年にウブロは、マラネッロにあるフェラーリデザインセンターによって、スポーツカーの開発と同じ創作プロセスでデザインされた、フェラーリ70周年記念モデルを発表した。手巻きキャリバーHUB6311を搭載する「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ カーボン イエロー」だ。カーボンファイバーケース、フライングトゥールビヨンエスケープメント、インターチェンジャブルストラップ、3時位置に大きなレバー式プッシャーを採用している。

ウブロ「テクフレーム フェラーリ トゥールビヨン クロノグラフ カーボン イエロー」。手巻き(Cal.HUB6311)。27石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約115時間。カーボン(直径45mm)。3気圧防水。世界限定70本。1449万円(税別)。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ ℡03-5635-7055


タグ・ホイヤー
「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ アストンマーティン スペシャルエディション」

 モータースポーツとの関わりが特に長い時計ブランドのひとつとしてタグ・ホイヤーが挙げられる。2018年のジュネーブ国際モーターショーでは、タグ・ホイヤーは英国のアストン・マーチンとのパートナーシップを発表した。なおアストン・マーチンは過去に、ジャガー・ルクルト(2003年のアストン・マーチン90周年から2016年にかけて)や、リシャール・ミル(2016年)と提携している。
 タグ・ホイヤーとアストン・マーチンのパートナーシップを祝う最初の時計は「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ アストンマーティン スペシャルエディション」だ。アストン・マーチンのフロントグリルに着想を得たオープンワーク文字盤を持ち、ブラックセラミックスのベゼルにはスピードラインが描かれ、クロノグラフプッシャーはカーエンジンのピストンに似た形状となっている。他にも、ラグの形状がアストン・マーチンの車体のラインを模している点や、アストン・マーチンの名前がベゼルに、ブランドロゴの翼が文字盤に刻まれているといった点が特徴だ。コラムホイール式の自社製自動巻きクロノグラフキャリバー、ホイヤー01を搭載する。

「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー01 クロノグラフ アストンマーティン スペシャルエディション」。39石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。SS(直径45mm)。100m防水。69万5000円(税別)。㉄LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー ℡03-5635-7054