技術革新し続けるトゥールビヨン(後編)

FEATUREWatchTime
2019.06.05

ドイツの自動車メーカーであるアウディは、ブランドのスローガンとして「Vorsprung durch Technik」(技術による先進)を掲げ、先進技術と最新のデザインを自社の製品に詰め込んでいる。人目を引く複雑さがプロダクトの視覚的魅力を大いに高めるという視点は、時計メーカー各社が近年、トゥールビヨン製造を重視していることに共通するだろう。もちろんこれには流行も寄与している。近年発表されるモデルの多くがハイテク性を重視してデザインされていることもあり、トゥールビヨンはデザイン全体に調和しやすいのだ。今回はデザインとして堪能したいトゥールビヨンを選び、前後編に分けてお届けする。
●「技術革新し続けるトゥールビヨン(前編)」を見る

Originally published on watchtime.com
Text by Alexander Krupp

モンブラン
「モンブラン 4810 エグゾトゥールビヨン スリム」

エグゾトゥールビヨン

モンブラン「モンブラン 4810 エグゾトゥールビヨン スリム」。自動巻き(Cal.MB M29.21)。29石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約48時間。18KRG(直径42.0mm、厚さ10.14mm)。50m防水。362万円(税別)。㉄モンブラン コンタクトセンター ℡0120-39-4810

 2016年に発表された「モンブラン 4810 エグゾトゥールビヨン スリム」は、外側という意味のエグゾをその名に冠する通り、キャリッジの外にテンプを置くユニークな構造を持つエグゾトゥールビヨンの搭載モデル。なお、エグゾトゥールビヨンはストップセコンド機構も備えており、秒単位まで正確に時刻設定することができる。特許も取得しているこのトゥールビヨンが、モンブランのクラシカルなデザインの文字盤開口部に美しく組み込まれている。


クリストフ・クラーレ
「エクストリーム1」

クリストフ・クラーレ

クリストフ・クラーレ「エクストリーム1」。手巻き(Cal.FLY11)。64石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KRGxSS(縦56.82x横40.80mm、厚さ15mm)。2気圧防水。アリゲーターストラップ。国内未入荷。㉄ノーブル スタイリング ℡03-6277-1604

 2012年に発表された、クリストフ・クラーレの「エクストリーム1」。個性的な波状模様のダマスカススティールが、この時計の唯一無二な存在感を今も際立たせている。キャリバーFLY11は、ふたつの時・分表示のスケール脇にあるチューブの中に無重力のように浮いて見えるふたつの小球体を有する。そのトリックは、ムーブメントの端にある磁石が上下するのに伴って金属製のボールが移動する仕組みだ。ムーブメントに対してトゥールビヨンは斜めに傾きながら組み込まれる特殊な構造をしている。


ブレゲ
「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」

イクエーション

ブレゲ「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」。自動巻き(Cal.581DPE)。57石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約80時間。Pt(直径43.9mm)。100m防水。2494万円(税別)。㉄ブレゲ ブティック銀座 ℡03-6254-7211

 巧みな設計によって、トゥールビヨンメカニズムと均時差表示(イクエーション・オブ・タイム)、そして永久カレンダーをコンパクトな腕時計に収めたのが、ブレゲの「マリーン エクアシオン マルシャント 5887」だ。通常、文字盤上の小窓で表示されることが多い均時差表示は、本作では時分針と同軸に置かれた針によって示されるように配置されている。また永久カレンダー機構は、5時位置のトゥールビヨンと同軸に重ねられた均時差カムと連動するように組み込まれた。非常に複雑な機構をコンパクトに収め、かつ優れた視認性を実現させた現代のブレゲを代表するコレクションである。


ブルガリ
「オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティック」

フィニッシモ

ブルガリ「オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティック」。自動巻き(Cal.BVL288)。24石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約52時間。Ti(直径42mm、厚さ3.95mm)。30m防水。世界限定50本。1347万円(税別)。㉄ブルガリ ジャパン ℡03-6362-0100

 2014年、ブルガリは厚さわずか1.95mmの手巻きムーブメントにトゥールビヨンを搭載した「オクト フィニッシモ トゥールビヨン」を発表し、トゥールビヨン搭載腕時計として世界最薄記録を樹立した。それから4年後の2018年、ブルガリはこのムーブメントの厚さを変えることなくペリフェラルローターを組み込み、同機を自動巻きモデル「オクト フィニッシモ トゥールビヨン オートマティック」として発展させた。手巻きモデルでは5mmの厚さだったケースは、驚くことに自動巻き化に伴って3.95mmまで薄型化された。ブルガリはこの新しい自動巻きトゥールビヨン搭載腕時計においても再び世界最薄記録を収めている。


タグ・ホイヤー
「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン」

ホイヤー 02T

タグ・ホイヤー「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン」。手巻き(Cal.ホイヤー 02 T)。33石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約65時間。Ti(直径45mm)。100m防水。181万円(税別)。㉄LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー ℡03-5635-7054

「手の届く贅沢」というコンセプトを掲げるタグ・ホイヤーは2016年に、フライングトゥールビヨンを搭載しながら100万円台という価格帯を「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02T トゥールビヨン」で実現し、発表当時の時計業界を驚かせた。タグ・ホイヤーは、新素材の採用や、製造からメンテナンスまでを見据えた計画的なムーブメント開発などを挑戦的に続けている。