ゼニス「デファイ」コレクションが示す、現状打破の姿勢(後編)

FEATUREWatchTime
2020.08.31

1960年代から「デファイ」はゼニスの時計作りにおいて進化を続けてきた。2017年のバーゼルワールドで「デファイ エル・プリメロ 21」を発表し、今やゼニスのフラッグシップのひとつとなったこのコレクションの現在の状況を見ていこう。

前編から読む
https://www.webchronos.net/features/51841/

Originally published on watchtime.com
Text by Roger Ruegger
Edit by Yuzo Takeish


ゼニス「デファイ」コレクション

デファイ ダブルトゥールビヨン

「デファイ ダブルトゥールビヨン」はアバンギャルドなデザインになっており、2つの脱進機と1/100秒まで計測できるストップウォッチ機能を備えている。

5つのプロダクトファミリー

「デファイ インベンター」が発表された2017年、ゼニスは「デファイ ダブルトゥールビヨン」(Ref.40.9000.9020/78.R582がプラチナ、Ref.10.9000.9020/79.R918がカーボン)をリリース。アバンギャルドなデザインには2つの独立した脱進機とストップウォッチ機能が備わり、1/100秒単位の計測を可能にしている。

 またゼニスは「デファイ フュゼ トゥールビヨン」においてフュゼ・チェーン式の伝達装置を再導入。カーボン(Ref.10.9000.4805/78.R916)とプラチナ(Ref.40.9000.4805/75.R582)のバリエーションが用意され、手作業で組み立てられたチェーンは575ものパーツで構成されているという。

デファイ フュゼ トゥールビヨン

「デファイ フュゼ トゥールビヨン」は軽量なカーボンケースとプラチナケースをラインナップし、価格は925万円(税別)から。

 現在「デファイ」コレクションは5つのプロダクトファミリーで構成。1/100秒のクロノグラフムーブメントを備えた「デファイ エル・プリメロ 21」、大型のジャイロスコープモジュール(現在は初期のボリュームの30%)によって調速機構を水平に配置した「デファイ ゼロG グラビティコントロール」、チタンやセラミック、ローズゴールドのケースを採用した「デファイ クラシック」、そして2020年に発表され“21世紀の女性に向けた”レディスコレクション「デファイ ミッドナイト」だ。加えて最近では、「デファイ エル・プリメロ 21」と「デファイ クラシック」のハイジュエリーエディションも展開している。

デファイ クラシック

「デファイ クラシック」コレクションは2018年のバーゼルワールドでデビュー。直径41mmのケースはチタン、セラミック、ローズゴールドをラインナップし、2020年にはカーボンケースとブレスレットも追加。価格は68万円(税別)から用意されている。

宇宙からのインスピレーション

 レディスモデルの「デファイ ミッドナイト」を製作したとき、ゼニスは間違いなく夜空を見上げたことであろう。

 1月の発表時「ゼニスがゼロからレディスモデルを考案したのはこれが初めて」とトルナーレは語っており、直径36mmのステンレススティール製ケースにブリリアントカットのダイヤモンドを配した「デファイ ミッドナイト」のダイアルには、“自分自身の星を追い求める”というブランドの哲学を視覚的に表現している。

デファイ ミッドナイト

グラデーションダイアルを採用したRef.16.9200.670/01.MI001は、星空を表現した6モデルのうちのひとつで、ストラップにはインターチェンジャブルシステムを採用している。価格は94万円(税別)から。

 ダイアルはディープブルーとグレーが用意され、深みを与えるために垂直方向のグラデーションを採用。もちろん、ゼニスのエンブレムである星は、夜空において最も高い位置で輝きを放っている。

 夜空の景色を完成させるのは、さまざまなサイズの星であり、そのなかには暗闇で輝くものもある。ホワイト・マザーオブパールで作られた3つめのダイアルには垂直方向のグラデーションを施し、雲に覆われた夜空の月光を想起させる。

デファイ クラシック レインボー

「デファイ クラシック レインボー」のベゼルにはバケットカットを施した48個のサファイアをセッティングし、チタンケースにはブリリアントカットのホワイトダイヤモンドを配している。

 ホワイトダイヤモンドは、デイト表示のある3時位置を除くアワーマーカーにセッティング。自社製の自動巻きキャリバーであるエリート670を搭載した「デファイ ミッドナイト」は、50時間のパワーリザーブを実現している。

 また、ユーザーが簡単に交換できるブレスレットとストラップを用意しており、状況に合わせて時計の印象を変えることも可能だ。「デファイ ミッドナイト」はフォールディングクラスプとインターチェンジャブルシステムを採用した3本のカラーストラップが付き、スペシャルボックスに収められて販売されている。

ディフェンダーの帰還

「これは私にとって、ゼニスと一緒に生み出した最高のタイムピースである。
-ランドローバー チーフ・クリエイティブ・オフィサー ジェリー・マクガバン-」

 今年1月、ゼニスはイギリスの自動車メーカー・ランドローバーとの4作目となるコラボレーションモデルを発表した。新作「デファイ エル・プリメロ 21 ランドローバー」は、2016年からこれまでに製作された3モデルの時計と同様、クルマに着想を得たタイムピースで、長い歴史を持つ両ブランドが持つ控えめなエレガンスを具現したルックス。時計は、ランドローバーの新型「ディフェンダー」のリリースに合わせて発表された。

デファイ エル・プリメロ 21 ランドローバー

新しい「デファイ エル・プリメロ 21 ランドローバー」(世界限定250本)は、ランドローバーとのコラボレーションで製作された4番目のモデルだ。

 この「ディフェンダー」は、1948年に発表された全天候型のSUVで、アメリカには1997年に販売を中止して以来の上陸となる。そして新作の時計は「デファイ エル・プリメロ 21」をベースとした新しいデザインが採用されており、マイクロブラスト加工とファセット加工が施された直径44mmのケースにスタイリッシュなプッシュボタン、オレンジがアクセントとなっているリュウズを装備。

 ダイアルの質感はケースとマッチしており、外周には1/100秒のクロノグラフカウンター、9時、6時、3時位置にはスモールセコンド、60秒積算計、30分積算計のサブダイアルをレイアウトしている。また、ダイアルにはリニアパワーリザーブインジケーターを搭載しているのもポイントだ。

 搭載するのは50時間のパワーリザーブを備えた自動巻きキャリバー、エル・プリメロ9004。他の「デファイ エル・プリメロ 21」でも採用されている高振動のクロノグラフムーブメントだ。そして、レッドのコーデュラ エフェクトにスーパールミノバのステッチをあしらったブラックラバーストラップが付属している。

夜の怪物

 2020年、ゼニスは新たなフレンドとして、世界的に有名なDJであり音楽プロデューサーであるカール・コックスを紹介した。彼の名を冠した初の時計は、世界限定200本の「デファイ エル・プリメロ 21 カール・コックス エディション」。

デファイ エル・プリメロ 21 カール・コックス エディション

「デファイ エル・プリメロ 21 カール・コックス エディション」は世界限定200本で、カーボンベゼルにはスーパールミノバが塗布されている。価格は206万円(税別)。

 カーボン製のベゼルとストラップのステッチがスーパールミノバによって暗闇で浮かび上がるユニークなモデルだ。オープンワークダイアルの9時位置にはレコード盤を模したスモールセコンドを配しており、まさに“ビートを鳴らし続ける”デザインに。コラボレーションモデルの発表に際し、コックスは次のように語っている。

「自分の音楽への愛を世界中の人と分かち合えるのは、とても幸運だと思う。それぞれが内にパワーを秘めていてビートとダンスを感じることができる。僕の仕事はそのエネルギーを放出し、ダンスフロアにいる人を一体化すること。同じように、ゼニスは時計作りの芸術性を高め、世界と革新を分かち合っている。ハイビートの時計でコラボレーションできたことが、とても自然に思えるよ」と。

 誕生から50年以上経った今も「デファイ」は本来の“パフォーマンス気質”を失っていない。それどころか、多くの派生モデルとコンプリケーションを展開し、スイスの時計業界において創造力の可能性を示す指標となっているように感じられる。


Contact info: ゼニス ブティック銀座 Tel.03-3575-5861


ゼニスの特徴を徹底解説。シリーズやおすすめモデルを紹介

https://www.webchronos.net/features/35362/
なぜ、ゼニス「デファイ インベンター」は革新的なのか?

https://www.webchronos.net/features/36498/
アイコニックピースの肖像 ゼニス「エル・プリメロ」のすべて

https://www.webchronos.net/iconic/14921/