年末スペシャル!! 初めて機械式の高級時計を買う人に Vol.2/ぜんまい知恵袋〜時計の疑問に答えます〜

FEATUREぜんまい知恵袋
2020.12.27

お金も入ったし、いい時計を買おうと思ったあなた。ウェブや雑誌を見たら、ゼンマイで動く機械式時計は高級らしい、趣味としても面白いらしいとある。では、何を買えばいいの?そしてどう使えばいいの?数々の時計を買ってきてやらかした編集長、渾身のアドバイス連載です。

広田雅将

2020年12月27日掲載記事

普段使いで大事なのは、重さではなくバランスです

ブレスレット

Photograph by Takeshi Hoshi

 毎日使う時計を選ぶ際、大事なのは重さ以上にバランスです。とりわけ、ブレスレット付きの時計を場合、時計部分(ヘッド)とブレスレット(テール)のバランスには気を付けましょう。ヘッドだけが重くてテールの軽い時計は、腕を振ると腕上でグラグラしてしまいます。軽いからといってバランスの悪い時計を選ぶと後々、後悔するでしょう。ならば重くてもヘッドとテールのバランスが取れた時計を選んだほうが懸命です。

 見分け方は簡単です。ケースに対して、明らかにブレスレットが薄い時計は、ヘッドが重いと考えて良いでしょう。対して、ヘッドとテールの厚さがそう変わらない時計は、重さのバランスに優れている、と判断して良いでしょう。


意外な伏兵はバックルです

時計,バックル

Photograph by Masanori Yoshie

 時計を買うときに、意外と忘れられがちなのが、“どういう環境で使うのか”です。分厚いスポーツウォッチは、ショックに強く、磁気帯びしにくく、防水性能が高いものが多いです。一方で、ケースが厚く、それに対応させるためにバックルも厚くしてあるため、デスクワークの邪魔になりがちです。1本目にスポーツウォッチを選ぶ人もいますが、デスクワークで使いたいなら、薄いビジネスウォッチを選んだほうが賢明でしょう。

 バックルの選び方はシンプルです。張り出しの小さなものはデスクワーク向け、大きなものはスポーツシーン向けです。初めて買う時計ならば、バックルの大きすぎないものを選んだほうが汎用性は高いでしょう。なお、バックルの中に微調整機能(エクステンション)が入っているものは、微調整が効くため優れた装着感を得やすいです。しかし、微調整機能を入れると、バックルの厚みは増すほか、壊れやすくなるというデメリットがあります。せっかく微調整ができても、普段使わなければ宝の持ち腐れ。自分がどういう使い方をするかで、バックルを選んでみてください。


ブレスレットは固ければ良いとは限らない

ブレスレット

Photograph by Takeshi Hoshi

 今や、色々なメーカーが手掛けるようになったブレスレット付きの時計。選ぶ最低限の条件は、ケースに同じく、なでたときに肌を刺激しないこと。角をきちんと落としていないブレスレットは、装着感が悪いだけでなく、ケガの原因となります。今やそういうブレスレットはなくなりましたが、仮に見つけたら絶対に買わないこと。

 一般的に、左右方向への曲がりが小さいブレスレットほど高級と言われます。しかし、左右方向に適度な遊びがないと、腕輪を巻いたような着け心地になってしまいます。また遊びのないブレスレットは、コマとコマのつなぎ目に負荷が大きくなるため壊れやすくなります。もしブレスレットを選ぶならば、先程述べたとおり、ヘッドとテールのバランスに気をつけること、そして、左右に適当な遊びのあるものを選ぶこと、です。


機械式時計を真面目に使いたければ、身の回りから磁石を追放しよう

耐磁時計

Illustrations by Maiko Kato

 パソコンのスピーカー、スマートフォンのカバー、バッグの留め金など、現在私たちの周りには、当たり前のように磁石があります。最新のモデルの中には影響を受けにくいものもあるとはいえ、機械式時計の大敵は磁気です。磁気を浴びると、機械式時計の時間は大きく狂い、精度が戻らなくなってしまいます。もしあなたが、機械式時計を普段から使いたいなら、極力磁石からは時計を離してください。

 ありがちなのが、スマートフォンの隣に機械式時計を置くこと。今時の時計なら問題は起きにくいですが、アンティーク時計なら間違いなく時間は狂ってしまいます。仮に、磁石を遠ざけられない場合は、時計から最低5cm外すこと。バッグの留め金やスマートフォンのカバーを触る際は、十分に気を付けてください。なお、シリコン製のヒゲゼンマイを採用したり、強化耐磁をうたっている時計は、機械式時計ながらも、磁気には非常に強いです。過信はできませんが、磁気帯びが気になる人は、そういう時計を選ぶのもいいでしょう。


アンティークウォッチはいいけど、一層の注意が必要です

ロレックス,アンティーク

Photograph by John Goldberger

 今時の時計にはない味わいを持つのが、アンティーク時計。しかし、今の時計と同じように扱うと壊れます。防水性がないため、湿気に晒すと時計は錆びますし、1940年代以前のものは、ショックを与えると簡単に壊れます。もちろん磁気にも弱いし、直射日光に当てると、文字盤の塗装が劣化して、文字盤がたちまち変色してしまいます。逆に言うと、その点だけに気をつければ、アンティークは普段使いも可能です。ただその際は、ちゃんと修理して使うことです。修理していない時計を使い続けると、最終的に修理費はかなり高く付いてしまいます。


買う前に、修理費を念頭に置いておこう

時計修理

 意外と忘れられがちなのが、時計の修理費です。ほぼメンテナンスフリーで動くクォーツ式に対して、機械式時計は数年に一度のオーバーホールが必要になります。大半の新品時計ならば、3年や5年、あるいは8年といった長い保証がつくため、初期不良が起きた場合の維持費は安くなりました。しかし、時計を買う前に、修理費は聞いて、維持できる金額かどうかは確認すべきでしょう。高い時計は、買うことよりも維持するほうが難しいのです。


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