正統な系譜に裏付けされたブランパン「ヴィルレ」コレクションを探求する(後編)

FEATUREWatchTime
2021.01.20

ブランパンの「ヴィルレ」コレクションの起源やマイルストーンの数々を探る。1735年の創業から続く歴史と、現代的な複雑機構搭載モデル開発の先駆者としての挑戦などを伝えた前編に続き、本編では特筆すべき現行モデルのいくつかを紹介する。

●前編から読む
正統な系譜に裏付けされたブランパン「ヴィルレ」コレクションを探求する(前編)
https://www.webchronos.net/features/58878/

Originally published on watchtime.com
Text by Mark Bernardo
2021年1月20日掲載

ヴィルレトラディショナル チャイニーズ カレンダー

「ヴィルレ トラディショナル チャイニーズ カレンダー」。自動巻き(Cal.3638)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約168時間。18KRGケース(直径45.2mm、厚さ15mm)。3気圧防水。

 すでにさまざまなタイプのカレンダーウォッチで知られていた「ヴィルレ」コレクションは、中国の伝統的なカレンダー表示モデルを発表することで、再びその世界を広げ、多くの人々の目に触れるようになった。「ブランパンは中国でも長い歴史を持つブランドのひとつだ。私たちは常に中国の豊かな文化に深い関心を持っている。私たちは、太陰太陽暦の基本原理とグレゴリオ暦の日付を組み合わせた象徴的なモデルを導入することで、この古い歴史を持つ文化に敬意を表したいと考えた」とマーク A. ハイエックは述べている。このふたつの時間の基本的な単位が同じではないことは、技術的な複雑さを要した。

「ヴィルレトラディショナル チャイニーズ カレンダー」はブランパンの他のカレンダーウォッチと同様にサーペント針とムーンフェイズ表示を備えた日付表示機能などを備えている。12時、3時、9時位置のサブダイアルと12時位置の開口部の表示は、すべて伝統的な中国の暦を採用しており、現代のグレゴリオ暦とはいくつかの重要な点で異なる。グレゴリオ暦が太陽暦であることに対し、中国の暦は太陰太陽暦で、正確には29.53059日を単位としている。このため1年は12カ月で構成され354.36707日となり、私たちが慣れ親しんでいる365.242374日で構成される太陽暦より約11日間短い。つまり、季節の周期とカレンダーの対称性を保つためには、29日や30日の閏月を連動させる必要があるのだ。基本的に閏月のある年は伝統的な太陽暦より長く、閏月のない年は太陽暦より短い。旧正月の日付が年によって異なるのはこのためだ。

 またこのモデルには十二支、五行、十干(天干)などの要素も組み込まれている。そして1日は24の単位ではなく(十二支に連動する)12に分けられている。伝統的な中国の1時間は現在の2時間にあたるのだ。

ヴィルレトラディショナル チャイニーズ カレンダー

2020年版の「ヴィルレ トラディショナル チャイニーズ カレンダー」のローターは子年にちなんだあしらいがある。

「ヴィルレトラディショナル チャイニーズ カレンダー」の文字盤はグラン・フー・エナメル製だ。12時位置のサブダイアルは24時間とそれぞれに対応したシンボルが表示され、開口部にはその年の干支が表示される。3時位置のサブダイアルは中央に陰陽のシンボル、そして五行と天干が、9時位置のサブダイアルは中国伝統の月、日、閏月が示されている。

ヴィルレ ウルトラスリム

「ヴィルレ ウルトラスリム」。手巻き(Cal.11A4B)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約95時間。Ptケース(直径40mm、厚さ7.4mm)。3気圧防水。284万円(税別)。

 今日の時計業界では、ムーブメントとケースの両方で薄さがエレガンスと結びつく傾向が強まっているが、「ヴィルレ ウルトラスリム」はスレンダーでありながら凝った設計と意欲的な姿勢が見える。2019年に発表され、プラチナケースに収められた直径40mmの「ヴィルレ ウルトラスリム」は、他の多くのヴィルレと同様にブランパンのキャリバー1150をベースにした手巻きキャリバー11A4Bを搭載した。このムーブメントは厚さ3mm弱、ケースの厚さ7.4mmという薄さにもかかわらず、直列に連結されたふたつの香箱によって約95時間のパワーリザーブを備えた。また耐衝撃性や耐磁性を向上させるシリコン製のヒゲゼンマイを搭載した。コート・ド・ジュネーブ装飾を施した大きな受けには、半円形の目盛りを持つパワーリザーブ・インジケーターも取り付けられた。

 また、同様にブルーを基調としながら、より複雑なものとなっているのが「ヴィルレ パーペチュアルカレンダー」である。24Kゴールド製ローターとシリコン製ヒゲゼンマイを備えた自動巻きキャリバー5954を搭載し、3時、9時、12時位置にサブダイアル、6時位置に擬人化されたムーンフェイズを配置。センター秒針のカウンターウェイトには創業者ジャン-ジャック・ブランパンのイニシャルである"JB"のモチーフが施されている。使い勝手の良いラグ下のコレクターで簡単に複数機能の設定やリセットを行うことができ、パーペチュアルカレンダー搭載機の中でも独自の存在感を放っている。

ヴィルレ パーペチュアルカレンダー

「ヴィルレ パーペチュアルカレンダー」。手巻き(Cal.5954)。32石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。Ptケース(直径40mm、厚さ10.7mm)。3気圧防水。

 カレンダーやGMT機構が「ヴィルレ」コレクションのサラブレッドであるならば、ミニッツリピーターやカルーセル、トゥールビヨンは儀式用の馬のようなものだろう。ヴィルレの神髄でもあるこれらは、今まで見たことのないような時計機能の融合を実現している。2018年に発表された「ヴィルレ フライングトゥールビヨン ジャンピングアワー ミニッツ レトログラード」は、1989年に時計業界を揺るがしたフライング・トゥールビヨン搭載機の新解釈版であり、ふたつの機構を盛り込んでさらに複雑なものに仕上がっている。ブランパンはフライング・トゥールビヨンのブリッジを取り除き、透明なサファイアクリスタルに置き換えた。これにより、トゥールビヨンのテンプと脱進機が空中に浮かんでいるかのような視覚効果が得られた。それでも足りんと言わんばかりに、ブランパンはまたジャンピングアワーとレトログラードの表示も搭載した。ゴールドで縁取りされた丸い窓が行うデジタル式のアワー表示はグラン・フー・エナメル文字盤の外観を完成させている。約144時間のパワーリザーブを保持するこのムーブメントはサファイアクリスタル製ケースバックから鑑賞可能だ。

ヴィルレ フライングトゥールビヨン ジャンピングアワー ミニッツ レトログラード

「ヴィルレ フライングトゥールビヨン ジャンピングアワー ミニッツ レトログラード」。手巻き(Cal.260MR)。40石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約144時間。18KRGケース(直径42mm、厚さ11.5mm)。3気圧防水。1461万円(税別)。

 ハイエックはこうも語った。「約40年にわたり、ヴィルレの村の名はブランパンの最もクラシックなコレクションの名称として知られてきた。これは時計製造の芸術性の確立と発展に貢献した何世代にもわたる才能ある人々の魂を反映している」。「ヴィルレ」コレクションによって、ブランパンは時計メーカーの可能性を見いだしてきただけでなく、強固で永続性な基盤を築き上げることで精神的に「故郷へ帰る」ことを示したのだ。


Contact info: ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233

正統な系譜に裏付けされたブランパン「ヴィルレ」コレクションを探求する(前編)

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