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A.ランゲ&ゾーネ/ランゲ1 Part.3(1/1)

LANGE 1
新型ムーブメントを搭載するフルリニューアル版

ランゲ1
キープコンセプトで一新されたランゲ1。搭載するのは、フリースプラングと大径テンワを載せたCal.L121.1である。ムーブメントのサイズは前作にほぼ同じ。しかし設計の全面的な見直しにより、性能は大幅に向上した。加えて瞬間送りが可能になったアウトサイズデイトや改善された装着感、引き出しやすくなったリュウズなど、見直し点は多岐にわたる。手巻き。Pt(直径38.5mm)。30m防水。490万円。
広田雅将:取材・文 奥山栄一:写真

 2015年に全面リニューアルを受けた新しいランゲ1。その外観は、意図的にほとんど変えられていないが、中身は大きく進化している。旧作が搭載したムーブメントはL901.1。輪列の基本設計を1992年初出のジャガー・ルクルト822(≒818)と共用し、それをダブルバレル化したムーブメントであった。ちなみに香箱を増やすというアイデアをギュンター・ブリュームラインに提案したのは、かのウォルター・ランゲ。つまりA.ランゲ&ゾーネの愛好家には真に価値ある機械だったが、他のムーブメントが刷新される中で、その基本性能がいささか見劣りするようになってきていたのも事実である。

 しかし幸いにも、再興から20年以上を経た現在、A.ランゲ&ゾーネは転用できる〝モジュール(駆動輪列)〟を多く擁するに至った。そこでA.ランゲ&ゾーネの設計陣は「デイマティック」の一部輪列を転用した新型ムーブメント、L121.1を新規開発し、満を持してランゲ1に搭載したのである。

 新ムーブメントの特徴は3つある。まずは正味110時間以上というロングパワーリザーブ。それを約72時間に抑えることで、主ゼンマイのトルク落ちを抑制している。次が効率を高めた駆動輪列。4番車を駆動する中間車をふたつ省くことで、輪列のトルクロスは減少した。そして最後が慣性の大きなテンプとフリースプラングの採用。これにより理論上の等時性と精度はいっそう改善された。アウトサイズデイトが瞬時に切り替わる点も、ユーザーには有益な改良だろう。

 新旧のランゲ1を並べてみても、デザインからその違いを見分けられる人は少ないだろう。しかし裏側から見れば、その進化は言わずとも明らかだ。キープコンセプトでプロダクトを熟成させるA.ランゲ&ゾーネ。その堅実な姿勢には心から敬意を表したい。

(左上)同じように見えるランゲ1の文字盤だが、世代によってわずかな違いがある。2015年版の文字盤はCal.L901.0搭載モデルの最後期とほぼ同じ。しかし文字盤の彫り込みがわずかに深くなり、インデックスやロゴの印字も細く明確になった。造形に立体感とメリハリを加えるモディファイか。(右上)ラグもわずかに手が加えられた。肩を落としたシェイプは典型的なランゲ流。しかし細身になったベゼルに合わせて、ラグもわずかに細くなった。デザインを統括するアントニー・デ・ハス曰く「デザインを変えたくなかったが、今後20年を変わらずにいるために少し手を加えた」。(中)大きく変わったのがプロファイルだ。新型のケース厚は旧型より0.2mm薄い9.8mm。しかしミドルケースを下げた結果、リュウズは適切な位置に置かれ、造形が改善されている。また近年のA.ランゲ&ゾーネでは、ケースとリュウズの間にクリアランスを設けることが通例である。(左下)細かくメリハリを増した造形。旧作に比べて細くなった印字や、深く彫られたサブダイアルが見て取れる。また日付表示もわずかに拡大された。新旧のランゲ1はほぼ同様の外観を持つが、ケースや文字盤などを仔細に見ると、共通する外装部品がほとんどないことが分かる。(右下)大きな進化を遂げたのがムーブメントである。600g・mmという主ゼンマイのトルクは、前作Cal.L901.0とほぼ同じ。しかしテンプの慣性モーメントは13.85㎎・㎠と、前作に比べて2倍以上もある。またヒゲゼンマイも精度の高い自社製に変更されている。フリースプラング。


Contact info: A.ランゲ&ゾーネ Tel.03-3288-6639


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