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ブルガリ/ブルガリ・ブルガリ Part.3(1/3)

2013年に発表されたCal.ソロテンポ。ベースは第4世代のBVL168とされる。基本は右の個体に同じだが、スイッチングロッカーに噛み合う中間車が肉抜きされている。理由はおそらく自動巻き機構の慣性低減だろう。理論上は良好な精度と、大トルクによる高い安定性を誇るはずだ。


広田雅将:取材・文 奥山栄一、吉江正倫:写真
[連載第17回/クロノス日本版 2013年9月号初出]

ブルガリムーブメント開発小史
巻き上げ機構と仕上げの進化

2000年以降、急速に生産体制の垂直統合を進めたブルガリ。
外装に始まったその取り組みは、やがて自社製ムーブメントの開発に行き着いた。
2010年の「Cal.BVL168」、そして2013年に発表された「Cal.BVL191(現Cal.ソロテンポ)」である。
如何にしてブルガリは、初の自社製自動巻きを完成に導いたのか?
その改良の記録は、時計メーカーとしての熟成の足跡に他ならない。


 ウォッチメイキングの分野での大成功にも係わらず、ブルガリは長年、自社製のベースキャリバーを持たなかった。たしかに複雑時計は、傘下のダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタ(現在はブルガリに統合)で開発していた。しかしそれ以外は一貫して、汎用エボーシュであった。同社が用いたETAやフレデリック・ピゲの精度と安定性を考えれば、強いて自社製に固執する必要はなかっただろう。

 しかし、いわゆる〝2010問題〟が表面化して以降、ブルガリは製造工程の垂直統合を、さらに推し進めることになる。05年には、文字盤メーカーのカドラン・デザインとブレスレットメーカーのプレステージ・ド・オールを買収。07年にはケースメーカーのフィンガーを傘下に収めた。残った課題は、言うまでもなく、ベースキャリバーの製造体制を確立することだった。

 07年末に始まった、ヌーシャテルのブルガリ・タイムを中心とした自社製ムーブメントの開発計画は、まずレトログラード・デイトのモジュールとして結実。次いで発表されたのが、10年の自動巻きムーブメント「キャリバーBVL168」であった。

 BVL168の開発にあたって、ブルガリは4つの条件を立てている。①ブルガリ初の自社製自動巻きベースキャリバーであること。②デザインと設計は、精度を満たすものであること。③その設計は大規模製造と生産に対応できるものであること。また最も厳密な工業水準を満たすものであること。④そのムーブメントは多様な複雑モジュールを駆動するために、十分かつ強いトルクを持つこと。

 実際に完成したBVL168は、直径25.6㎜、厚さ4.75㎜という分厚いムーブメントであった。モジュールを載せるなら、ムーブメントは薄いほうが望ましい。しかしブルガリは初の自社製ムーブメントに、薄さよりも頑強さを求めたのである。

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