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シャネル/J12 Part.3(1/2)

J12 PHASE DE LUNE
ムーンフェイズを搭載するブランニュー

J12
ファーズ ドゥ リュヌ

ポインター式のデイトとムーンフェイズ表示を備えた新作。搭載する機構はコンベンショナルだが、この時計はディテールが際立って良い。立体感と仕上げという現在のシャネルの文脈を忠実にトレースしている。インデックスと完全に重なった針にも注目。他モデルからの流用ではなく、新規に起こしたものだろう。自動巻き。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。ハイテク セラミック(直径38mm)。100m防水。91万2500円。
広田雅将、鈴木裕之:取材・文 吉江正倫:写真
[連載第18回/クロノス日本版 2013年11月号初出]
※価格、内容は2018年4月現在のものに改訂してあります。

 2013年に発表されたプチコンプリケーションが「J12 ファーズ ドゥ リュヌ」である。「J12 マリン」やハイ ジュエリーモデルを例外として、モノトーンを貫いてきたシャネル。しかし仕上げの多様化に合わせてか、このモデルではインデックスなどにブルーが彩色されている。

 J12 ファーズ ドゥ リュヌとは、言ってしまえばポインターデイト付きのムーンフェイズである。しかしありきたりの時計とならなかったのは、ここ数年の、細部に対するシャネルの執念故だろう。6時位置のムーンフェイズは、ムーンディスクが回転するのではなく、アベンチュリン製のサブダイアル上を針が回って月相を示すもの。こういった試みは過去にもあるが、シャネルらしいのは、鉱物がバランス良く散らばった良質のアベンチュリンを採用した点にある。星空に光る星を表現するには、石英に内包される鉱物がバランス良く散っている必要がある。筆者の見た限りだが、これほど良いアベンチュリンを採用したムーンフェイズは初めてではないか。加えてシャネルはその上にツヤのあるラッカーを吹き、表面を平たく均している。

既存のJ12に対して細くなったベゼル。加えて風防を固定する銀枠を太くすることで、実際以上にベゼルは細く見える。ベゼル上の数字はバーに変更された。

6時位置のムーンフェイズ。良質なアベンチュリンにラッカーをかけ、その上におそらくシールで4つのムーンフェイズを転写している。質感と立体感は見事というほかない。


 ツヤを強調したムーンディスクに対して、文字盤はやや強めのツヤ消し仕上げ。レイルウェイトラックとロゴは、おそらくシール転写となっている。マットな「地」と対比させるためにツヤを出したかったのだろう、針も塗装からロジウム仕上げとされている。

 やや意地の悪い見方になるが、完成された意匠とモノトーンという色彩故に、J12は初出のモデルを越えられないのではないかと筆者は疑っていた。しかしシャネルは本作で、筆者の想像を軽やかに越えてみせた。それを実現したのは、ジャック・エリュがいうところの「精密さ」に対する執念だろう。

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