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オメガ/スピードマスター Part.2(1/4)

生まれ変わるスピードマスター
カルトウォッチから現代的なスポーツモデルへ

“ムーンウォッチ”の名とともに、月面着陸の伝説とともに多く語られてきたスピードマスター。
その優れた設計を見れば、NASAの公式クロノグラフに選ばれた理由も納得できる。
とはいえオメガが一貫して、スピードマスターとクロノグラフをメジャー化するべく心を砕いてきたことも、銘記されて然るべきだろう。

広田雅将:取材・文 吉江正倫:写真
[連載第23回/クロノス日本版 2014年9月号初出]

スピードマスター
[ST105.003/ST145.003]

1964年初出。リュウズガードのないST105.002(62年初出)の後継機である。生産は65年まで。しかし69年春に、50本のST105-003が製造されたと記録にある。なお67年以降、リファレンスはST145-003に変更された。手巻き(Cal.321)。17石。SS。参考商品。撮影協力:ケアーズ

スピードマスター
[CK2998]

1959年に発表されたCK2998。アルミ製のベゼルを持つほか、針の形状などが改められた。CK2915に見られる試行錯誤は、以降ほとんど見られなくなった。いわばスピードマスターの原型機である。基本スペックはCK2915にほぼ同じ。参考商品。撮影協力:ケアーズ☎03-3635-7667


 『クロノス』ドイツ版で編集者を務めるイェンス・コッホはこう語る。「現在はともかく、かつてのスピードマスターとはカルトウォッチの代名詞的存在だった」。

 かつてスピードマスターを含むすべてのクロノグラフは、日本市場とドイツ市場を除いて、専門家向けの時計と考えられていた。中でもスピードマスターが〝カルト〟と称されてきた理由は、大きく3つある。ひとつは文字盤の色。専門職をイメージさせる黒文字盤は、日本以外ではポピュラーではなかったのである。もうひとつの理由が「ムーンウォッチ」であること。月面に降りた時計という称号は、スピードマスターに圧倒的な知名度を与えたが、反面、専門職向けというイメージをいっそう強調することになった。しかし最も大きな理由はケースサイズだろう。40㎜を超えるスピードマスターのケースは、1990年代に入っても、多くの一般ユーザーにとっては、持て余すほど大きなものだったのである。

 ちなみにスピードマスタープロフェッショナルが載せたレマニア321と、後継機の861はかなり小さなムーブメントである。小振りな防水ケースに収めることは容易だったし、事実オメガはそれを意図して、直径27㎜でクロノグラフを作ってほしいとアルバート・ピゲに依頼している。

 しかし新しいクロノグラフを作るにあたって、その開発チームは小さなクロノグラフムーブメントを、小振りなケースに収めようとは考えなかった。理由は〝スピードマスター〟というモデル名が示す通りだ。

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