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A.ランゲ&ゾーネ/1815 Part.3(1/2)

デザインバランスを突き詰めた現行40ミリケース
1815 [Ref.233.032]

1815[Ref.233.032]
2009年初出。搭載するのは直径30.6mmの新型ムーブメント、Cal.L 051.1である。性能は劇的に改善され、サイズも現代風になったが、デザインバランスは不変だ。手巻き。23石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KRG(直径40mm)。30m防水。237万円。
広田雅将:取材・文 吉江正倫:写真
[連載第26回/クロノス日本版 2015年3月号初出]

 2009年に発表された新しい1815は、A.ランゲ&ゾーネの成熟を感じさせる傑作であった。ケースの直径は35.6ミリから40ミリに拡大。しかしデザインは旧モデルとほぼ同じであった。その理由は搭載するムーブメントも拡大させたため。もっとも、かつての「グランド・ランゲ1」が採用した手法のように、ただ地板と受けを伸ばして帳尻合わせをするのではなく、最新のスペックを盛り込んだ手巻きムーブメントを新造した点に、A.ランゲ&ゾーネの、時計メーカーとしての進化がある。

 もちろんかつてのL941系も優れたムーブメントであった。原型機は、そもそも精度の出せるムーブメントとは言い難かったが、毎年のように小改良を加えることで、A.ランゲ&ゾーネはこのムーブメントの精度を大きく改善したのである。ただし直径25.6ミリというサイズは、2000年代の手巻きとしては小さすぎた。どう対処するのかと思っていたが、まさか設計そのものまで変えてくるとは、というのが偽らざる感想であった。

 加えてA.ランゲ&ゾーネのデザイナーたちは、1815のリニューアルに際して、細部を詰めてきた。一例が中心を凹ませた文字盤である。「1815 アップ/ダウン」で採用されたこの手法は、ダイアルの〝間〟を解消するには優れた手法だ。またラグも、現代風に若干太くされた。気付かないほどのわずかな変更だが、こういった積み重ねが1815の意匠をアップデートさせたことは事実だ。

 かつての1815も非常に魅力的な時計である。しかし筆者の私見を言うと、時計として考えるなら、新しい1815のほうが勝っている。見た目は相変わらずシンプルだ。しかしこれは掛け値なしに、現行最良の3針手巻きのひとつと断言していい。

(左上)旧作同様、文字盤は表面を荒らした925シルバー製。ただしサプライヤーの変更に伴い、印字の質はさらに向上した。立体感はそのままだが、エッジのびびりは格段に小さくなっている。また1815 アップ/ダウン同様、文字盤の中心にはわずかな凹みが設けられた。立体感を加えるには良いアイデアだ。(右上)青焼きに変更された針。色や立体感は申し分ない。袴座の磨きも完璧である。(中)ケースサイド。スリークさを強調した前作に対して、このモデルには重心を下げようとする意図が見え隠れする。ポイントは、低い位置に取り付けられたラグ。2000年代の後半以降、側面が平板になりがちなシリンダーケースの弱点を克服すべく、A.ランゲ&ゾーネはラグの取り付け位置などに工夫を凝らすようになった。なおケースの磨きは、かつてのモデルよりはるかに改善された。(左下)搭載するのは、新規に設計されたL051.1。フリースプラング化されただけでなく、約55時間のパワーリザーブを持つ。なおL051系の直線状に置かれた駆動輪列は、このムーブメントに非凡な拡張性をもたらすことになる。(右下)旧作との大きな違いが、短く、太くなったラグ。全長を抑えるため短く切り落とされ、また幅が広くなった。1815に「現代味」を加えるための試みか。
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