ウブロ/ビッグ・バン[ウニコ&コンプリケーション編]Part.3

FEATUREアイコニックピースの肖像
2018.08.07

ビッグ・バン10周年でさらに加速する
自社製コンプリケーションの搭載

個性的なデザインと打ち出しで人気を得てきたビッグ・バン。しかしその商品構成に偏りがあったことは否めない。
トゥールビヨンなどのハイエンドと、ウニコの間を埋めるモデルがほとんど存在しなかったのである。
しかし開発体制の充実は、ビッグ・バンに待望のプチコンプリケーションを加えることになった。その物堅い設計は、メーカーとしての成熟を感じさせるものだ。

広田雅将、鈴木裕之:取材・文 吉江正倫、三田村 優:写真
[連載第31回/クロノス日本版 2016年1月号初出]
R&D部門の責任者を務めるマティアス・ビュッテ。旧BNBコンセプトの創業者である彼は、ウブロに吸収されたことに伴い、同社の開発チームを率いることになった。


 ウブロが複雑機構の開発を得意とする旧BNBコンセプトを吸収して、R&D部門を充実させたのは2010年のこと。天才マティアス・ビュッテの招聘により、製品開発のスピードは急激に上がった。

 しかし、である。BNBの吸収以前に、ウブロはすでにムーブメント開発のノウハウを持っていたことは強調しておきたい。開発の責任者を務めてきたのは現CEOのリカルド・グアダルーペ。ビバーの陰に隠れて目立たないが、彼はキングゴールドや自社製ムーブメント「ウニコ」の開発を牽引した、辣腕のプロダクトマネージャーでもあった(正式な肩書はゼネラルマネージャー)。

 2004年、ウブロの立て直しに招聘されたビバーとグアダルーペは、自社での開発力を高める一方で、外部メーカーとの協力も深めるという方針を定めた。事実ビバーは、外部メーカーとの協力関係を隠そうとしない。「HUB44と薄い手巻きムーブメントはラ・ジュー・ペレの協力を得て開発したもの。汎用ムーブメントはセリタから購入したものだ」。そう考えると、ウブロがセリタを採用し、やがてラ・ジュー・ペレやBNBコンセプトとの関係を強めたことも理解できる。

 そこに旧BNBコンセプトが加わったことで、現在のウブロは、他社もうらやむような開発体制を持つに至った。結果、何が変わろうとしているのか? 具体的にいうと、ウブロはハイエンドモデルに集中させていた開発リソースを、プチコンプリケーションにも振り分られるようになったのである。

 2015年の新作を見れば、変化は明らかだ。発表された3つのプチコンプリケーションは明らかにハイエンドとウニコの間を埋めるプライスゾーンにある。デザインで市場を牽引してきたビッグ・バンは、今後、内実をさらに充実させることになるだろう。