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オメガ/シーマスター300 Part.2(1/4)

オメガが挑んだ初の高圧防水時計、その構造と発展

軍用パイロットウォッチを民生用に仕立て直し、1948年に登場した「シーマスター」は優れた防水性で他社を圧倒したが、
50年代になってブランパンやロレックスが本格的なダイバーズウォッチを投入したことにより、更なる性能アップを余儀なくされた。
先行他社とはまったく構造の異なる独自ケースを備えた高圧防水時計として、「シーマスター 300」は生み落とされることになる。

(左)[アーマードガラス]
200m防水を可能にしたカギが、変形しにくいアーマードガラスである。防水性を高めるために厚みを増した点は他社に同じ。しかしスティール製のリングに固定して変形を抑えたのが、シーマスター 300の独自性であった。
(右)[ナイアス高耐圧リュウズ]
ギリシャ神話に登場する水の妖精(英:Naiad)にちなんで名付けられた“ナイアス式”のリュウズ。水圧を受けるとリュウズ内のラバーが収縮し、気密性を高める。しかし、第3世代以降はリュウズがねじ込み式に変更されたため、ナイアス式を用いる意味は失われた。
広田雅将:取材・文 吉江正倫:写真
[連載第32回/クロノス日本版 2016年3月号初出]

 創業100周年を記念して、オメガは1948年にいくつかのモデルをリリースした。そのひとつが防水時計の「シーマスター」である。その広告には次のように記されていた。「オメガ シーマスター、アクティブな男性のための時計。あなたの前に2万6000名のパイロットが使用」「オメガ シーマスターにはすでに歴史があります」。キャッチコピーが示す通り、そもそもシーマスターとは、オメガがR.A.F(イギリス空軍)に供給したパイロットウォッチを民生用に仕立てたモデルだった。

 シーマスターがいかに画期的だったかを少し述べたい。当時の防水時計は、大半が防水用のガスケットを持たないか、あっても鉛やシャラック製の不完全なものだった。そのため十分な気密性は期待できなかった。

 気密性、つまりは防水性を改善する切り札として、オメガはニトリル製のOリングに注目した。40年代初頭、航空機メーカーのノースロップが採用したOリングは、たちまち連合国軍に普及。それをオメガはR.A.F用のパイロットウォッチと、民生用の防水時計シーマスターに転用したのである。時計での採用例としては初の試みだろう。

 Oリングで気密性を確保したシーマスターは、本当の意味での近代的な防水時計だった。54年にオメガは、スイスの時計研究所でシーマスター用のケース50個をテスト。60mの防水性と、−40℃から+50℃までの気温変化に耐える性能は他社を圧倒していた。

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