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ブライトリング /エアロスペース Part.2(1/2)

進化を続けるハイブリッドクォーツの変遷

ブライトリングのコレクションの中でも、よりプロフェッショナルユースを指向するエアロスペース。
1985年の第1作から現在まで、そのバリエーションは大きく5世代、細かく言えば12のリファレンスに分類できる。
その進化を見ていくことにしよう。

広田雅将:取材・文 吉江正倫、三田村優:写真
[連載第33回/クロノス日本版 2016年5月号初出]

エアロスペース アヴァンタージュ[Ref.E79362]
2005年初出。クォーツクロノメーターにバックライトを備えたCal.79を搭載。EはTiケースの略称。発表当初は18KRGケースもあったが、後年はTiのみに一本化された。なおアヴァンタージュの名称は1年間のみ使われた。クォーツ。7石。Ti(直径42mm)。100m防水。参考商品。

エアロスペース[Ref.F56062]
1994年にリリースされた通称“エアロスペースⅡ”。液晶下部を大きくし、視認性を高めている。写真は限定版の「パトルイユ・ド・フランス」。なおRef.ナンバー頭のFはビコロケースを示す。クォーツ(Cal.56)。7石。Ti(直径40mm)。100m防水。世界限定1953本。参考商品。

 

 1985年以降、進化を続けるエアロスペース。基本設計は第1作からほぼ変わっていないが、ブライトリングの常で細部の変更は極めて多い。

●Ref.80360。1985年初出。TN液晶を備えたデジアナムーブメントのETA988.332を搭載。アナログとデジタルが完全に同期する他、リュウズだけで複数の機能を操作できた。消費電力を抑えるため、ステップモーターの運針は30秒に1回。最初期形の文字盤はインデックスがプリント仕上げ。後にインデックスはエンボス加工+夜光塗料に改められたが、詳細は不明。文字盤のロゴと裏ブタの刻印は「NAVITIMER」。直径40㎜。100防水。

●Ref.56059〜56061。90年初出。ETA988にはキャリバー56という自社ナンバーが与えられ、それに伴いリファレンスが変更されている。以降インデックスはエンボス仕上げ。またリュウズに戻し用のスプリングが内蔵される。交換用のムーブメントは、積算計にスプリット表示が追加され、ドイツ語表示の加わったETA988.333.1(ただしブライトリング名は同じくキャリバー56)。文字盤のロゴは「NAVITIMER」と「AEROSPACE」が混在。裏ブタの刻印は「BREITLING NAVITI MER」か「BREITLING 1884」。

●Ref.56062。94年初出。通称〝エアロスペースⅡ〟。下段の液晶表示が拡大され、視認性が改善した。TN液晶の品質が安定した結果、表示面積を広げてもムラが出にくくなったためといわれる。ベゼルの刻印はバーから数字とバーの混在に変更。交換用のムーブメントは、スーパークォーツのキャリバー76(ETA988.352.1)。液晶の大きさ以外はETA988.333.1に同じ。

Cal.56系ことETA988の展開図。非常にコンパクトな輪列は、1976年のETA940に始まる「フラットライン」の設計を受け継ぐもの。加えてETA988には、時分針の正逆回転を可能にするツインモーターが採用されている。

 ●Ref.56062.1/65062。96年初出の〝レペティション・ミニッツ〟。搭載するのはリピーター用のキャリバー65(ETA E10.391)。キャリバー65を搭載するが、最初期形のリファレンス頭は「56」。文字盤の書体がイタリックに改められた。

 ●Ref.65362。99年初出。〝レペティション・ミニッツ〟のクロノメーター仕様。キャリバーナンバーは同じく65だが、ETAのムーブメント名はE10.391.5。65のクロノメーター仕様は非常に珍しいが、文字盤にクロノメーターの表記は無い。

 ●Ref.75362。2001年初出。温度補正ICを持つスーパークォーツ仕様のキャリバー65を示すナンバーとして、新たにキャリバー75が設定された。文字盤にクロノメーター表記を追加。

 ●Ref.79362。05年初出の「エアロスペース アヴァンタージュ」。キャリバー75にバックライトを加えたキャリバー79(ETA E10.451.5)を搭載する。電池が変わったことに伴い、裏ブタはスナップからネジ留めに変更。直径42㎜。ライダータブがベゼルに統合され、インデックスはアプライドとエンボスの混在に変わった。なお〝アヴァンタージュ〟の名称がオフィシャルに使われたのは2005年のみだった。

 ●Ref.79363。13年初出の「エアロスペース エヴォ」。Ref.79362の直径を43㎜に拡大したモデル。裏ブタはネジ留め。

Cal.79(ETA E10.451.5)。Cal.75にバックライト表示を加えた、Cal.E10系の最新ムーブメント。高容量電池のSR936PW/380を採用したため、裏ブタの厚みが増してネジ留めとなった。クロノメーター仕様の高精度機だが、基本的なスペックはCal.56から継承している。

Cal.65(ETA E10.395.5)。リピーター機能が加えられている。なおブライトリングでは、クォーツムーブメントのOH時でも全数交換ではなく、電子部品に破損がない限り、すべて分解掃除を施す。基本スペックはCal.56に同じ。

Cal.56(ETA988.332)。オリジナルのETA988.332は、カレンダーがセミパーペチュアル仕様。電子部品破損時の交換用には、パーペチュアル仕様のETA988.333.1が用意されている。縦25.5×横22×厚さ3.80mm。7石。使用電池はSR927W/399。(写真はSSケースのクロノスペース)


 このように、年々進化を遂げてきたエアロスペース。今やリピーターやバックライトが付き、ムーブメント自体も年差のスーパークォーツとなった。時計として見るならば、現行品の79363は完成形だろう。しかしである。エアロスペースの構成自体はファーストモデルの80360から何も変わっていないのだ。優れた設計こそアイコニックピースの第一条件とするならば、エアロスペースは、間違いなくその筆頭に挙げられるだろう。

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