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ウブロ/クラシックフュージョン Part.2(1/5)

受け継がれてゆく〝オリジナル・ウブロ〟のDNA

新興のメーカーが単一モデルを発表し、しかもいきなり成功を収めた例は、世界を見渡しても、ウブロの他に、シャネルがあるのみだ。時間をかけてプロダクトを練り上げるというカルロ・クロッコの姿勢は、ウブロに大きな成功と、アイコンとなるだけのDNAを与えるに至った。

吉江正倫:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第36回/クロノス日本版 2016年11月号初出]

ウブロ「クラシック」の展開図。その複雑な形状は、35回もの冷間鍛造で形づくられたもの。鍛造するたびに、SSは1080℃、18Kは650℃で焼き鈍しを施す。当時クラシックの価格が、途方もなく高価だった一因である。

 1980年にリリースされた初代クラシック。興味深いことに、そのデザインはひとりのデザイナーが決めたのではなく、複数の関係者が時間をかけて練り上げたものだった。当初のアイデアは、クロッコのスケッチによる。エリック・ボネがそれをプロトタイプに起こし、フランチェスコ・マリア・ヴィメルカーティがシンプルなものに仕立て直した。

 ラバーバンドのアイデアも、こうした過程から偶然に生まれたものであった。あるプロトタイプが完成した際、黒い布が、あたかも腕輪のように置かれていたという。それを見たクロッコは、ストラップを布ではなく細長いラバーで作るべき、と考えた。「そのときまで、誰もゴールドケースの高価で上品な時計にゴム素材を採用していなかった。ですが、私はこれを良い考えかも知れないと思うようになりました」(『ウブロ 王の時計』より。一部筆者改訳)。カルロ・クロッコの美点を挙げるならば、完璧主義者だった点だろう。ラバーを使うというアイデアに魅了されたクロッコは、当時不可能とされた切れにくく、臭いもせず、アレルギーを起こさないラバーストラップの開発に挑んだ。

 解決策を提示したのは、イタリア国立研究機関CNRのエンジニア、グイド・ガンベリーニである。彼は医療分野のノウハウを転用することで、50㎏の抗張力を持つラバーストラップを作り上げた。加えてラバー特有の臭いを消すために、レ・ユニオン島製のバニラエッセンスが混合された。面白いことに、このストラップでは、〝カットできない点〟が強調されていた。なお80年代に登場したポルシェデザインの時計は、同様のラバーストラップを持っていたが、ユーザーは自分の腕周りに合わせて自在にカットすることができた。

 ではなぜウブロは、カットできない仕様を選んだのか。ジャーナリストであるアウグスト・ベローニはラバー=チープという印象を消したかったためと記している。もっとも、抗張力を高めるため、ストラップのケース側とバックル側にスティールのプレートを入れた時点で、カットはそもそも不可能だった。

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