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ルイ・ヴィトン/タンブール Part.2(1/3)

本格時計メゾンへの飛躍、その原点を振り返る
タンブール アーリーデイズ[2002~2011]

ルイ・ヴィトンのアイコンになるべく開発されたタンブール。デザインの経緯は明らかでないが、推測するのは難しくない。
1990年代に事業の多角化を図ったルイ・ヴィトンは、同社の哲学に沿いながらも、まったく新しいイメージを持つ時計で、ウォッチビジネスに参入しようと考えたのである。

タンブール オトマティック クロノグラフ LV277 ピンクゴールド
2002年に発表されたファーストタンブールの18KPGバージョン。樽型の2ピースケースを持つクロノグラフである。ベースムーブメントはゼニス製のエル・プリメロ。自動巻き(Cal.LV277)。36石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約50時間。18KPG(直径44mm)。100m防水。参考商品。
吉江正倫、三田村優:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第40回/クロノス日本版 2017年7月号初出]

 1990年代後半から、ルイ・ヴィトンは事業の多角化を図った。97年には筆記具をリリース。同年には当時新進気鋭のマーク・ジェイコブスをアーティスティック・ディレクターに抜擢して、翌98年にプレタポルテにも進出した。また『シティガイド』を出版し、2001年にはジェイコブスの手によるジュエリーコレクションを発表。多角化の一環として、同社が時計市場への再参入を図ったのは必然だった。

 残念ながら、タンブールの成り立ちに関する資料はほとんどない。唯一知られているのは、最終的にそのデザインをまとめたのが、当時フリーランスで活躍していたフランソワ・カンタンということのみである。しかし直接的には携わらなかったものの、ルイ・ヴィトンの多角化、さらに言えばウォッチビジネスの在り方に、マーク・ジェイコブスが影響を与えたことは容易に想像できよう。事実、イギリスの『テレグラフ』紙に、ジェイコブスはこう語っている。「(LVMHグループ総帥の)ベルナール・アルノー氏が、ビジネスパートナーのロバートと私を初めて招待したとき、私は、ルイ・ヴィトンが最終的にできると思ったすべてをプレゼンテーションした」(12年3月12日号)。そして彼の手による初のプレタポルテを見たジャーナリストのアミ・スピンドラーは、『ニューヨーク・タイムズ』紙に次のように記した。「ジェイコブス氏が契約にサインすることで、アルノー氏は羨望していたフォーミュラにようやくたどり着いた。つまりは、グッチやプラダのような、信頼できるファッションを提供するレザーグッズメーカーになるということだ」。しかしアルノーとジェイコブスが目指したのは、服や靴を作ることだけではなかった。彼らはルイ・ヴィトンを、ファッションに関するすべてを提供するブランドに脱皮させようとしたのである。

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