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グラスヒュッテ・ オリジナル/セネタ Part.2(1/2)

BACKGROUND OF GLASHÜTTE ORIGINAL
GUBの成立からグラスヒュッテ・オリジナルへ
オールドムーブメント&デザイン小史

1997年に始まったセネタコレクションは、旧GUB時代(国営企業を示すVEB GUB、および民営化された後のGUB GmbHを含む)の実用機の特徴を、色濃く残すものだ。
ではいかにして、GUBは実用機を進化させていったのか。主要モデルとともに、その歩みを振り返ってみたい。

吉江正倫:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第41回/クロノス日本版 2017年9月号初出]

GUB Cal.75
GUBに名声をもたらしたのが、Cal.74/75「スペシマティック」である。これは1976年に製作された、国家人民軍創立20周年モデル。文字盤には戦車などが描かれている。なお翌年には、ムーブメントに金メッキを施した“グーテウーア”も製造された。個人蔵。

GUB Cal.60.3
1959年初出。直径28mmもあるCal.60は、理論上は精度を出しやすかった。これはCal.60.3の高精度版である、グーテウーアである。文字盤には最良を示すQ1のロゴが記されている。生産数不明。個人蔵。

UROFA Cal.55
1931年初出。戦前のUROFAが設計したラウンドムーブメントでは最も大きな、直径23.3mmを持っていた。40年までに、UFAG分を合わせて約22万6000個が製造されたと言われる。7石または16石。個人蔵。


 1951年7月1日に成立した「グラスヒュッテ・ウーレンベトリーブ」(GUB)は、そう言って差し支えなければ、旧東独地域にある時計メーカーの、いわば寄せ集めであった。戦前のUROFA/UFAG(Precis)に、A.ランゲ&ゾーネ、ゲッセル、ミューレ&ゾーン、VEBエストラー、VEBリウォスなどを加えたGUBが、体制を整え、近代的な時計を作るには時間を要した。

 1960年代以前にGUBが持っていた主な基幹キャリバーは、設計をA.ランゲ&ゾーネに由来する28系と、UROFAにさかのぼるラウンドのキャリバー60系、及びレクタンギュラーの62系しかなかった。この中で主力となったのは、51年初出のキャリバー60であった。この巨大な手巻きムーブメントは年々バリエーションを増やし、やがては高精度なキャリバー60.3クロノメーターにまで発展した。60系の高精度機〝グーテウーア〟の改良版である本作は、同時期のドイツ製腕時計の代名詞であった、ユンハンスのクロノメーターを意識したモデルであり、当時最も高精度なモデルだった。しかしこの時代までのGUBは、設計にせよデザインにせよ、40年代の設計やデザインを踏襲しただけの、前時代的な時計を作っていた。

GUB Cal.70.1
近代的な設計を持つCal.70は、GUBの業績を押し上げた。これもCal.60.3に同じく、Q1ロゴを持つ高精度版のグーテウーアである。標準機の-30秒〜+50秒に対して、−15秒〜+25秒以内の精度を誇った。個人蔵。

GUB Cal.66
Cal.60系のエクステンション。約3年をかけて開発された、デイデイト表示を持つモデルである。初出は1957年。しかしすぐに後継機のCal.66.1に置き換わったため、非常に珍しいモデルである。8126個製造。個人蔵。

Precis[UROFA/UFAG] Cal.61
GUB Cal.60のベースとなったのが、Precisで設計されたCal.60である。直径28mmもあるこのムーブメントは、やがてGUBの基幹機となった。1946年初出。後にコハゼの形状が変更された、Cal.611となる。最初期モデルの生産数は約300個。個人蔵。


 GUBが近代的な時計メーカーに脱皮したのは、キャリバー70系と、それをベースにした自動巻きのキャリバー67.1、68.1をリリースした60年以降といえる。工作精度が上がった結果ムーブメントの精度は向上、また各モデルの外装部品に互換性を持たせることで、ラインナップを増やすことにも成功した。旧共産圏以外への輸出が進んだこともあり、GUBの年産は、この年に約230万本まで増えたのである(ただし公称値)。

 しかし輸出の本格化、言い換えるとコンペティターとの競合は、GUBの限界を露呈することとなった。60年のキャリバー70は、同時代のユンハンスやゼニスより近代的な設計を持っていたが、31年のロレックスに酷似した自動巻きは明らかに時代遅れだった。また、旧西独やフランスから購入する真鍮製のケースも、スイス製のSSケースには太刀打ちできなかった。対してGUBは、新しい自動巻きを開発し、ケースや文字盤を刷新することで巻き返しを図った。

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