MEMBERS SALON

グラスヒュッテ・ オリジナル/セネタ Part.3(1/3)

BASIC MOVEMENT OF GLASHÜTTE ORIGINAL
次世代主力機 Cal.36へと至る自動巻き基幹ムーブメントの変遷

2016年に発表されたキャリバー36は、驚くべきパフォーマンスを持つ自動巻きだ。
約100時間という長いパワーリザーブや、優れた等時性、そして高い耐衝撃性などは同価格帯で随一だろう。
グラスヒュッテ・オリジナルはどういった変遷を経て、このムーブメントを完成させたのか。

吉江正倫:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第41回/クロノス日本版 2017年9月号初出]

Cal.100
2005年初出。ダブルバレルとゼロリセットを備えた新世代機である。また姿勢差誤差も極めて小さい。ただし野心的な設計のため、製造コストは高く付いた。なお以下のスペックは、パノラマデイトを持つCal.100-3搭載機のものである。自動巻き(直径31.15mm、厚さ5.8mm)。51石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約55時間。

Cal.39
1997年初出。今なお、多くのモデルが採用するムーブメントである。今の基準からするとさすがにパワーリザーブは短いが、ローターや針合わせの感触などは良好である。個人的には、グラスヒュッテ・オリジナルで最も好きな機械である。自動巻き(直径26mm、厚さ4.3mm)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約40時間。


 長らくグラスヒュッテ・オリジナルのベースムーブメントであったのが、自動巻きのキャリバー39である。初出は1997年。しかしこのムーブメントの成り立ちを語るには、改めてベースとなった79年の「スペシクロン」にさかのぼる必要があるだろう。

 GUBに最盛期をもたらした「スペシマティック」も、70年代に入るとさすがに見劣りするようになった。直径28㎜、厚さ5.55㎜というサイズはまだしも、1万8000振動/時という低い振動数と、日差-30秒〜+60秒以内という性能は、他社の自動巻きに比べると明らかに見劣りしたのである。対してGUBの技術陣は、振動数を大幅に高めることで、携帯精度を改善しようと試みた。

 その帰結が、78年にリリースされたキャリバー11系だった。振動数を2万8800振動/時まで高めたGUB初の高振動機は、-15〜+25秒以内という極めて優れた日差を誇った。しかし経営状況の悪化とクォーツへの注力により、85年になると、GUBは機械式時計の生産を休止してしまう。同社は88年に、機械式時計の再生産を検討したが、ノウハウは完全に失われていた。そこで延べ4万時間、計250万ドイツマルクを費やして、11系の改良版である10-30を完成させた。そのリリースは民営化後の93年である。

 97年に発表されたキャリバー39とは、事実上、このムーブメントの改良版であった。性能は従来に同じだが、仕上げと巻き上げ効率は改善され、リュウズや針合わせの感触も高級機にふさわしいものに改められた。加えてこの時代になると、多くの機能部品が、再びグラスヒュッテで製造されるようになったのである。しかし各社が自社製ムーブメントの開発に乗り出すと、基本設計を70年代にさかのぼるキャリバー39はいささか見劣りするようになった。筆者はこのムーブメントの優れた精度と、ドイツ製らしい緻密な手触りを好むが、40時間というパワーリザーブと、片方向巻き上げは、リリースの時点でさえ新しいとは言えなかった。

  1 2 3  
前の記事

グラスヒュッテ・ オリジナル/セネタ Part.2

次の記事

ルイ・ヴィトン/タンブール Part.1

おすすめ記事

正規時計販売店

正規時計販売店

高級時計を取り扱う全国の正規時計販売店をご紹介。各店が行うフェア情報やニュースもお届けします!

時計ランキング

時計ランキング

その年の新作モデルや、機構、仕上げの完成度など、毎回決められたテーマの中から、優れた10本を時計ジャーナリストたちが選出します。

スペックテスト

スペックテスト

クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!

基礎からの時計用語辞典

基礎からの時計用語辞典

時計の部品、機構、ブランド名など、基礎から専門用語まで、広範囲にわたって解説します。時計の知識を深めるための用語辞典です。

PAGE TOP