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オメガ/レイルマスター Part.2(1/5)

原点たるに相応しい1957年の奇跡と復刻
TRILOGY 1957-2017

レイルマスターのファーストモデルは、シーマスター300、スピードマスターと同じファミリーに属していた。
しばしばこの3モデルが“兄弟機”と言われる所以だ。ではこの3モデルは何が共通していたのか。
当時としては革新的だった防水システムのナイアードロックから、その革新性を解き明かしたい。

吉江正倫:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第43回/クロノス日本版 2018年1月号初出]

1950年代後半の広告。用途を明確に打ち出すべく、スピードマスターにはレーシングカー、レイルマスターには電気式気動車、そしてシーマスター300には潜水士の写真があしらわれている。

 1957年に発表された、レイルマスター、シーマスター300、スピードマスターのいわゆる3部作(トリロジー)。オメガはひとつのファミリーとして打ち出したが、実のところ開発年度も、その経緯もバラバラだった。先述したとおり、レイルマスターの祖は、53年のイギリス空軍向けの時計だった。防水時計のシーマスターも同様で、48年の広告は「イギリス王室空軍のパイロット向けの時計がベース」と謳っていた。最後発は57年に始まったとされるスピードマスターのプロジェクトで、カーレースで使用されることを想定したモデルだった。

 では誰がトリロジープロジェクトを指揮したのか。読者諸氏も周知のとおり、高名なスピードマスターには携わった人々の名前が残されている。ケースデザイナーといわれるのはクロード・バイヨで、プロトタイプを完成させたのはジョルジュ・ハートマン。スピードマスターを含むトリロジーのディレクターは不明だが、おそらくクリエイション部門の責任者を務めたピエール・モワナではなかったか。彼は55年から少なくとも60年代後半までこの職にあり、オメガに優れたデザインをもたらした。一例が、オメガ・ジュネーブの「ダイナミック」コレクションだ。

 ここからは少し余談。モワナの前任者はルネ・バンヴァルトである。48年、彼は新設されたクリエイション部門の責任者となり、100周年記念モデルの「センテナリー」や「シーマスター」(48年)、「コンステレーション」(52年)などのデザインを手掛けた。55年にオメガを去った彼は、コルムの共同創業者兼デザイナーとして、「アドミラル・カップ」 「コインウォッチ」 「ゴールデンブリッジ」などの傑作を生み出した。バンヴァルトの下でクリエイション部門の権限が拡大し続けたことを考えれば、後継者のモワナが、トリロジーの監修者と考えて間違いなさそうだ。

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