F.P.ジュルヌ/トゥールビヨン・スヴラン Part.3

FEATUREアイコニックピースの肖像
2019.01.29

TOURBILLON SOUVERAIN
2nd Generation Model
デッドビートセコンド表示を備えた第2世代トゥールビヨン

トゥールビヨン・スヴラン[第2世代]
2004年にリリースされた第2世代。バリエーション違いはあるが、基本的には2018年版も同じスペックだ。時計愛好家にとっての“聖杯”である。Ref.TN。手巻き(Cal.1403)。26石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。Pt(直径40mm)。3気圧防水。1862万4000円。
吉江正倫:写真
広田雅将(本誌):取材・文
[連載第47回/クロノス日本版 2018年9月号初出]

 1999年に発表されたトゥールビヨン・スヴランは、一躍時計愛好家にとっての〝聖杯〟となった。しかし、ジュルヌ自身は、このモデルに満足していなかったようだ。発表のわずか5年後に、F.P.ジュルヌは早くもトゥールビヨン・スヴランの第2世代をリリースした。見た目の違いは、6時位置のスモールセコンド。ルモントワール車に針を付けることで、ステップ運針をするデッドビートセコンドになった。また、ムーブメントの素材も、真鍮から18KRGに変更され、地板からは、ルモントワールの部分が大きくくりぬかれた。独創的なルモントワールを強調するためだろう。

 しかし、第2世代で見るべきは、内外装の質感の向上だろう。かつてジュルヌは、フィリップ・デュフォーからこう言われた。「メカニズムは素晴らしいが、仕上げはもう少し良くしてもいいだろう」。ジュルヌはコストが増えると難色を示したが、年々ムーブメントの仕上げを改善していった。彼がそれ以上に注力したのが外装である。ジュルヌはセドリック・ジョナーとともに文字盤工場のカドラニエ・ジュネーブを設立し、ケースメーカーのエリノーをパリからジュネーブに移転させた。その結果、F.P.ジュルヌの文字盤とケースは毎年のように質を高めた。とりわけ、浅いブラスト処理を施した文字盤は、保護用の薄いクリア仕上げと相まって、スイス製の高級時計の中でも、白眉の仕上げを誇る。

 トゥールビヨン・スヴランの完成形とも言える第2世代。しかし、ジュルヌはこのモデルのモデルチェンジを検討中とのこと。第2世代を探している方は急いだ方が良い。続く第3世代も素晴らしいに違いないが、何しろ第2世代のトゥールビヨン・スヴランは、時計業界におけるひとつの金字塔なのだ。もし手元に余裕があるならば、一度は間違いなく、手にすべき傑作だろう。

(左上)中間車を介して、ルモントワール車の動きを表示する秒針。デテント脱進機やクォーツ時計に同じく、1秒ごとに動くデッドビートセコンドである。文字盤の仕上げは、106ページの第1世代に同じく、サンドブラスト+メッキ仕上げ。しかしブラストの目が細かくなり、より繊細な仕上げを持つ。(右上)第1世代とほぼ同じトゥールビヨンキャリッジ。しかし、キャリッジの面取りが深くなったほか、ルモントワールレバーも、筋目仕上げから、ブラックポリッシュ仕上げに変更された。併せて、ルモントワールレバーの素材も、スティールから軽いチタンに変更された。パワーリザーブ表示の位置が変わったことに伴い、針を動かすための歯車が見えなくなった。美観にうるさいF.P.ジュルヌらしいモディファイだ。(中)ケースサイド。基本的な造形は、第1世代に同じ。しかし38mmサイズが廃止されたため、40mmサイズだけが残った。(左下)真鍮から18KRG素材に変更された地板と受け。比重の重い素材に変えた結果、高級時計らしい重みがより強調されている。(右下)F.P.ジュルヌの進歩を象徴するディテール。ラグの形状は第1世代に同じだが、面の歪みは小さくなり、エッジも切り立っている。なおラグが少し太いのは、40mmケースの特徴でもある。

Contact info:  F.P.ジュルヌ東京ブティック Tel. 03-5468-0931


【アイコニックピースの肖像】
F.P.ジュルヌ/トゥールビヨン・スヴラン
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