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カレンダー機構 第3回「永久カレンダー Part.2」(1/3)

パテック フィリップが創業150周年を記念して1989年に発表した「キャリバー89」は、33の複雑機能を搭載するが、永久カレンダーには“世紀閏年修正”という特別な機能が備わり、2100年、2200年、2300年を平年と扱うのが特徴。4桁の西暦が12時位置の窓で表示され、全カレンダーは西暦2499年まで人為的な修正が不要だ。

菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 永久カレンダーの素晴らしい機能は、ほんとうに未来永劫「永久」なのか? 実際はどうなのか疑問に思うだろう。4年周期の閏年サイクルを機械的にプログラミングした永久カレンダー機構を用いる現行のほとんどのモデルでは、人為的な修正が不要という意味で「永久」と銘打てるのも、厳密にいえば西暦2100年の2月28日までなのである。

 というのも、永久カレンダーの原理を支えるグレゴリオ暦における閏年のルールでは、この2100年は100で割り切れるが、400では割り切れないので、平年と扱われているからだ。一方、4年ごとに閏年をカウントしながら2100年を迎えた永久カレンダー機構のほうは、この2100年も閏年と認識するから、実際は3月1日になっているのに、2月29日と表示してしまうのだ。当然ながらここで不一致が生じる。人為的な修正作業によって、永久カレンダーをリセットしなくてはならないのである。そうした調整を施せば、次に平年と扱われる2200年までは使えるが、しかしこの時点でまたしても修正は必要になる。2300年も平年なので同様だ。2400年はこんどは閏年になるので、そのままでいけるだろう。

 先のIWCの「ダ・ヴィンチ」は、4年周期100年スパンの設計が基本になってはいるが、西暦表示のパーツ交換によって2499年まで表示を可能とする特別な設計になっている。また、パテック フィリップが1989年に発表した懐中時計型の超複雑時計「キャリバー89」に搭載された永久カレンダーの場合は、機械的なプログラムが400年タームで設計され、閏年の2000年と2400年の間に置かれた2100年、2200年、2300年を平年と認識するようになっているから、そこでのカレンダー修正は不要とされる。

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