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巻き上げ機構 第3回「自動巻き Part2」(1/3)

フェルサ
1947年に同社のムーブメント設計者フリードリッヒ・メイヤーによって特許登録された、切り替え車方式の両方向巻き上げ自動巻きCal.690。「バイディネイター」の名で量産された690系や700系は、スイスの著名時計ブランドに使われ、1969年にETAに買収された後も、その設計がETA2824に受け継がれたという伝説が残る。
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 前回紹介したように、腕時計の自動巻きに画期的な進歩をもたらした決定打は、ロレックスの「パーペチュアルローター」(1931年)である。センターローターが全回転するロレックス特許のパーペチュアル機構は、現在広く一般的に用いられているスタンダードという観点からすれば、自動巻き機構の“元祖”と呼んでもいいだろう。自動巻きを試行錯誤から実用レベルにまで高め、量産化への道を開いたのは、やはりロレックスの功績といえる。

 ローターによる自動巻きには、一方向巻き上げと両方向巻き上げの2種類がある。ロレックスのパーペチュアルローターは、一方向に回った時にのみゼンマイを巻き上げる仕組みだった(ユニ・ディレクショナル・ワインディング)。その理由は容易に察しがつくだろう。なぜなら、ゼンマイのような渦状の巻物は、常に一定方向の回転力(例えば時計回り)でしか巻き締められないからだ。しかし、全回転ローターの回転方向を問わず、その回転力をすべて無駄なく巻き上げに利用できたら、さぞかし効率も向上するのではないかと考える者がいても不思議ではない。


 そうした考えに基づく、改良の試みとして有名のなのが、スイスのムーブメント製造会社フェルサ(エボーシュSA傘下)の両方向巻き上げである。同社のエンジニアは、全回転ローターが右に回ろうと左に回ろうと、回転力を一方向に整列して巻き上げる自動巻き機構を1942年に開発し、1947年に特許を取得した。バイ・ディレクショナル、ダイナミック、ローターを掛け合わせた造語と思われる「バイディネイター(Bidynator)」という洒落たネーミングも印象的だ。


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