ダイバーズウォッチ第2回「 防水時計の歴史 part.2」

FEATURE時計機構論
2017.08.04

ブランパン「フィフティ ファゾムス」
フランス海軍の要請によって1953年に製作され、約91.5mの防水性、蛍光塗料を用いた視認性の高いダイアルと回転ベゼル、ダブルOリング(二重防水パッキン)システムのリュウズ、軟鉄製インナーケースを装備した耐磁構造など、現代のダイバーズウォッチの元祖として数々の特徴を備えていた。写真はそのファーストモデル。自動巻き。
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

 一般的に「ダイバーズウォッチ」と総称される腕時計が誕生したのは1950年代に入ってからだ。前回で取り上げた防水腕時計の延長というのではなく、文字通りダイバーが潜水の際に着けて使うために特別に設計されたものである。歴史に残る初期のダイバーズウォッチのなかで、知名度の点で群を抜くのはロレックス「サブマリーナー」だ。事実、同社も1953年に誕生した「サブマリーナー」をもってダイバーズウォッチの“原型”と明言しているが、現在目にするようなダイバーズウォッチの機能やデザインのレファレンスモデルなのは間違いない。

 初代「サブマリーナー」の主要な特徴は、オイスターケースの防水性能を従来より格段に高めた100mであること、潜水中に経過時間を簡単に計測できる回転ベゼルや、視認性の高いブラックダイアルを備えている点だ。

 これと双璧を成すもう一つの“原型”がブランパンの「フィフティファゾムス」である。誕生年は、偶然の一致なのか、ブランド公式資料によれば「サブマリーナー」と同じ1953年。フランス海軍の要請を受けていたブランパンが潜水戦闘部隊のために開発し、名称は防水性能の50ファゾムス(50尋=約91.5メートル)に由来する。これも約100mの防水性能に加え、回転ベゼルと視認性の高いブラックダイアル、自動巻きムーブメントを装備している点はまったく同じで、外観も似ており、どちらに「初」の軍配を上げるかは困難だ。