鳴り物時計第2回「アラーム機構 Part.2」

FEATURE時計機構論
2018.06.30

ブレゲ「マリーン アラーム ミュージカル 5547」
デザインをリフレッシュして2018年に発表された新生「マリーン」コレクションに含まれる最新のアラームGMTウォッチ。搭載ムーブメントのブレゲCal.519F/1は、ハンマーがワイヤー状のゴングを叩いてアラーム音を響かせる機構や24時間のサブダイアルで第2時間帯を表示するGMT機能については、2003年発表「クラシック 5707」のものと同様である。しかし、センターセコンドやシリコン素材の脱進機とヒゲゼンマイを採用した点において進化している。自動巻き(Cal.519F/1)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWG(直径40mm)。50m防水。予価443万円(税別)。今秋発売予定。㉄ブレゲ ブティック銀座 ℡03-6254-7211
菅原 茂:文
Text by Shigeru Sugawara

機械式アラームウォッチは、戦後に相次いで登場したヴァルカン「クリケット」(1947年)とジャガー・ルクルト「メモボックス」(1950年)のふたつが元祖の双璧を成す。1950〜60年代は、その成功に続けとばかりに、さまざまなブランドからアラームウォッチが登場し、ちょっとしたブームになった。

 ヴァルカンやジャガー・ルクルトの場合は、自社のオリジナルムーブメントだが、他ブランドでは、ムーブメント専門メーカーのア・シルド(AS)の製品が多く使われた。ここでまず、ア・シルド系の流れをざっとおさらいする。

 ギズベルト・L・ブルーナー共著『Wristwatches Armbanduhren Montres-bracelets』(1999年ドイツ・KÖNEMANN社刊)によれば、ア・シルド社のアラーム機構搭載、ツインバレル手巻きCal.AS1475(ムーブメント径11リーニュ)は、1954〜70年までに78万1000個以上が製造され、さまざまな時計メーカーに供給されたという。これをモディファイしたバリエーションとなると、約150万個にも達したそうだから、いかに人気を博したかが想像できる。ヴァルカンやジャガー・ルクルトのムーブメントを利用できない時計メーカーは、ア・シルドが頼みだった。

 70年代は、クォーツウォッチの台頭によって機械式腕時計は廃れた。当然ながら機械式アラームウォッチ自体も運命を共にし、いったん幕を閉じる。その後のアラームウォッチは、電子音の時代に入る。