【名作スーパーカー型録】File.02「フェラーリ365 GT/4 BB」

LIFEcar
2019.02.19

Ferrari 365 GT/4 BB
フェラーリ365 GT/4 BB

[GENROQ Web 転載記事]
山崎元裕:文
Text by Motohiro Yamazaki

ミッドシップに消極的だったフェラーリ

 1971年のトリノ・ショー。この時、ピニンファリーナ・ブースには、1台の美しいプロトタイプが展示されていた。それはフェラーリから近く誕生する予定の12気筒ミッドシップのロードカー。その世界においては、ランボルギーニに大きく先行されていたフェラーリゆえに、当時のフェラリスタにとっては満を持してようやく誕生した救世主ともいうべき、期待のニューモデルだったのだ。

 ちなみにこの「365GTB/4 BB」と同時期に、ランボルギーニはすでにミウラの後継車となるカウンタックの開発を進行中であったという事実を知れば、フェラーリがいかに12気筒ミッドシップに慎重な姿勢を見せていたのかが伺える。

ベルリネッタ・ボクサー「BB」というサブネーム

 その理由のひとつは、やはりパワーユニットの開発にあったのではないか。実際に365GTB/4 BBに搭載されたエンジンは、車名の最初に掲げられる「365」という数字が物語るように、1気筒あたり365ccの排気量が設定された、4390cc仕様のV型12気筒。バンク角が180度まで広げられたために、BB(ベルリネッタ・ボクサー)というサブネームも車名の最後に与えられるが、実際の構造はボクサー、すなわち水平対向エンジンではなく、あくまでも180度のV型12気筒エンジンと考えるのが正しい。

 この180度V型12気筒エンジンは、トランスミッションとギヤボックスの上に搭載され、いわば2階建て構造を形成している。したがってスーパースポーツにとって重要な重心高は比較的高い位置にあり、同様にV型12気筒エンジン横置きミッドシップしたランボルギーニのミウラほどではなかったにせよ、軽快なコーナリングを実現するために、フェラーリのエンジニアはシャシーのセッティングなどでさまざまな試行錯誤を繰り返した。

 なにしろ、365GTB4BBを購入するカスタマーは、サーキットを疾走する12気筒ミッドシップのコンペティツィオーネ(F1)の姿を胸中に思い描きながらオーダーを入れていることは確かだからだ。

「F512M」にまで続いた180度V型12気筒

 380psの最高出力、そして302km/hという最高速度は、いずれもカスタマーやファンを十分に興奮させるものだったが、ピニンファリーナによる斬新なライン構成のボディ、そしてシンプルなデザインながら機能性と高級感に優れたインテリアのデザインもまた見逃してはならない365GTB/4 BBの魅力だった。特に圧巻に思えたのは前後の一体型カウルで、その軽さも功を奏し、オーバー300km/hを可能にするとされた走りへの期待が大きく高まった。

 実際に365GTB/4 BBがデリバリーを開始したのは1973年のこと。生産は1976年まで続き、その後は排出ガス規制に適合させるため排気量を拡大した512BBへと市場を譲ることになるが、この間生産された365GT4BBは387台と、BBシリーズの中では最もその数が少なかった。

 ちなみにこのモデルで採用された180度V型12気筒エンジンを核とするパワーユニット構造は、最終的には1994年に発表されたテスタロッサからの最終進化型、F512Mにまで採用されることになる。