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ミドリフグさんのブログ

(一般に公開)

Zenith 「出撃状況管理クロック」のご紹介2025年05月17日05:37
皆様ごきげんよう。

本日は、「ゼニスって昔こんな時計出してたのシリーズ」第一弾、「出撃状況管理クロック」のご紹介です。
紹介といいましてもこの時計、謎だらけで資料がほとんど存在しません。モデル名も無く、『出撃状況管理クロック』というのは私が便宜的に名付けたものです。

初見だと「え…何この、何?懐中時計…?」となるこの時計、カテゴリとしては掛け時計となります。1939~1943年にかけてイタリアのCAIRELLI社に卸されていた軍用時計です。そう、この見た目で軍用時計です。搭載ムーブメントはCal.271となります。質実剛健な作りで、米軍の航空機に搭載する時計なんかにも使われていたムーブメントです。

なんと言ってもこの時計、まず目を引くのは、軍用らしからぬこのカラフルな外周部でしょう。これは色分けされた12個のアルミ製のピースであり、それぞれが着脱可能となっております。なお、この個体は3つ消失しております。

ではこの着脱可能なピース、一体何に使われていたのかですが、実は真相は依然として不明のままです。

冒頭で説明した通りこの時計は非常に謎が多く、ゼニスの資料本、・海外の時計コミュニティ・イタリア軍に特化した本などの資料を漁りましたが、この時計に関する記述はほぼゼロに近く、ピースの用途どころか時計そのものが軍のどこで使われていたのかすらハッキリとした根拠資料が無い有様です…一説では

・Fiat BR 20 チコーニャのコックピットに搭載されていた
・管制室に設置されていた

といった事が書かれていましたが、当時の写真を漁ってもそれらしきものが写っている資料はありません(他の時計は写ってたりしましたが)。では肝心なピースに関しては

・各航空機と紐づけしたピースの着脱状況で出撃状況を管理していた
・安全上、定期的に無線を切る時間をピースの色分けで識別していた
・軍事作戦のタイムテーブルを色で管理していた

などの説が挙げられていますがどれも確証となる資料がなく憶測の域を出ないのが現状と言ったところです。私自身、ミリタリーに関しては無知も無知で、もともとの土台となる知識もなければ手持ちの資料も無い上に、この手の資料はどれも値段がバカ高くて…今回の調べ事に当たり何冊か買いましたが高い金払って何も情報が得られなかったときの絶望ときたら…笑
今は会社の人に「知り合いにミリオタ、特にWW2のイタリア軍に詳しい人いないっすかね?」とリアルのつながりに一縷の望みをかけて調査していますがはてさてどうなるか…

さて、この個体についてですが、こちら見た目のボロさの通り不動品であり、ボロい通り越してもはや朽ちています。12個あるピースも3つ欠けており、塗装もボロボロです。

でもおかげで安く買えました(笑)

さて、何が原因で不動なのか…バラして調査してみた結果

・ゼンマイ切れ
・振り石破損
・剣先折損
・チラネジ消失
・切りテンプが再起不能レベルの変形
・天真折損
・角穴車のネジのサイズが合ってない(笑)

パッとわかっただけでこんな感じです。思ったより重症ですね…(汗)
いやそれにしてもツインバレルとまっすぐ並んだ輪列の配置が美しい…(ウットリ)
しかし、これはそのまま街の時計屋さん持っていっても断られるぞ…ということでebayでドナーとなるムーブメントをダメ元で探すのですがこんな貴重なムーブメント単品なんてそうそう…

ありました(笑)

いやほんと奇跡ですね…ともあれ速攻で落札しましたのでムーブメントの方はどうにかなるでしょう。

あとはガワですが、幸か不幸か「写真が上手く撮れてしまった」せいで今見るとめっちゃいい感じのエイジングに見えてしまうのですが、実物はもはや朽ち果てているレベルです。肉眼で見ると赤錆だらけ、ピースも泥まみれでもはや茶色い塊にしか見えないです(笑)
このまま放置していたらいずれケースは内部まで赤錆が侵食、ピースの塗膜も泥のミネラルに侵されてしまい、この時計は不可逆的な「死を迎えてしまう」ことでしょう。
ということでドナーのムーブメントが到着するまでの間ただ待っているのも退屈なのでガワの修復作業を行うことと相成りました。

次回、「出撃状況管理クロック修復編」へ続きます。

【写真について】
① 入手直後の姿
軍用らしからぬ色彩が目を引くが、これでも軍需品。ピースもいくつか欠損。だが「謎の機材」らしさは全開。
② 側面から見た全景
外装の塗装はほぼすべて失われ、赤錆と汚れで全体が茶色く沈んでおり、腐食も深刻な状態…
③ 裏蓋を外した内部構造
裏側からネジでフレームが固定されており、中央にはCal.271の特徴的なツインバレルが見える。
  • ゼニス

コメント

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2025年
05月22日
18:27

村上隆のカイカイキキを想像したのは僕だけでしょうか。

さてカラフルな外周、これで心和ませつつ突撃していたんでしょうか。
自分だったらこれだと集中できないんだけどなぁ、ラテン系だと集中できるのか。

いずれにしても凄い代物のようですね、次回のブログが楽しみです!

2025年
05月27日
23:36

コメントありがとうございます!
カイカイキキですか!言われてみれば確かに似ていますね笑

案外、深い意味などなく、気分的なものだったのかもしれませんね。
タイムスリップとまでは言わないので、せめて当時を知る人と5分だけでも話ができたら…といったもどかしさがあります。

次回も楽しみにしていただけて光栄です!
なかなか時間が取れず更新が滞っておりますが、少しずつ書き進めておりますので、気長にお付き合いいただければ幸いです。

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