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ミドリフグさんのブログ
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- Zenith 出撃状況管理クロック【ムーブメント修復:心臓移植編】2025年09月19日13:11
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皆様ごきげんよう。
さて、前回無事に外装の修復を終え、今回からいよいよムーブメントに入ります。
写真1枚目で早速ですが、なんとか破損箇所はあらかた直し、仮組みしてとりあえず動くところまで進みました。本当にただ動くだけでまだ時計としては機能しません…
恐らく数十年、下手したら80年以上に渡り何も手入れをされてこなかったであろう(中身の汚れの割にネジ類がやたらきれいなので)この時計、外装もボロボロでしたが、ムーブメントの破損っぷりも軍用品らしく実に苛烈な状態でした。というか外装より終わっています(笑)。まるで戦場をくぐり抜け、そのまま何十年も眠っていたかのような“歴戦の痕跡”が随所に刻まれていました。
さぁ前置きはここまでにして早速作業を進めていきましょう。
<修復にあたって>
今回はかねてからの計画通りeBayで落としたドナー用のムーブメント(cal.271)から生きている部品を引っ張ってきます。なんと1万円でムーブメント2つも付けてくれる太っ腹出品者がいたので、見つけた瞬間に即落札でした(笑)。しかも落札後に、「ハァイ ミドリフグ、なんか文字盤と巻き芯見つけたからついでにこいつも一緒に付けとくよ(ニッコリ」とのメッセージ。文字盤(クソボロ)はともかく巻き芯は思いがけないギフトでした。いやなんと運の良いことか。時計の神に感謝…!
ということで部品の一つ一つ確認して破損している部品を交換していきます。
<香箱のクリーニングとゼンマイの交換(写真2)>
こいつが切れている限り、この時計は何をしても時計の形をした文鎮にしかならないので、こいつから修復していきます。といっても切れたゼンマイ交換するだけなのですが(笑)。いやそれにしても2~4番車の直線的な輪列が美しい…無骨で質実剛健な作りのcal.271にピッタリですね。
香箱周りは写真の通りもう色々凄まじい状況です。
香箱は黒ずんだオイルで猛烈に汚いです(笑)。汚いだけならまだしも、この個体は長い長い時間をかけてオイルが樹脂化しておりました(笑)。緑色のやつがそうで、もうパリッパリです。同様に酷いのが地板の香箱を配置する場所で、こちらも緑色の「樹脂」がへばりついておりました。
香箱はベンジンにしばらく漬けて拭いたらきれいな真鍮の歯車になりました。写真2左下がそれですが、随分ときれいになったものです(笑)
地板の方は後で処理しましょう。
ゼンマイは見事に2つともお釈迦になっておりました。ドナー①のゼンマイもお釈迦…祈る気持ちでドナー②を開けた所こちらは2つとも生きておりました。いやはやなんともラッキーです。時計の神に感謝。
香箱のクリーニングが終わったらオイルを塗ってゼンマイを収めて…のはずだったのですが…手持ちのワインダーのベルジョン30076でもK&D128でもサイズが合うアタッチメントがありません…そんな馬鹿な…。
こうなった以上仕方ないので手で丁寧に収めます。ミスったら香箱がぶっ飛ぶこと必至なのでヒヤヒヤしながらの作業でしたが無事収まりました。
<テンプの交換(写真3)>
次にテンプの交換です。
写真左が元の物ですが、案の定天真が折れておりました。
それ以外にも、この時計はバイメタル切りテンプ(温度補正装置です)を採用しておりますが、変形してテンワの切欠きの部分の隙間が無くなっております。さらに、なんと振り石が根本近くでごっそりと折れてしまっております(矢印)。
こうなってしまってはもうどうしようもないのでドナーのテンプのヒゲゼンマイから先を外して交換します(ヒゲゼンマイ、天真、テンワ)。いやしかしどうなったらルビーなんて頑丈な物質が割れるなんて事態になるんだ…写真だとわかりにくいのですが、まるっと外れているのではなく、根本近くで折れているのですよこれ。
さて、最初は受け板ごと交換しようかとも考えていたのですが、やはりできるだけオリジナルの部品に拘りたいので、あえて受け板からヒゲゼンマイを外してそこから先の部品だけ移植します。
しかしヒゲ持ちの部分のネジのまぁ小さいこと小さいこと…こちらは特にハプニングも無く、すんなりと部品の交換が完了しました。目を酷使しすぎて痛いです(笑)
<次回予告>
さて今回は香箱とテンプ、時計にとっての心臓部分を先にやっつけてしまいました。
しかしまだまだボロのままです。次回はアンクル交換と仮組みを行っていきたいと思います。このあたりのパーツ交換して仮組みすればとりあえず動くには動くのではと思っていましたが、パーツ交換だけ済むほど甘い世界ではありませんでした…
- zenith