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アナ・ケンドリックという俳優がいる。概ねアナケンと呼ばれている。
世間的な認識ではコメディエンヌといった事であろうし、間違いではない。
だた、この人はなんだかこっちがひどく落ち込んで、どうにも悪い考えに
陥ってしまってもがいている時に限って連絡をくれて、クソどうでもいい
おしゃべりをしているうちに悩みがどうでもよくなってしまうような人だ。
お礼を言いそびれているうちにどこかへふっといなくなるような、そんな。

そしてアンジェニューというフランス生まれのレンズが捉える世界は
どこか絵画的といわれるのだけれど、なんとも評しがたい事がある。
簡単に言えば光のにじみとボケ方ではあるのだけれど、それらが暗箱
に紡ぐ世界はアナケンのように愉快で面倒な事柄なぞどうでもよくなる。

スペックがどうした、そんなものが大事なのか？と、問うてくるようだ。
それもそうだ、と「ザ・コンサルタント」のベン・アフレックのように
精一杯「ハバ・ナイスデイ！」と言いたくもなる。
若しくは「ハッピー・ボイス・キラー」のエンディングのように、
Sing a Happy Song を口ずさむのがアンジェニューには似つかわしい。