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『プラチナ製の時計は高過ぎないかと言う疑問』 ~2019年04月07日08:39

(要点)
1.プラチナとは
2.プラチナと金の決定的な違い
3.現在の価格相場
4.プラチナの良さ、ゴールドの良さ
5.結局、プラチナ製時計は高過ぎるのではないか



***

先日、よやや2さんとお話する中でプラチナの話題となった。
現在の金相場と比較すると価格は逆転、金の方が遥かに高い、と言う現実をどう考えるべきか。
今回はプラチナについて少々考察してみる。

1.プラチナとは:

  日本語では白金、と言うのでホワイトゴールドと紛らわしい。
  アチラは白色金の合金、プラチナは金と同じ単体の元素である。
  つまり、ホワイトゴールドと違って混ぜ物では無い、と言うことだ。

  世間ではプラチナの評価・イメージが金より上で定着している。
  例えば、結婚記念日。
  金婚式は50周年、プラチナ婚式は70周年、ってプラチナ迄到達する夫婦は略皆無鴨。

  例えば、クレジットカード。
  各社とも、普通カード<ゴールドカード<プラチナカード<ブラックカード、のような順番。
  即ち、プラチナの方がゴールドより常に上位となる。

  AMEX年会費を比較すると、プラチナが正に桁違いのクラス感あることが分かる:
  普通カード  12,000円
  ゴールド   29,000円
  プラチナ   130,000円(以上全て税別価格)

  そして、何よりもプラチナの希少性の源はその産出量であろう。
  2016年のプラチナの産出量(191トン)は金(3110トン)の16分の1、と言うことから
  プラチナ=金より希少価値アリ=綺麗=価格が高い、
  と言う単純な図式が想像出来る。


2.プラチナと金の決定的な違い:

  しかし、もっと大きな違いは両者の『用途』であろう。
  プラチナ: 65%(工業用)、28%(宝飾用)、7%(投資用)
  金   : 10%(工業用)、53%(宝飾用)、37%(投資用)

  つまり、金は約5割が宝飾用なのに、プラチナは6割以上が工業用。
  これが何を意味するのかがポイント。
  プラチナの場合、自動車の触媒用が圧倒的に多いのだが、昨今の自動車の
  動力・エネルギー変革やディーゼル離れに伴い、この需要に激変が起こりつつある。
  即ち、『将来的な思惑』も含めてプラチナ需要が減少しつつある中で、
  敏感な市場ではコレが価格に反映されているのが現状である。

3.現在の価格相場:
  
  4月5日09:30公表の地金価格は以下(田中貴金属工業のHPによる):

  5,061円 金    
  3,584円 プラチナ
  約62円 銀 
  ※売買価格はプラチナ・金はキロバー建て、銀は30kg建ての1g当りの価格。

  上記の通り、プラチナは金よりも3割安が現状であり、
  過去3年間、既に金相場がプラチナより高値で推移しているのである。
  そして、上述の背景から今後も暫くこの傾向は続きそうと予想される。(注1)

  つまり、素材としてのプラチナは現時点で金よりも3割安いのだ。


4.プラチナの良さ、ゴールドの良さ:

  これは嗜好の問題なので人それぞれであるが、
  筆者の場合、あの柔らかい金色にソコハカトナク憧れと心の安らぎを感じる。
  逆にプラチナの銀色は、SSだか、銀だか、ホワイトゴールドだか、はたまた、メッキだか、
  見た目では判別し難い点と、シルバー系の色目に価格相応の価値が見出せない。(注2)

  プラチナは確かに重量感があり、鈍く輝く独特の色目がある。
  しかし、誤解と偏見を恐れずに言えば、素人目にはホワイトゴールドとの違いは
  中々付け難いのではなかろうか。
  寧ろ、『プラチナが分からない貴方は素人ですよ』、とか、
  『プラチナは希少価値があって金より高価な貴金属ですよ』、
  等等の上から目線で作られたメディアや
  貴金属商の商業的なあおりのフレーズがそうした素人をプラチナの世界へ
  過去の長きに亘りしたたかな戦略的により誘導してきたのではなかろうか。
  それが出来たのも、
  根底には『触媒用途』という強力な安住出来た需要と限定的な生産量があったからだろう。
  今やそのツケが『自動車革命』にまで至ろうとしているのだ。


5.結局、プラチナ製時計は高過ぎるのではないか:

  紙面の関係で可也はしょって書いているのだが、
  現在のプラチナ製品は時計に限らず、従来の世間のイメージに便乗した高値の価格設定が
  過ぎるのではないかと感じている。
  無論、素材の価格だけで比較は出来ないが、加工・彫金・製造工程の違いなどを
  考慮しても、未だにプラチナ製、と言うだけで18金よりも遥かに高い価格設定は
  早晩、破綻するのではないか、と考えているのだが。


注1) 上記の記載内容は全て個人の見解に依るものであり、
    関連する如何なるクレーム・損害も一切受け付けません。
注2) 全て個人的見解であり、異論反論は受け付けません。
  • 腕時計全般
  • GOODS
  • スタイル

コメント

1番~6番を表示

2019年
04月07日
10:12

1: LEM

そうですね。同感です。
金属相場の変動もありますが、概ねプラチナに対するイメージで値つけされているように思えます。プラチナPt950と金K18の比重を考慮しても同じ体積にするには1.3倍必要なわけですが、金5061円に対してやはり比重比1.3倍をかけても4659円と及びません。加工の難しさは金は非常に優れた加工精度がありますので若干プラチナの方が扱いにくいですが多少ですね。それを言ったらチタンの加工なんてとんでもなく手間かかってますし。金やプラチナよりもステンレスの方が実は難しいし。
僕も同じ時計でプラチナと金があれば金を選びます。でも半値でSSがあればSSを選ぶかな。時計にもよりますけどね。ダイバーズだったら金もプラチナも要りません。

2019年
04月07日
18:22

LEMさん、

個人的には金の価格は『1200円/g程度』、という記憶が強くあります。

この価格帯は1999年から2004年頃までであり、
正に、腕時計が価格もデザインも一番時計らしく魅力的であった時期と重なります。
以降、金の価格は今日に至るまで急騰・高騰を続けており、
それに伴い腕時計も醜悪で技術をギミックに擦り替えたデザインも数多く登場します。

平成の時代は世界的に新興諸国が急伸し、右肩上がりの経済を謳歌し、
そしてその終焉を迎えた訳ですが、令和の時代では世界経済とそれに連動する金価格が
どのように変動するのか、プラチナ相場の推移と共に可能な限り見届けたいと思います。

2019年
04月07日
19:35

為替、材料費、人件費が上昇するとすぐ反応する
業界にしては、PtとAuの価格が逆転してもスルー
する見事なスカシ技には太刀打ちできません。

先物スワップで向こう30年間分位の材料を確保して
あるのかと思ってしまうくらいです。

2019年
04月07日
19:58

よやや2さん、こんばんは。

先日頂いた『宿題』を自分なりに料理してみました。
確かに各企業はある程度の在庫積み増しはあるでしょうが、
過去の在庫を今も使う程の量は無いでしょうね。
(逆に、そこまで勝負出来る度胸と勇気がある企業は危険ですけど・・・)

リーマン前にプラチナは7589円の記録を作りましたが、
その後は下落した状態。
片や金はリーマン前の価格を今や遥かに超えている点が
両者を取り巻く根本的な背景の違いを物語っているようです。

ともあれ、今回のレポはよやや2さんの及第点を頂いたか堂か、
ソチラの方が気に成増・・・(笑

2019年
04月08日
01:45

私は、PtとAuの相場が逆転して久しいですが、お気づきですかと
言っただけで、「宿題」としてお話ししたつもりはなかったのですが。(笑)

拝見して、会社のプレゼンはこうあるべきのお手本ですね。私なら
すぐプロジェクトにGoを欠けるほどです。

>ともあれ、今回のレポはよやや2さんの及第点を頂いたか堂か、

>早晩、破綻するのではないか、と考えているのだが。

明快な考察ありがとうございます。

私たちコンスーマーが、まずPtに対して今までのイメージを打破し
プライスに拒絶しない限り、老獪な手法をとる業界ですから破たんは
なさそうな気がします。

2019年
04月08日
07:10

確かに宿題ではありませんでしたが、天のお声として受け止めました(笑
ニュースソースは何であれ我々ユーザーは
客観的で正しい事実認識を持つことが重要ですので、
その一端でもこうした場で共有できればと考えております。

本件でも、Ptが持つ背景とその価格体系の危うさ・脆さを再認識すべきだと考えています。

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