[webChronos] -- 時計専門誌「クロノス日本版」オフィシャルSNSサイト --

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ヒーローとの別れはあっけらかんと訪れた。
さようならも、ありがとうも言えないままに。

彼は映画ではフルタイム4WDの不良だったけれど、この
SNSで時計を投げ捨てるような男が主人公の映画なんか、
人気があるとも思えないし、この際時計はどうでも良い。

そんな翼なき野郎の愛用品は、バイクにレイバンである。
そしてレイバンに関してアイウェアなどという呼び方は
どうにもすわりが悪く、グラサンのほうが背筋が伸びる。
そう、USレイバンだ。まじりっけなしのアメリカなのだ。
バカみたいに頑丈で、ピカピカ光輝くメッキフレームに
G-15レンズだ。軽量化なんて事はメッキの厚さ程にも
考えやしない、ウェルチみたいに100％アメリカなのだ。

だがそんな考えはイタリアに売り飛ばされ、ボシュロム
の扱いもパーツ供給が怪しい体たらくになってしまった。
いや、これほどアクが強いプロダクトはそうおいそれと
ありはしない。50年代のアメ車が誇ったテールフィンの
ような仰々しい出っ張りなんて、21世紀になった今では
一体何処の誰が好き好んで思いつこうとするのだろうか。

こんなモノを使っておれば、官憲に呼び止められたって
仕方がないのだけれども、それでもレイバンを偏愛する。
何故ならキャプテン・アメリカがショットガンで撃たれて、
惨めに朽ちるまでの自由を見たプロダクトであるからだ。
土砂降りの雨の日に傘も差さず踊る奴がいても構わない。
自由とはつまりそういう事だ。

USレイバンは過去になってしまったけれども、手持ちの
レイバンにはさようならも、ありがとうも十分に言える。
それがなによりもヒーローへのたむけのような気がする。

※以前のものを少し改稿して再掲しました