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白苺(塩イチゴ)さんのブログ

(一般に公開)

Tudor Pelagos LHD(チューダーぺラゴスLHD)お父さんは怒らせると恐いのだ。2019年09月27日17:08


既に素晴らしいブログが多くありますが、今回はチューダーのぺラゴスについて書かせていただきます。
理由は来月早々にぺラゴスが掲載されたクロノスが出るから(おい)

チューダーは2012年にぺラゴスをデビューさせました。往年のイカ針(スノーフレーク)を
用いたことが特徴ですが、同時期のブラックベイがリューズや当初は文字盤にも小薔薇を
用いるなどクラシックな風情が優先だったのに対してこのぺラゴスは500m防水、しかも
ヘリウムエスケープバルブ付き、さらにチタニウムのケース、ダイビングの際に極めて有用な様々な
調整機構の付いた専用のブレス、などガチな潜水に対応する数々の装備を備えておりました。
チューダーはその後マニュファクチュール化を進め、グループ(現在ではシャネルも資本参加)の
KenessiからMT5602をデビューさせます。そしてその日付表示が付いたバージョンである
MT5612をぺラゴスにも2015年に搭載しました。そして翌2016年にデビューしたのがこのLHD
(左利き用)バージョンです。
あくまでも質実剛健さを追求した右用のオリジナルバージョンと異なり、LHDは
近年はやりの「トリチウムが焼けた風」なクリーム色の夜光塗料と文字盤のロゴを赤くする
(赤サブオマージュ)変更が行われました。
率直に言ってオリジナルのぺラゴスは非常に素晴らしい時計でありますが、ちょっと
あっさりしすぎた印象もあります。それに対してLHDは、まぁそもそも左利きで本当に
ダイビングにバンバン使いたい、という人も少ないでしょうから趣味的なピース、という点を
前面に押し出した仕立てになっております。

ぺラゴスの直径は42㎜です。最近時計の巨大化もようやく落ち着いてパネライですら小さめの
直径の時計を作るようになってきましたが、ヘリウムバルブ付きの500mダイバーとしては
現代では大きくない部類であり、私の細腕でも時計がはみ出して存在感を強調しすぎる
訳ではありません。スポーツ時計としてはむしろコンパクトにまとまっている方だと思います。
ただ、私としましては500m防水のチタニウム時計といいますとIWCオーシャン500を思い出して
しまうのです。残念ながらあそこまでコンパクトではありません。ただ今の時代にオーシャン500を
出したならば女性用の扱いを受けてしまうでしょう。

500mダイバーだけあって決して薄くはありません。ただし倍以上の防水機能を持つシードゥエラー
ほどは厚くありません。ロレックス・チューダーに共通する美点としてその裏蓋の隆起が
最小限に抑えられていることがあります。往々にして(特に性能重視のメーカーでは)
ダイバーでは裏蓋がポッコリと隆起していることが多いのですが、それが装着感を著しく
損なっていることが多いのです。(IWCは裏蓋の隆起が大きい場合はラグを大きく下げたり
ブレスレットとのつながりの角度を急に取ったりして見かけよりも装着感良好なものも
多いのですが。)その点、ロレックス・チューダーはここに示した通り裏蓋の厚みを
最小限に抑えてフラットにしています。これが実際に装着したときの腕なじみを素晴らしいものに
しているのです。
さらに裏蓋をソリッドバックにすることで特に濡れた時や暑くて汗をかいたときの装着感は
非常に優れたものになっています。ソリッドバック、ムーブメントを楽しむには最適で
まぁドレス的な使い方をするものや複雑時計では大きな楽しみですが、何分本当に使用することを
考えたスポーツ目的では依然として疑問が残ります。
(コートや摺りガラス状の処理をするなどしてその辺の対策が強化されれば良いのですが…)

ダブルロックのクラスプはエクステンションを持っており、エクステンションを引き出すと容易に
工具なしで微調整も行える優れものです。微調整が行えるブレスはシードゥエラーをはじめ
最近よく見られるものですが、例えばシードゥエラーのグライドロックのようにカチカチした
物ではなくもっとスルっとした動きで調整できます。またダブルロックも出来自体は不満は
ありませんがロレックスのように適度な粘りと抵抗感を伴った高級感のあるものではなく、
散文的にパカっと動作します。感触よりも機能優先です。

リューズガードが台形でなく三角形になっているのも特徴的です。細かいディーテールが
クラシカルな風情を醸し出しています。オリジナルのぺラゴスですとモダーンな全体像の中に
古典的な要素を忍ばせる構成でしたが、LHDでは全体的な色遣いの違いでむしろ古典的な
全体像の中に現代的な機能を実装した感じになりました。
チタンケースの仕上げも細かい目でよくヘアラインが付けられており、往年のチタン時計達とは
一線を画す高級時計(ハイエンドではないが一般的には十分高級でしょう)として恥じないものです。

ETA2824時代と比べると針の取り付けの高さが非常に密になりました。
2824時代は普通に上下の間隔が広く、そこが高級感を損なっていましたが、MT5612版では
さすがにパテックやAP2120と言ったハイエンドほどではない(無理言うな)ですが、
普通のETA2892搭載機以上に上下の詰まった実装になっています。適度に艶を消した
文字盤や立体的なインデックスとの兼ね合いを考えますとはるかにまとまりがよくなりました。

リューズを操作してもマニュファクチュールになった効果は実感できます。針合わせの遊びのなさ、
回した感覚共にETA28xxでは得ることのできない緻密なものです。
ベゼルの操作感はセイコーのような目の詰まった細かいものでなく、やや大きめにカチカチと
動くものでこれもロレックスと近いものです。

チューダーは、以前は外装は素晴らしいものがあり、ロレックスとまた違った歴史的な引出しを
うまく使ってきているけれども、細部の仕立てで汎用ムーブメントが足を引っ張っていて
どうにもどこか安物感が払しょくできない印象がありましたが、自社ムーブメント(と引き換えに
手に入れたブライトリングB01)を用いたチューダーはもはやどこにもスキがないように思われます。
私個人としてはムーブメントそのものについては、金属のパラクロムブレゲゼンマイを使った
ロレックスの方にどうしても惹かれてしまう点もありますが、シリコンを使い、ソリッドバックを
上手く利用して過度に見栄えのための仕立てを省略したチューダーのムーブメントは、
(シリコンはそんな高級たる素材とは思えないのもあって)「高級」ラインにシリコンをバンバン
使う考えよりもうまく新素材を活かしているように思われるのです。

チューダー・ぺラゴスLHD,通常の使い方ならこれ以上は必要がない最高の実用性と
耐久性を兼ね備え、さらに歴史的・趣味的な要素も満足させてくれる逸品といえましょう。
不安な点としては純チタンの柔らかさで「傷も味のうち」と考える他なさそうな点でしょうか…。
  • 所有時計について

コメント

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2019年
09月27日
17:10

タイトルのお父さんは怒らせると恐いのだ、は
大人を本気にさせると手を付けられないのだ、の意ですw

2019年
09月27日
19:29

白イチゴさん、こんばんは

細部にわたり詳細レポありがとうございます。

すでにココで3人行かれましたね、コレw

2016年発表であるにもかかわらず、今バンバンって言うのは時流が追いついたのか?

たまたま、チューダーデビュー年に重なったのか!wは不明ですが、注目されるのはよいですよね。

ぼくも腕に載せたことがあって、チタンの軽さに驚いて、

これまでのチューサブとは別物の印象を持ってましたが、

いかんせん細腕なので、買うまで踏み切れてません。

39mmでブラックベイ58出してきたなら、コチラもサイズ違いで出てこないか期待したいのですが


難しいでしょうかね。

僕はイカ針(スノーフレーク)には角インデックスしか合わんと思っているので、

現行でがぺラゴスしかないと思ってますので、是非サイズダウンして欲しいです。

2019年
09月27日
21:31

レスありがとうございます。
出荷が安定して値段が落ち着いてきたのがあるかと
思います。
ペラゴス最初出た時は真っ白な針やインデックスの為に
大きく感じまして私も止めておいたのですが、LHDだと
本体のチタンの暗めな色(は右も一緒ですが)に加えて
針やインデックスも落ち着いていてスポーツウォッチと
しては細腕に馴染みやすい方だと思います。
私の腕も細目で17cmちょい位です。
回転ベゼル付きのダイバーやクロノグラフだと結構大型でも
意外と使えると思っております。

ただ一般的には仰る通り38-39mmが一番使いやすいとは
私も思います。手持ちのオイスターパーペチュアルも
39mmで経験上も38mmのIWCマーク15はとても使い
やすかったです。

2019年
09月29日
19:03

イイで脛。
怒れるお父さんは絶滅危惧種なので、久々の白苺節をチラっとお聞きしました。
でも、BLACK-BAYに続きまさかのPELAGOSまで逝かれるとはお父さんは漢であることの証明とお見受けしまた。

2019年
09月30日
18:05

ありがとうございます。
ブラックベイは出た時買ってその後整理した際に
ドナドナしてしまったのです…
当時の爽やかペラゴスだと似合わなかったので…
因みに妻の魔の手にはセイコー5スポーツと
竹時計はひっかかったのですがこれは無事でした。

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