時計を駆動するための部品。狭義の歯車は真鍮製の大歯車に限られるが、広義の歯車には、カナにあたる鋼製のピニオンも含まれる。一般的には歯型の種類によって、インボリュート歯車とサイクロイド歯車に分かれる。前者を採用する代表格はETA製のエボーシュ。後者の代表格がパテック フィリップである。インボリュートは加工がしやすく、大きなトルクを伝えるのに向くが、トルクの伝達効率に劣る。サイクロイドはトルクの伝達効率に優れ、一定した回転を与えられるが、加工が難しい。したがって、現在では多くの時計がサイクロイドとインボリュートを折衷した歯型を採用している。なおスイスの標準的なサイクロイド歯車をNIHSという。→インボリュート歯車→サイクロイド歯車