オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア」先進のマテリアルを駆使し、よりモダンで精悍なコレクションへ

FEATURE本誌記事
2023.12.06

存在感あふれるパワフルなデザインでデビューした「ロイヤル オーク オフショア」は2023年に30周年を迎え、初代モデルをフルブラックセラミックスで再現する最新モデルと、現代的な進化モデルが揃って発表された。精悍な表情を強調するのは、セラミックスの加工と仕上げに精通したオーデマ ピゲが誇る最高峰の技術だ。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ、ロイヤル オーク

奥山栄一:写真 Photographs by Eiichi Okuyama
菅原茂:文 Text by Shigeru Sugawara
竹石祐三:編集・文 Edited & Text by Yuzo Takeishi
[クロノス日本版 2024年1月号掲載記事]


ブラックセラミックケースによって実現した、洗練と力強さを兼ね備えたルックス

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
初代モデルをセラミックスで再解釈したRef.26238CEは、ケースやブレスレットにブラックセラミックスを用いたオフショア初のモデル。ムーブメントはフライバッククロノグラフを搭載する最新鋭。自動巻き(Cal.4404)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブラックセラミックケース(直径42mm、厚さ15.3mm)。10気圧防水。要価格問い合わせ。

「CODE 11.59」で見てきたように、21世紀のオーデマ ピゲにとって重要な素材は間違いなくセラミックスだ。実際「ロイヤル オーク」では2006年のべゼルに始まり、11年のケースを経て、17年にはブレスレットも含むフルブラックセラミックスのパーペチュアルカレンダーを完成させるなど着々と技術革新を遂げてきた。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

初代モデルに通じる、プチタペストリー模様が施されたダイアルは、縦3つ目のインダイアル配置を維持しつつも、搭載する最新のフライバッククロノグラフムーブメントにより、スモールセコンドと12時間積算計の位置が入れ替わっている。
ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

Ref.26238CEは、ケースからブレスレットに至るすべてがブラックセラミックスというだけでなく、初代ロイヤル オーク オフショアのステンレススティールの質感や、ディテールの特徴までも忠実に再現する稀有なモデル。完成度は見事と言うほかない。

「ロイヤル オーク オフショア」の誕生30周年を記念する23年も、その高度な技術を最新作に発揮する。まずケースやブレスレットをブラックセラミックスで作ったオフショア初のモデルRef.26238CE。21年に登場した42mmの「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」は、初代モデルを再解釈したオリジナルに酷似したデザインに特徴があるが、この最新作ではステンレススティールモデルのパーツ形状や繊細な仕上げまでもがブラックセラミックスによって忠実に再現されている。金属とはまったく違う特殊な製法で作られるセラミックスに、金属同様の繊細な筋目やエッジ、ポリッシュ仕上げなどを施す技術は、オーデマ ピゲのスペシャリテにほかならない。結果、黒ずくめのロイヤル オーク オフショア クロノグラフが手に入れたのは、現行の金属製モデルとは異なる精悍かつスタイリッシュなスポーティールックだ。

 また新世代のデザインをまとう43mmのロイヤル オーク オフショア クロノグラフの最新作でもファッショナブルなイメージのブルーやゴールドとのバイカラーでラグジュアリーなテイストを醸成するブラックセラミックスが独特の力強いスタイリングを引き立てる。オフショアが若さを保つマジカルな素材、それはセラミックスに違いない。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
直径43mmの2023年最新作、Ref.26420CEのひとつはブラック×ブルーのセラミックスによってスポーティーさを演出。フライバッククロノグラフを搭載するムーブメントはCODE 11.59と同じ自動巻きCal.4401だ。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブラック×ブルーセラミックケース(直径43mm、厚さ14.4mm)。10気圧防水。770万円(税込み)。
ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
43mmの最新作、Ref.26420CEのブラックセラミックスとイエローゴールドを組み合わせたバイカラーモデルは、素材のコントラストによって最新のエルゴノミックデザインをいっそう引き立てる。自動巻き(Cal.4401)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。ブラックセラミックス×18KYGケース(直径43mm、厚さ14.4mm)。10気圧防水。803万円(税込み)。


コラボレーションを通じて進化を重ねる、ロイヤル オーク オフショアの30年

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ Ref.25721

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
1993年に正式デビューした初代Ref.25721。ジェラルド・ジェンタによるオリジナルデザインを尊重しながらも、若者に向けてデザインしたオーバーサイズのスポーティーなクロノグラフは賛否両論を呼んだ。自動巻き(Cal.2226/2840)。54石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約42時間。SSケース(直径42mm、厚さ14.05mm)。10気圧防水。

「ロイヤル オーク オフショア」のファーストモデルは30年前の1993年に登場した。当初は「ロイヤル オーク」の20周年を記念するモデルとして計画され、若者向けにロイヤル オークをアレンジすることがテーマになったこの腕時計のデザインを手掛けたのは、社内デザイナーのエマニュエル・ギュエ。プロジェクトがスタートした89年の時点では、まだ22歳だった。名称はオフショア モーターボートレースに由来し、若者たちのスポーティーでアクティブなライフスタイルにマッチした腕時計を目指していた。

エマニュエル・ギュエ

弱冠22歳でロイヤル オーク オフショアのデザインを任されたエマニュエル・ギュエ。賛否両論を呼び、ジェラルド・ジェンタの怒りを買った彼の大胆なデザインは、やがてオフショアのDNAとなり、30年を経た今なお現行42mmモデルのDNAとして生き続けている。

 そうして完成したのは、直径42mm、厚さ14.05mmのケースに自動巻きクロノグラフを収めた、当時としては桁外れのオーバーサイズでボリュームのあるロイヤル オーク。これがオリジナルデザインを手掛けたジェラルド・ジェンタの怒りを買ったのは有名なエピソードだ。「ビースト(野獣)」と揶揄されたオフショアは、社内での評判は芳しくなく、市場での評価も賛否が分かれた。2000年前後から若者の感覚にマッチした、いわゆる「デカ厚」がブームになるのだが、オフショアこそが時代を先取りするモデルだったのだ。

ロイヤル オーク オフショアのスケッチ

初代ロイヤル オーク オフショア

1993年の初代ロイヤル オーク オフショアは、若い世代向けの腕時計というイメージを打ち出すために、機能的にはクロノグラフを搭載し、ケースは存在感のあるサイズ、なおかつ100m防水を基本仕様とした。要件の最適化を経て直径42mm、厚さ14.05mmのケース、厚いパッキン、カラーラバーに包まれたリュウズとプッシュボタン、丸みを帯びた厚めのリンクを連ねるタフなブレスレットが生まれる。

 オフショアの人気はまた、さまざまなコラボレーションにも多くを負っている。時計好きで知られる俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーは早くからオフショアを個人的に愛用していて、1997年にジュウ渓谷ル・ブラッシュの本社を訪れ、オフショアのオリジナルモデルを共同で創作することになった。ケースからストラップまでをオールブラックで仕上げたこのモデルは、99年に「ロイヤル オーク オフショア エンド オブ デイズ」として発売され、彼が主演する同名の映画の封切りを飾り、一躍有名になった。

 オフショアは90年代からスポーツイベントとも関わりを持ったが、2000年代に入りその名を広めたのは、スイスのヨットチーム「アリンギ」とのコラボレーションだ。アリンギは03年に海がない国として初めてアメリカズ カップで優勝を果たし、オーデマ ピゲはオフショアの記念限定モデルを発売。さらに2度目の優勝を祝すモデルも人気を集めた。ヨットでは、08年のレディキャット女子ヨットチームを記念したピンクのオフショアもそのひとつだ。

ロイヤル オーク オフショア エンド オブ デイズ

ロイヤル オーク オフショア エンド オブ デイズ
「ロイヤル オーク オフショア」と最初に提携した有名人は俳優のアーノルド・シュワルツェネッガー。コラボレーションによるオリジナルモデルRef. 25770SNは、主演映画にちなみ「エンド オブ デイズ」と命名された。42mmのブラックPVDスティール製モデルの売り上げの一部は、彼のInner City GamesFoundationという財団に寄付された。
ロイヤル オーク オフショア アリンギ

ロイヤル オーク オフショア アリンギ
2000年にスイスのヨットチーム、アリンギとパートナーシップを結ぶ。3年後、アリンギのアメリカズ カップ優勝を記念し、最初のRef.25995IPが1000本限定で発売された。42mmケースはチタン製で100m防水、6時位置にデュアルタイム表示を装備。07年には2度目の優勝を祝し、フォージドカーボンのモデルも発売された。

 またマリンスポーツのほかにも、ファン・パブロ・モントーヤやミハエル・シューマッハといった多くの俊英カーレーサーたちとパートナーシップを結び、08年から12年にかけては有名なカーレースにちなんだ特別モデルも続々登場した。

 05年からはミュージシャンとのコラボレーションも始まる。ヒップホップミュージシャンであるジェイ・Zのデビュー10周年を記念する特別限定モデルだ。これを機に音楽の分野でもオフショア愛好者が増え、ストリートカルチャーとの結び付きを強めていく。

 オフショアはこの30年間でさまざまなサイズや素材、機能を展開しながら230以上のバリエーションを作り出してきた。デビュー当初、否定的な意味で使われた「ビースト」には、それとは逆に俗語表現で「めちゃかっこいい」という意味もある。愛好者たちがパワフルで並外れた腕時計に発見した魅力は、まさにそれなのかもしれない。

ロイヤル オーク オフショア Jay-Z アニバーサリー

ロイヤル オーク オフショア Jay-Z アニバーサリー
2005年にミュージシャンとの初のコラボレーションを開始。人気ラッパー、ジェイ・Zのデビュー10周年を祝い、オートオルロジュリーとヒップホップを結ぶ初のモデルを発表。Pt20本、18KPG30本、SS50本の計100本の限定モデルは、腕時計を収めたスペシャルボックスにアーティストの楽曲が入った携帯型デジタル音楽プレイヤーが付属した。
ロイヤル オーク オフショア レディキャット

ロイヤル オーク オフショア レディキャット
マリンスポーツとの関係を深め、ヨットの女性チーム、レディキャットにちなみ、レディキャットカタマランにインスパイアされたフューシャピンクをアワーマーカー、ラバーストラップとプッシュピースなどに用いた150本限定モデル(Ref.26266SK)を発表。のちのカラフルな「オフショア ダイバー」の先駆けとなった。


カルチャーとの融合によって推し進める、ネクストジェネレーションへのアプローチ

 ロイヤル オーク オフショアの型破りな個性を受け入れ、熱烈に支持した者は、従来とは違った価値観を持つ人々だった。ラッパーとして人気を博し、音楽ビジネスでも大成功を収めたスーパースター、ジェイ・Zとの2005年のコラボレーションモデルはひとつの象徴だった。若い世代を中心とした新たなカルチャーのアイコンとして熱烈なファンを獲得するオフショアは、さらに音楽シーンやファッションとの関わりを深めていく。

ロイヤル オーク オフショア ミュージックエディション

ロイヤル オーク オフショア ミュージックエディション
カラフルなイコライザーダイアルにブラックセラミックスを組み合わせた最新作はケース径37mm、厚さ12.1mm。ダイアルの模様を模したモザイクエフェクト調のインターチェンジャブルブラックラバーストラップほか3本の交換ストラップが付属。自動巻き(Cal.5909)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。5気圧防水。ブティック限定250本。561万円(税込み)。

 オーデマ ピゲは、スイス、レマン湖畔のモントルーで開催されてきたジャズ・フェスティバルのグローバル・パートナーを19年から務め、22年には長期提携プログラムを発表した。同年開催のモントルー・ジャズ・フェスティバルに合わせて発表されたのが「ロイヤル オーク オフショア ミュージックエディション」である。特徴的なのは、ミキシングコンソールのイコライザーを思わせるダイアルのデザインだ。ダイアルのタペストリー模様に施されたカラフルな10色のペイントは周波数のグラフィックメーターを表現し、ミキサーの調整用スライドノブを模したリュウズガードとスライドレールを刻むケースサイド、はたまたケーブルのプラグジャックの特徴的な溝模様を刻んだブレスレットのリンクなどは、遊び心もさることながら、その前代未聞の表現がファンを喜ばせた。

 再びフェスティバルに合わせ、23年7月に発表された第2弾のロイヤル オーク オフショア ミュージックエディションでは、ブラックセラミックスによる新バージョンが追加された。ケースは前作の43mmより小ぶりで着けやすい37mmを採用し、ケースサイズに合わせて最新世代の薄型自動巻きムーブメントを搭載した。タペストリー模様にカラーペイントでグラフィックメーターを表現したイコライザーダイアルは前作と同様だが、ダイアルのモザイクエフェクトと同調するブラックラバーストラップも腕時計に一段とカジュアルな雰囲気を演出している。

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフの1017 ALYX 9SMコラボモデル

ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ
マシュー・ウィリアムズのファッションブランド1017 ALYX 9SMとのコラボレーションによって誕生したロイヤル オーク オフショア クロノグラフ。ケース、ブレスレットと同色のゴールドでモノトーンを成すダイアルは、APロゴと1017 ALYX 9SMのブランドネーム、針と日付表示のみを配した超ミニマルデザイン。モデルは右のホワイトゴールドと左のイエローゴールドの2種類。両モデルともインターチェンジャブルシステムを採用し、ブラックのラバーストラップが付属する。自動巻き(Cal.4404)。40石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約70時間。18KWGまたは18KYGケース(直径42mm、厚さ15.3mm)。10気圧防水。世界限定各76本。要価格問い合わせ。

 以前からファッションの分野に多くの愛好者がいるオフショアだが、アメリカの気鋭のデザイナー、マシュー・ウィリアムズが創設したブランド、1017 ALYX 9SM(アリクス)とのコラボレーションが実現し、23年8月に新しいモデルが誕生した。カリフォルニアとニューヨークで育ったバックグラウンドをもとに、サブカルチャー、ストリートファッション、モダンなクラフツマンシップなどがミックスした彼の革新的な創作は、オフショアに受け継がれる精神にも通じる。

マシュー・ウィリアムズ

マシュー・ウィリアムズ。独学でファッションを学び、2015年にファッションブランド1017 ALYX 9SMを創設。ウェア、アクセサリー、シューズを展開する。20年にはジバンシィのクリエイティブディレクターに就任してウィメンズとメンズウェア両方の指揮を執る。

 そのモデルは、42mmのロイヤル オーク オフショア クロノグラフ、ロイヤル オークの37mmオートマティックと41mmのクロノグラフ、恵まれない子供たちを支援するオークションのために1点のみ製作された41mmのロイヤル オーク クロノグラフの5種類。これらに共通するのは、両者のブランドネームのみを配し、究極のミニマリズムを追求したダイアルである。時刻表示のための目盛りはなく、さらにクロノグラフに至っては、スモールセコンドや積算計の目盛りもなく、針だけが回転するという初のデザインである。それは、腕時計に、機能性を超える新しい世界と価値観をもたらすかのようだ。

 こうして今や都会的でファッションを愛する若い世代をも迎え入れたロイヤル オーク オフショア。分野を超える関係を通して新しい世界を次々に開拓してきたオフショアは、ネクストジェネレーションに向けて強力なメッセージを発信し続け、共感を呼ぶ頼もしい存在に違いない。





ファン層のさらなる拡充に向けて設置された、画期的なエデュテインメントプレイス

 2023年7月、オーデマ ピゲはブランドとして世界初となる機械式時計のエデュテインメント施設「AP LAB Tokyo」を、東京・原宿にオープンさせた。時計に関する知識を“楽しみながら学べる”体験型のコンテンツが用意され、オーデマ ピゲの熱心なファンや時計愛好家はもちろん、機械式時計に触れる機会のなかった世代にもその魅力を発信する、新たなタッチポイントとなっている

AP LAB Tokyo

1階には5つのアトリエが設置され、それぞれのテーマに即した5種類のゲームを用意。ゆったりとしたスペースの中、高級時計に関する知識を楽しみながら習得できる。

 音楽カルチャーとの深いつながりを示す「ロイヤル オーク オフショア ミュージックエディション」のリリースや、ファッションブランド1017ALYX 9SMとのコラボレーションといったサブカルチャーとの積極的な連携に加え、次の高級時計シーンを支える若い世代にアプローチするべく、オーデマ ピゲが世界に先駆けて日本で展開しているのが、「AP LAB Tokyo」だ。

 ここは、近年注目されている、エデュケーション(学び)とエンターテインメント(娯楽)が融合した“エデュテインメント”の形態を取り入れた施設。「ロイヤル オーク」が誕生50周年を迎えた2022年には、体験型コンテンツを用意した記念エキシビションが実施されて好評を博したが、AP LAB Tokyoはその内容をさらに発展させ、商品の販売はもちろん、過去〜現行モデルの展示も行わない中で機械式時計とブランドの歴史や魅力を発信するという、近年のオーデマ ピゲらしさが凝縮されたタッチポイントだ。場所も多くの人が行き交う東京・原宿のキャットストリート近くに位置しており、若年層をはじめ、幅広い世代がアクセスしやすいようになっている。

AP LAB Tokyoのアトリエ2

「素材」をテーマにしたアトリエ2では、オーデマ ピゲの時計に用いられる素材を、触感を頼りに当てるゲームを実施。ブースの奥には階段が見えるが、5つのゲームをクリアしないと次のステージ(2階)には進めない。
AP LAB Tokyoのアトリエ5

アトリエ5は「天体」がテーマ。巨大な太陽系儀によってムーンフェイズ機構の概念を学べるようになっているが、精巧な太陽系儀の動きも見どころのひとつだ。

 施設内は2フロア構成になっており、来場者がまず足を踏み入れるのが1階のメインフロアだ。ここには「時間」「素材」「機構」「音」「天体」をテーマにした5つのゲームを用意。時計に用いられる素材やムーブメントの基本的な構造、さらにはリピーターやムーンフェイズといった複雑機構の概念などの高級時計に関する知識を、ゲームとスタッフの分かりやすい解説によって習得しつつ、オーデマ ピゲの歴史や職人技に対する理解も深められるようになっている。いずれのゲームも至ってシンプルな内容ではあるのだが、来場者個人の“感覚”が試されるゲームも用意されており、熱心な時計愛好家であっても簡単にクリアできるわけではないところがポイントだ。クリアできなければ二度三度と足を運んでチャレンジしたくなるところにAP LAB Tokyoの面白さがある。

 5つのゲームすべてをクリアするといよいよ進めるのが、2階に展開されるマスタークラス。このフロアにはオーデマ ピゲの時計師が常駐しており、彼らの丁寧なレクチャーを受けながら、高級時計の製造に用いられるさまざまな技術にチャレンジできる。難題をクリアした先に待っているのは、時計師としての貴重な体験というわけだ。

AP LAB Tokyoのマスタークラス

2階はマスタークラスとなり、高級時計に用いられる数々の技術が実体験できる。壁面には、オーデマ ピゲが創業した地であり、今も時計製造が行われているスイス・ジュウ渓谷の風景が広がる。

 サテン仕上げをはじめ、半円を連ねたペルラージュ、霜で覆われたような表情を見せるフロステッド装飾などの技術を実体験できるのはもちろんのこと、希望者には後日、ムーブメントにカレンダー機構の組み付けが行えるのも、AP LAB Tokyo以外では得られない機会だ。しかもこのワークショップでは、オーデマ ピゲの技術者が着用するものと同じ白衣を着て作業に臨むことができ、時計師の気分を味わわせてくれるのも、来場者にはうれしい体験だろう。

AP LAB Tokyoのマスタークラス

フロアには五角形のカウンターが設置され、机上には専用工具や拡大鏡も用意される。来場者はオーデマ ピゲの時計師と同じ白衣を着用し、繊細な作業を体験できる。

 時計愛好家が楽しめるのはもちろんのこと、時計の知識が深くない人にもその魅力を分かりやすく伝えてくれるAP LAB Tokyo。単にブランドと顧客のタッチポイントであるだけでなく、若い世代を高級時計の世界に誘う、画期的な施設なのである。

AP LAB Tokyo

AP LAB Tokyoの外壁には、ル・ブラッシュの「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」のガラスパビリオンに使われているものと同じ、ブロンズ色のメッシュパネルを採用している。

AP LAB Tokyo

住所/東京都渋谷区神宮前5-10-9
電話/03-6633-7000
営業時間/11:00~19:00
定休日/火曜日
入場料/無料

※予約優先、予約なしでの入場も可能
専用サイト( https://aplb.ch/g58k )から予約可能



Contact info: オーデマ ピゲ ジャパン Tel.03-6830-0000


オーデマ ピゲ 止まらない躍進「ロイヤル オーク オフショア×ミュージック」

https://www.webchronos.net/features/87093/
オーデマ ピゲ 24時間受付を可能にしたウェブピックアップサービス

https://www.webchronos.net/features/102368/
2023年 オーデマ ピゲの新作時計まとめ

https://www.webchronos.net/features/93578/