オメガ「シーマスター 300」の魅力とは? 歴史と特徴を解説

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2023.04.30

オメガの人気モデル「シーマスター 300」は、初期型の復刻版として発表されたモデルだ。初代のヴィンテージ感を失わず、上品なデザインから幅広い層の人気を集めている。特徴や歴史を解説し、シーマスター 300の魅力に迫る。

シーマスター300


オメガ屈指の人気作「シーマスター 300」の特徴

2017年に発表された新生シーマスター 300は、半世紀以上の時を経て復活した本格ダイバーズウォッチである。まずは、モデルの基礎知識と特徴を押さえておこう。

初代モデルの復刻時計

初代「シーマスター 300」は、オメガ初の本格ダイバーズウォッチとして誕生したモデルである。潜水や水中作業を行うプロフェッショナルのために、特別なデザインを備えて1957年に発表された。

シーマスター300 歴代

シーマスター 300の変遷。初代のデザインをベースに、アップデートされていることが見て取れる。

50年以上の時を経て、シーマスター 300は2014年に新生モデルとして復刻を果たす。初代の意匠を受け継ぎつつ、時代に即した実用性と魅力的な外観をまとい、進化を遂げた高級スポーツウォッチとしてよみがえった。

マイナーチェンジを繰り返したオリジナルシリーズが1970年代に生産終了した後も、シーマスター 300の名はプロフェッショナル用の潜水モデルに使われている。しかし、新生シーマスター 300は、初代モデルの純粋な復刻版だ。

文字盤やケースのデザインは、初代とほぼ変わらない。非凡な性能を誇るムーブメントを新たに搭載し、最新鋭の中身を与えられた腕時計として生まれ変わっている。

本格ダイバーズウォッチとしての実力

シーマスター 300の大きな特徴は、ダイバーズウォッチとしての優れた防水性と堅牢性である。初代モデルの200m防水は、同時代のロレックスの名機「サブマリーナー」と同等のスペックだ。

モデル名の「300」は、300m防水を目指して開発されていたことに由来している。当時は200mまでしか計測技術がなかったものの、300m防水を実現すると確信して名付けられたと言われている。

現行のシーマスター 300は、いずれも300mの防水性を備えているモデルだ。シーマスターコレクションの中には、水深1200mの水圧に耐えられるよう設計されたモデルも存在する。


シーマスター 300の歴史

ダイバーズウォッチとして誕生したシーマスター 300は、50年以上もの長い時を経て、高い実用性を備えたヴィンテージモデルとして鮮やかな復活を遂げた。誕生から復刻までの歴史を見ていこう。

1957年 初代シーマスター 300の誕生

1957年は、現在も販売が続くオメガの代表3モデルが誕生した年である。その3モデルとは「スピードマスター」「レイルマスター」「シーマスター 300」だ。

シーマスター300

1957年に発表された初代シーマスター300。オメガ初のプロフェッショナル向けダイバーズウォッチとして登場した野心作だ。ニトリル製のOリングや、ナイアス高耐圧リュウズ、変形しにくいアーマードガラスなどの技術を採用することで、初代シーマスターから性能を大幅に向上させた。

いずれもオメガのプロフェッショナルラインとして、60年以上にわたり高い人気を誇っている。

宇宙をイメージさせるスピードマスターと、鉄道時計のコンセプトを持つレイルマスターと併せて、初代シーマスター 300はオメガ初の本格ダイバーモデルとして発表された。

50年代は、ロレックスのサブマリーナーなど優れた防水性を持つダイバーズウォッチが、各社から多数リリースされた年でもある。これらに対抗するため、過剰とも言える防水性を持たせて開発されたのが、初代シーマスター 300である。

2014年 新生シーマスター 300として復刻

初代モデルの登場から50年以上の時を経て、シーマスター 300は2014年に新生モデルとして復刻した。

シーマスター300

オメガ「シーマスター 300」
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径39mm、厚さ14.1mm)。30気圧防水。生産終了。

ケース・文字盤のデザインは、初代モデルを忠実に再現している。一見すると単なるレトロウォッチだが、内部には最新の性能が搭載された。

最大の特徴は、1万5000ガウス以上の耐磁性を備えたムーブメント「マスター コーアクシャル」を搭載したことだ。これによって、日常使用において磁気帯びする可能性はほとんどない。

高級時計としての質感を与えられていることもポイントである。近年のオメガに見られる品質改善への取り組みが、新生シーマスター 300にも反映されている。

2017年 トリロジーコレクションの発売

初代モデルの誕生から60年後の2017年には、オメガのプロフェッショナルライン3モデルのそれぞれで、60周年記念モデルがトリロジーコレクションとして発表された。

シーマスター 300 1957 トリロジー60周年リミテッド

オメガ「シーマスター 300 1957 トリロジー60周年リミテッド」
自動巻き(Cal.8806)。35石。2万5200振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径38mm、厚さ12.7mm)。60m防水。生産終了。

シーマスター 300においては、初代モデルを基にした世界限定3557本のモデルがリリースされている。

リュウズにはナイアードの印が、ケースバックにはシーホースが刻まれている。いずれも1957年当時のパッケージにインスパイアされたデザインだ。ムーブメントは、オメガが誇るマスター クロノメーターが搭載されている。


シーマスター 300が支持される理由

シーマスター 300は、オメガの傑作として高い評価を集めているモデルだ。性能、デザイン、コストパフォーマンスの観点から、主な特徴を紹介する。

マスター コーアクシャルを搭載

シーマスター 300には、マスター コーアクシャルを搭載したムーブメント「Cal.8400」を組み込んでいる。マスター コーアクシャルは、オメガの独自機構であるコーアクシャルの上位型だ。

キャリバー8400

3つの爪石が駆動するガンギ車は風車状になっており、低摩擦で安定した脱進が可能である。ヒゲゼンマイやテンプをはじめとした部品には、耐磁性の高い素材を採用している。

マスター コーアクシャルを搭載することにより、Cal.8400では1万5000ガウスの圧倒的な耐磁性を実現した、信頼性の高いムーブメントである。

ヴィンテージ感あふれるデザイン

2014年発売のシーマスター 300は、初期型のデザインを極めて忠実に再現している。相違点は秒針の先端や12時位置のポイントを含むベゼルのデザインぐらいだ。

日焼けのようなカラーリングの夜光塗料や、1950年代当時の雰囲気を醸し出すブレスレットデザインなど、全体がヴィンテージ感あふれるデザインとなっている。

シーマスター300

一方、ベゼルのセラミックスが放つ独特の光沢や裏蓋のトランスパレントバックには、近年のトレンドが反映されている。レトロの中にモダンな要素を絶妙に取り入れたデザインと言えるだろう。

コストパフォーマンスの高さ

シーマスター 300は、コストパフォーマンスの高さも特徴である。高精度のムーブメントを搭載し、コーアクシャル脱進機による優れた性能を誇っていながら、他ブランドより入手しやすい。

ステータスの高さを獲得できることも魅力と言えるだろう。30~40代になると、時計にもある程度のステータスが求められる。

シーマスター300

スイスを代表するビッグネームのオメガは、見る人に十分誇れるブランドだ。初めて高級な腕時計を購入する人にもおすすめできる。