ハリー・ウィンストンの時計をチェック。歴史や人気モデルを知ろう

FEATUREその他
2021.11.10

革新性あふれるコレクション

ハイジュエラーとしての歴史を持つハリー・ウィンストンは、時計に従来の文脈では考えられなかった解釈を与え、それが大きな魅力となっている。

豊富なコレクションの中から、特に斬新で芸術的なものを紹介しよう。

オーパス・シリーズ

「オーパス」シリーズは、一般的な時計という概念を超えた、革新的で大胆なモデルを提示する。

2001年、独立時計師とのコラボレーションから誕生したもので、ずば抜けた発想と技術力により、発表されるたびに時計業界を驚嘆させてきた。

2015年に発表された「オーパス14」を例にとって説明する。これは、1950年代のジュークボックスをイメージして作られた時計であり、時表示ディスクと3枚の選択式ディスクを持つ。

ジュークボックスでレコード盤を取り出すような動きを見せる「オーパス14」。9時位置のローカルタイム表示の下に3枚のディスクを備えており、右下のプッシュボタンを押すことで2時位置のディスクが入れ替わる仕組みを持つ。オートマトン機構を備えた手巻き(Cal.HW4601)。2万8800振動/時。124石。ムーブメント用の香箱とディスク作動用の香箱をふたつ備え、各パワーリザーブは約68時間、ディスクは最大5往復。18KWG(直径54.7mm、厚さ21.9mm)。3気圧防水。世界限定50本。

一見して、どういった機能を持つか判断できないデザインとなっているが、ボタン操作すると、ジュークボックスのように9時位置から2時位置にGMTディスク、カレンダーディスク、そしてハリー・ウィンストンのサイン入り(写真)スターディスクがスライド表示される仕組みとなっている。

「オーパス」シリーズの発表は不定期で、多くの好事家が次作を楽しみにしている。

イストワール・ドゥ・トゥールビヨン

複雑機構の代名詞として語られることの多いトゥールビヨンだが、「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン」は世にラインナップするトゥールビヨンにあっても群を抜いて独創的である。

イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 8
手巻き(Cal.HW4503)。92石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWG(直径50.9mm)。3気圧防水。

たとえば「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン8」は、ダイアルの8時位置と10時位置にふたつの2軸トゥールビヨンを配す。それぞれのトゥールビヨンの外側のキャリッジは75秒で1回転、内側のキャリッジは45秒で1回転する。球体作動装置でふたつを連結、平均化することで高い精度を実現している。

2019年発表の「イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 10」に至っては、ブランド史上初となる、4つのトゥールビヨンを搭載した。それぞれ36秒で1回転し、3つのディファレンシャルギアで連結される。

イストワール・ドゥ・トゥールビヨン 10
手巻き(Cal.HW4702)。95石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約55時間。18KWG(縦39.1×横53.3mm)。3気圧防水。

これは、第10作目として発表されたモデルである。コレクション最終章を飾るにふさわしい、革新性に溢れる存在感を放つ。

HW オーシャン・コレクション

「HW オーシャン」は、1998年に誕生。スポーティーかつエレガントなデザインをベースに、多様な文字盤の意匠に加え、搭載する機構のバリエーションが豊富なコレクションである。

ルテニウムクリスタル(結晶化したルテニウム)を時計に初採用した「HW オーシャン・スパークリング バイレトログラード オートマティック 42mm」。ルテニウムはプラチナなどの仲間となる希少な貴金属で、酸化や腐食に強く、ほとんどの金属を溶かすとされる王水(濃塩酸と濃硝酸の混合液)にも溶けにくいという特性がある。この金属をダイアルに使用し、127個のラウンド・ブリリアント・カット ダイヤモンドで飾った華やかなモデル。自動巻き(HW3305)。パワーリザーブ約65時間。18KWG(直径42.2mm、厚さ10.62mm)。10気圧防水。1425万円(税別)。世界限定20本。

「HW オーシャン・スパークリング バイレトログラード オートマティック 42mm」は、ハリー・ウィンストンのアイコンといえるふたつのレトログラード表示を備えるモデルだ。レトログラード式で示されるのは秒(8時位置)と曜日(4時位置)。そしてジュエラーとしてのアイコンであるダイヤモンドが煌めきを魅せる。極めてハリー・ウィンストンらしいモデルといえよう。

プロジェクト Z

「プロジェクト Z」は2004年に発表された「プロジェクト Z1」にはじまり、2019年に13番目のモデルを発表した。限定生産となるこのシリーズ名の“Z”はザリウム(Zalium)の頭文字から取られている。“ザリウム”とはジルコニウムを主成分とする特殊合金でチタンより強靭で軽量、かつアレルギー反応を起こしにくい素材である。この宇宙工学にも使用される素材は、ハリー・ウィンストンが独自に採用するものだ。

「プロジェクト Z」は伝統的な時計製造技術と革新的な技術を組み合わせ、次世代の時計の姿を創造することを目的としており、この素材こそケースに採用するにふさわしいといえる。多くのモデルがアシンメトリーなデザインを採用しているが、「プロジェクト Z12」ではシンメトリーなデザインで斬新な複雑機構のスタイルを生み出した。

プロジェクトZ12
自動巻き(HW3306)。2万8800振動/時。35石。パワーリザーブ約68時間。ザリウム(直径42.2mm、厚さ11.27mm)。10気圧防水。世界限定300本。285万円(税別)。

「プロジェクト Z12」では、上下に配置されたふたつのレトログラードで時表示と分表示を行う。一見シンプルな文字盤は緻密な構成により成り立ち、見るほどに独創性を感じさせる。また日付は外周に表示されるが、その方法は日付表示の下を移動する蛍光素材に照らされることで白く浮き上がる。既成概念を覆す、新機軸の時計である。

2019年、同一デザインでケースをゴールドに変更したモデルが「HW オーシャン」から発表された。本来のスポーティーな雰囲気に優美さが加わり、新たな魅力あふれるモデルとなっている。


クラシカルさが魅力のコレクション

ハリー・ウィンストンのコレクションのなかでもシンプルなデザインが際立つコレクションを紹介しよう。

HWミッドナイト・コレクション

HW ミッドナイト・デイト ムーンフェイズ オートマティック

HW ミッドナイト・デイト ムーンフェイズ オートマティック 42mm
自動巻き(Cal.HW3203)。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約68時間。18KWG(直径42.5mm)。3気圧防水。

「HWミッドナイト」コレクションは、クラシックなラウンドケースを採用した、シンプルかつエレガントなコレクションである。

クラシックながらもニューヨークの都会的で洗練された印象を醸し出す。

無駄のないスマートなベゼルを活かし、文字盤のデザインや搭載される機能はバリエーションも豊富。またケースサイズも29mmから42mmまで幅広くラインナップし、ペアモデルとしてもおすすめだ。

HW プルミエール

HW プルミエール

「HW プルミエール」は1989年、ハリー・ウィンストンが初めて時計を発表したときから続く、最も歴史の長いコレクションだ。

ラグにデザインされた3つのアーチはニューヨークにある本店のファサードから着想を得たものである。

現在、ハリー・ウィンストンのお家芸とされる“レトログラード”は「HW プルミエール」のデビューコレクションにバイレトログラード・パーペチュアルカレンダーとして、早くも搭載されている。これはアジェノー社のジャン・マルク・ヴィダレッシュ氏の協力を得て開発されたもの。以来30年にわたり、この機構はブランドで大切に育まれてきた。

文字盤装飾は工芸と芸術の融合を果たす見事な意匠が揃い、“作品”としての存在感すらにじませている。

HW エメラルド

HW エメラルド

(左)時計としての実用性とジュエリーの華やかな存在感を兼ね備える「HW エメラルド」。クォーツ(Cal.HW1040)。18KRG(縦24×横17.7mm)。3気圧防水。150万円(税別)。
(右)自動巻きムーブメント(Cal.HW2003)を搭載した「HW エメラルド・オートマティック 33mm」。28石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。18KWG(縦39.3×横33.3mm)。3気圧防水。230万円(税別)。

「HW エメラルド」は、創始者が愛したエメラルドカットをモチーフにしたケースフォルムを持つ、ハリー・ウィンストンの伝統を感じさせるコレクションだ。

美しいファセットで構成されたケースやダイアルが際立つ、シンプルなデザインが特徴だ。

これまではレディースのみの展開であったが、2019年には待望のメンズが発売された。