webChronos Chronos special

BLANCPAIN Manufacture de haute horlogerie

今を生きる「伝説」

“世界初のモダンダイバーズウォッチ”

ブランパン
「フィフティ ファゾムス」
最前線

1953年、ブランパンは近代的なダイバーズウォッチの"祖"とも言うべき「フィフティ ファゾムス」を発表した。このフィフティ ファゾムスは、今やブランパンを代表するタイムピースであるだけでなく、伝説のダイバーズウォッチとして時計史上にその名を刻む。かつ、現代のダイバーズウォッチの礎として、その定義の確立にも多大な影響を与えた。そう、ブランパン「フィフティ ファゾムス」はダイバーズウォッチの"歴史"そのものであると同時に、今なお多くの時計愛好家を魅了してやまない最新・最先端のダイバーズウォッチでもあるのだ。その歴史の要諦と最新モデルの詳細をマクロとミクロの視点からお届けする。

ブランパン、奥山栄一:写真
Photographs by Blancpain, Eiichi Okuyama
鈴木幸也(クロノス日本版):文
Text by Yukiya Suzuki (Chronos-Japan)

ブランドヒストリー

「世界最古」を謳う
マニュファクチュールの伝統と革新

1735年、スイスのジュラ山脈において、ジャン-ジャック・ブランパンによって創設された、現存する世界最古と言われている時計ブランド「ブランパン」。かつてのフレデリック・ピゲを傘下に収めることで、現在、すべての時計に内製化ムーブメントを搭載するスイスでも数少ないマニュファクチュールである。
社内でほとんどの部品とツールの開発と製造を行い、時計製造のスペシャリストや時計職人を社内で教育し、ひとりのウォッチメーカーがひとつのムーブメントを手作業で組み立てるというコンプリケーションの生産体制や、肉眼ではとらえられない細部に至るまで完全に手作業で行われる丹念な仕上げなど、ブランパンの強みは、スイスの時計製造の伝統を守り、かつ素材や機構において革新的な技術を採り入れることで、独自のタイムピースを創作できる点にある。
この11年の間にも、ル・ブラッシュを拠点とするマニュファクチュールは、傑出した創造性を発揮し、35個もの新型ムーブメントを発表してきた。さらに、同社は、過去だけでなく未来をも展望し、その強みである伝統と革新の両立に努め、毎年発表される新作によってその挑戦は次々と現実のものとなっている。

1953 レジェンド
ダイバーズウォッチ誕生

ジャン-ジャック・フィスターと
ロベール・マルビエの情熱が生んだ
ダイバーズウォッチの原点

1953年、近代的なダイバーズウォッチの黎明期、「フィフティ ファゾムス」はその先駆けとして誕生した。
今やブランパンの象徴的な存在となったこのタイムピースは、ブランパンの当時のCEOジャン-ジャック・フィスターが自身のスキューバダイビング体験とダイビングへの情熱から導き出した構想に加え、ロベール"ボブ"マルビエ大尉とクロード・リフォ中尉が率いる新設のフランス海軍潜水戦闘部隊(フロッグマン部隊)の要望が一体化することによって生まれた。
このオリジナルのフィフティ ファゾムスに投入されたアイデアとコンセプトこそが、それ以降の時計業界におけるダイバーズウォッチの定義の確立に多大な貢献をしたのだ。

生まれながらの「伝説」
初代フィフティ ファゾムス

初代フィフティ ファゾムスが「伝説」のダイバーズウォッチと呼ばれるのには理由がある。当時のブランパンCEOのジャン-ジャック・フィスターは、自身のダイビングの経験から、ダイバーの命を守るためには潜水時間を正確に計測できる計時装置の重要性を痛感していた。そこで彼は、自社の時計師たちに水中での正確な計時に取り組むという難題を与えた。
 まず持ち上がったのは、防水性の問題であった。この問題を解決するために、フィスターたちは、二重密閉構造のリュウズシステムの開発に取りかかった。結果、リュウズにふたつのOリングを内蔵することで、潜水中に誤ってリュウズが引き出されてしまっても、内側に仕込まれたふたつ目のパッキンが腕時計の中に水が浸入するのを防ぎ、腕時計の防水性を確保。フィスターはこの発明で特許を取得した。
 加えて彼は、裏蓋の密閉システムにおいても特許を取得。既存のシステムでは、裏蓋の密閉時に使用されるOリングが、裏蓋をケースに固定する際に歪んでしまうことがあった。このリスクを回避するため、フィスターたちは補助的なメタルディスクを用いることで、挿入されたOリングを定位置で固定させる方法を考案した。

 さらに、彼らは3つ目の問題と対峙した。ダイバーにとって生死に関わる潜水時間を正確に測定するための安全な回転ベゼルの開発である。彼らが思い至ったアイデアは、ベゼルを回転させ、ベゼルに配された目盛りのゼロ位置を分針に合わせることで、潜水時間を計測しようというものであった。ただし、回転ベゼルが誤って動いてしまうと、潜水時間の計時が正しく行われない。したがって、彼らは回転ベゼルをロックする機構をも完成させた。フィスターは、この機構でも特許を取得するが、後にブランパンは、現在では一般的な逆回転防止ベゼルを導入する。

 最後にフィスターたちが取り組んだのが、視認性である。言うまでもなく、水中では潜水深度が増すほど光量は減少し、視認性は低下する。彼らが考えたのは、フィフティ ファゾムスの直径を拡大し、インデックスと針にホワイトの蛍光塗料を塗布することで、ブラックダイアルとのコントラストを高め、視認性を向上させるという手法であった。また、蛍光塗料は暗所での視認性を確保することは言うまでもない。

 こうしたいくつもの発明の結果、フィフティ ファゾムスはダイバーズウォッチの元祖としての形態を整えていったのだが、時を同じくして、切実にダイバーズウォッチを希求していた男たちがいた。フランス海軍潜水戦闘部隊を創設したロベール"ボブ"マルビエ大尉とクロード・リフォ中尉である。彼らは自らの部隊の水中での任務を遂行するため、それに耐えられるダイバーズウォッチを探していたが、自国フランス内でもなかなか見つけ出せないでいた。

 1953年、ダイバーズウォッチを探求し、それぞれの道を進んでいた男たちのふたつの動線が交差する時がきた。ブランパンが困難を乗り越えて開発したダイバーズウォッチをフランス海軍潜水戦闘部隊に納品し、彼ら部隊の基準を満たしているかどうか、試験が行われることになったのだ。果たして、このダイバーズウォッチは、すべてのテストにおいて優れた結果を収めた。それだけでなく、この時計は各国の海軍で同様の成果を挙げた。まさにその唯一無二のダイバーズウォッチこそが、ブランパンのフィフティ ファゾムスだったのだ。

「ブランパン」ワールドへの誘い

ブランパンは、1953年に初代フィフティ ファゾムスを世に送り出して以来、長年にわたってさまざまなかたちで海洋保全活動に取り組んできた。2014年には「ブランパン オーシャン コミットメント」という名の下にそれらの活動が統合され、限定モデル第1弾が発表された。そして引き続き、2016年秋には限定モデル第2弾「ブランパン オーシャン コミットメント フィフティ ファゾムス バチスカーフ フライバック クロノグラフⅡ」が発表され、世界250本限定で販売された。このモデル1本の販売につき1000ユーロが海洋探査のために寄付され、結果、総額25万ユーロがブランパンの海洋保全活動支援へと充てられた。
今後も、ブランパンは、海洋保全活動により一層積極的に貢献していくことを明言している。左の動画では、フィフティ ファゾムスから始まるブランパンとダイビングの密接な関係、そして「ブランパン オーシャン コミットメント」を中心とした、ブランパンの海洋保全活動の歴史と概要を美しい映像とともに描き出す。

2017年 新作 フィフティ ファゾムス

現存する世界最古と言われている時計ブランドとしてその名を馳せる「ブランパン」。今や、世界的にも数少ないリアルマニュファクチュールとして、スイス伝統の時計作りと現代の先端技術を両立した時計作りで、コンプリケーションウォッチからスポーツウォッチ、そして本格的なレディスウォッチに至るまで、凡百のウォッチメーカーとは一線を画する開発力を持つ。ここでは、「伝説」のダイバーズウォッチ、フィフティ ファゾムスにその系譜をさかのぼる注目の新作ウォッチを取り上げ、その魅力の源泉を外装とムーブメントのディテールカットに迫ることで、詳細に解説する。まずは、気になるモデルの「more detail」をクリック!

  • Ref.5008-1130-B52A

    フィフティ ファゾムス
    オートマティック

    Ref.5008-1130-B52A

    more detail

  • Ref.5100-1140-O52A

    フィフティ ファゾムス
    バチスカーフ

    Ref.5100-1140-O52A

    more detail

  • Ref.5015-12B40-O52A

    フィフティ ファゾムス
    オートマティック

    Ref.5015-12B40-O52A

    more detail

問い合わせ先
Contact info : ブランパン ブティック銀座 Tel.03-6254-7233