【インタビュー】ジラール・ペルゴCCO「ルック・デュクロワ」が、ブランドの現状と今後の戦略を語る

FEATUREその他
2023.08.10

2019年にジラール・ペルゴのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)に就任したルック・デュクロワ氏。久しぶりに来日を果たしたデュクロワ氏に、今や絶好調の「ロレアート」、そしてジラール・ペルゴの現状と今後の戦略を聞いた。

三田村優:写真
Photograph by Yu Mitamura
鈴木幸也(クロノス日本版):取材・文
Text by Yukiya Suzuki (Chronos Japan Edition)
[2023年8月10日公開記事]

ルック・デュクロワ

ルック・デュクロワ
1996年、フランスのレンヌ大学で経済学の博士号を取得。97年、パリのESCPビジネススクールにて監査および会計学を専門に博士号を取得。タグ・ホイヤーにおいて、スイス本国でコマーシャル・オペレーション・ディレクターを務めたのち、東ヨーロッパエリア、南アフリカ、日本にてジェネラル・マネジャーを歴任。その後、スイスに戻ってバイス・プレジデントに就任し、合計18年のキャリアを積む。2019 年、ジラール・ペルゴのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)に着任。中国における潜在市場の開拓や、超競争市場であるアメリカや日本におけるラグジュアリービジネスの構築にも大きく貢献する。


生産体制を拡充し、一層の攻めに転じるジラール・ペルゴと「ロレアート」

 ジラール・ペルゴCCOのルック・デュクロワ氏は開口一番こう明言した。

「確かに、過去2年間、ロレアートは日本だけでなく、世界中で大きく成長したため、素晴らしい成功を収めました。その結果、ジラール・ペルゴは2022年、グローバルで100%、すなわち約2倍に成長しました」

 つまり、需要に生産が追い付かない?

「昨年は、日本も例外ではなく、ロレアートが売り尽くされて、店頭からなくなった状態が続きました」

 そういった状況で、生産設備を拡充するなど、何か対策は取っているのだろうか?

「店頭からなくなったからといって、私たちは急に増やすことを考えていませんでした。私たちとしては、昨年より50%増やしたいと思っていましたが、実は2020年以降のコロナ禍の影響で生産量自体が落ち込んでいました。しかし、21年以降には時計マーケットの需要が全体的に大きく伸びたので私たちは、コロナ禍で減っていた人員をまず増やして生産量の増大を目指しました」

 具体的には、過去12カ月で40人のウォッチメーカーを雇ったという。また、増員だけでなく、工作機械などの生産設備とそのスペースも増やして、それまでの2倍の数量を製造できるように努力をしているとデュクロワ氏は強調する。

「ジラール・ペルゴは現在、年産1万5000本以上で、ワールドワイドで250の取り扱い店舗数を持っていますが、その背景には日本も含めてかなり店舗を絞った経緯があります。現状、この250の店舗数がラグジュアリーブランドとして最適だと考えています」

 そのうち、日本の取り扱い店舗は現在18店舗。今後は、必要な店舗を厳選して増やしていく計画だという。


ケリング・グループからの独立がもたらした、よりスピーディーな経営判断

 ジラール・ペルゴとユリス・ナルダンは、ケリング・グループからMBO(マネジメント・バイアウト)によって独立した後、それぞれのブランドの強みを活かし、現在、3つの生産拠点をラ・ショー・ド・フォンとル・ロックルに持つ。うち、ユリス・ナルダンが2カ所、ジラール・ペルゴは高級複雑時計に特化した1カ所である。

ロレアート アブソルート ライト&シェード

ジラール・ペルゴ「ロレアート アブソルート ライト&シェード」
2021年にコレクションに加わった「ロレアート アブソルート」。今作はそのサファイアクリスタルケースモデルである。ラグにチタンを用いることで、ロレアート アブソルート独特のケースとストラップが一体となってつながったシルエットをサファイアクリスタルケースでも実現した。自動巻き(Cal.GP01800)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。サファイアクリスタル×Tiケース(直径44mm、厚さ11.56mm)。30m防水。1310万1000円(税込み)。

 ケリング・グループ傘下にあった時と、独立した後で、何が変わり、何が変わっていないのだろうか?

「内部で働いている人間からすると、営業の戦略や、やり方はまったく変わっていません。ただ、組織上、かつてはケリング・グループ傘下に属していたということで、数あるブランドの中のひとつであったため、資金面のバックアップはありましたが、その半面、大きな決め事にはケリングの承認が必要でした。

独立したことで、それがなくなったので、経営面で速く決断できるようになりました。例えば、先ほど述べた販売店の増減など、自分たちの判断でできるようになり、すべてにおいてよりスピーディーに動けるようになりました。これが働いている人間の実感ですが、実際は独立後も働いている人間はほとんど同じですし、外から見るほど内部は変わってないと思います」


着実に入荷が増えているロレアートで攻める日本市場

 それでは、日本でのロレアートの今後の販売戦略はどうだろうか? 2022年は、なかなか入荷しなかったが。

「確かに、前述の通り、これまでは商品がショートしていましたが、世界においても日本においても販売店の整理が終わったので、これから攻勢をかける意味で、ロレアートをますます押していきます。実際、2022年の1-3月と2023年の1-3月を比較すると、日本へ入荷している量は確実に増えています。

ロレアート アブソルート ライト&シェード

ただ、まずはバックオーダーの処理をしなければならないため、それが終われば、店頭での商品の状況は変わっていきます。今後は、フランチャイズブティックを含め、日本では一層、“攻め”の姿勢に転じて取り組んでいきたいと思っています」

 日本限定モデルも今後、もっと積極的に展開していくのか?

「ええ、そのつもりです。ですので、日本チームからの提案は歓迎します。ただ、どうしても生産のキャパシティがあるので、今は既存品の生産に集中して、それが落ち着いたところで、限定品にも注力したいと考えています。したがって、すぐではないのですが、日本限定モデルのプランはあります」

 生産量を着々と増やし、まずは既存品に集中した後、日本限定モデルにも取り組んでいくと、一層の“攻め”の姿勢を強調したルック・デュクロワ氏。コロナ禍を経て、V字回復とともに、約2倍に成長したジラール・ペルゴ。日本においても、この2年でロレアートとともに、急速に存在感を高めている。

 ロレアートをはじめ、「ブリッジズ」「ヴィンテージ 1945」「1966」、そしてレディースラインの「キャッツアイ」と、現在、大きく分けて5つのコレクションを擁するジラール・ペルゴ。デュクロワ氏が言うように、ロレアートを筆頭に攻めに転じることで、ロレアートはもちろん、他の4つのコレクションにもしっかり注目しておくのが、時計好きから“目利き”へと進化していくための秘訣かもしれない。

Contact info: ソーウインド ジャパン Tel.03-5211-1791


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