MEMBERS SALON

第3回「時計を買う際、何を見ればいいのか? その3」(1/2)

広田雅将(クロノス日本版):文
Text by Masayuki Hirota(Chronos-Japan)

視認性は長く付き合うのにもっとも大事な条件

 着け心地と並んで大事な条件が、視認性、つまり見やすさである。もっとも、視認性を考える際にまず考えるべきは、自分の年齢である。仮にあなたが20代ならば、文字盤上の複雑な表示であっても、すべて読み取れるだろう。しかし老眼が進むと、細かい表示は読みにくくなる。しばしば一生物として、極めて複雑な時計を買う人がいるが、もし本当に一生使いたいならばシンプルな方が老眼には優しいだろう。

 時計自体の視認性を左右する要素は大きくふたつである。

・針、インデックス、文字盤のコントラストが明確なこと
・風防に無反射コーティングが施されていること

 時計で時間を示すのが、針と文字盤上のインデックスである。例えば文字盤の色が黒で、針とインデックスが白ければ、両者のコントラストが強調されて、視認性は高まる。プロフェッショナル向けを謳った時計には、そういう例が少なくない。また時計メーカーの中には、文字盤と針、そしてインデックスのツヤをコントロールして、コントラストを高めた例がある。セイコーの「グランドセイコー」には、文字盤の仕上げがツヤ消し、針とインデックスがツヤありというモデルが存在する。色のコントラストは黒×白ほど明確ではないが、強い光にかざすと、インデックスと針だけが光って、時間が読み取りやすくなる。もっとも、色ではなく仕上げでコントラストを強調する時計の場合、人工光の下で見ても、視認性が良いか悪いかは判断しにくい。そういう場合は、太陽光に近い条件で時計を見ることが望ましい。具体的には、一方向の光源下で、かつ光度が高い光に当てた場合である。

1枚のサファイアクリスタルでコーティングを変えた例。右端が両面コーティング、中央が片面のみ、左がコーティングなし。本ページ上部に掲載した製品写真で見ると違いがより際立つ。右がコーティングなし、左が両面無反射コーティングだ。

 また視認性を重視するならば、文字盤をカバーする風防に無反射コーティングされているものを選ぶと良い。特に黒文字盤の場合、風防に無反射コーティングが施されていると、視認性は一層高まる。なお無反射コーティングにはふたつの種類がある。内側だけコーティングしたものと、内側と外側にコーティングを施した物(両面無反射コーティング)である。視認性だけをいうと、両面にコーティングがあったほうが望ましい。しかし無反射コーティングは、基本的には風防にフッ素を施す処理であり、風防を強くぶつけると外側のコーティングがはがれる場合がある。現在のスイス製時計ではあまり起こらないが、10年ほど前では比較的起こった問題である。

 コーティングのはがれが気になる場合は、無反射コーティングなしの時計を選ぶと良い。ちなみにロレックスの「デイトジャスト」は、日付表示を拡大するレンズ以外には、無反射コーティングが施されていない。


  1 2  
前の記事

第2回「時計を買う際、何を見ればいいのか? その2」

次の記事

第4回「どんな時計を買うべきか?」

おすすめ記事

pick up MODEL

正規時計販売店

正規時計販売店

高級時計を取り扱う全国の正規時計販売店をご紹介。各店が行うフェア情報やニュースもお届けします!

時計ランキング

時計ランキング

その年の新作モデルや、機構、仕上げの完成度など、毎回決められたテーマの中から、優れた10本を時計ジャーナリストたちが選出します。

スペックテスト

スペックテスト

クロノスドイツ版の人気連載「TEST」の翻訳記事。腕時計のデザイン、機能などをポイント性によって評価します!

基礎からの時計用語辞典

基礎からの時計用語辞典

時計の部品、機構、ブランド名など、基礎から専門用語まで、広範囲にわたって解説します。時計の知識を深めるための用語辞典です。

PAGE TOP