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第1回「時計を買う際、何を見ればいいのか? その1」(1/2)

時計店で現物を手にする時は、トレイの上に置いて行いたい。できれば、数は1本から2本。指輪などの装身具を外して触れるのが好ましい。最低限のマナーさえ守れば、お店側も買い手側も気持ちよく商談ができるだろう。

 

広田雅将(クロノス日本版):文
Text by Masayuki Hirota(Chronos-Japan)
アワーグラス銀座店:撮影協力
Special thanks to The Hour Glass

はじめに

 何をもって良い時計とみなすのか。その条件は人によってさまざまだ。貴金属製のケースを良しとする人、機械式ムーブメントを良しとする人、 またはコストパフォーマンスが高いと感じた時計を良しとする人。時計の良し悪しを自動車やスマートフォンのような物差しで語れないのは、時計の機能が、自動車やスマートフォンよりはるかに少ないためである。そのため判断基準には、趣味性や好みが入らざるをえない。また語れる機能が少ないため、時計を見ようとする人は、自分なりのポイントを見い出していくしかない。ある人が貴金属のケースに魅力を感じ、ある人が機械式ムーブメントに魅せられる理由だ。結論を言うと、時計の良し悪しの判断は、あくまで主観によるしかないのである。めいめいが自信を持って買った時計は、それぞれの基準において完全に正しく、第三者が口を挟むようなたぐいのものではない。

 しかし時計の良し悪しを語る基準は、明確ではないにせよ存在する。そのうち3つは機能で、ひとつは見た目だ。具体的には以下の通りである。

・見やすさ、視認性
・着け心地、装着感
・正確さ、精度
・美しさ、仕上げ

 本連載では、主にこの4つのポイントを値段に対して妥当かどうか、で見ていきたい。簡単に言うと、その機能や仕上げは良いか悪いか、そしてコストパフォーマンスが高いか低いか、である。連載はまず、一般的な解説から始めて、やがて機械式時計の理論や、1本数千万円もする機械式時計の説明に至るだろう。

 しかしあらかじめ述べておくと、時計の世界におけるコストパフォーマンスは、自動車やスマートフォンのそれとはまったく異なる。自動機械を使って年に100万本生産する時計と、手作業で年に5本しか作れない時計では、自ずとコストパフォーマンスは変わるだろう。また人件費の安い国、高い国で作るかによっても大きく変わってくる。今後本連載のなかで、コストパフォーマンスに言及する機会は少なくないはずだ。その際、その時計が年に何本作られているのかを考えてお読みいただければ、いっそう理解が深まるだろう。はっきりしない時計の判断基準を、しかも価格という観点で見ていく。正直成功するかは分からないが、この野心的、または無謀な試みに対する、読者のみなさまのご支援、叱咤を期待すること切である。

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