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第9回「クロノグラフ、垂直クラッチって何?」(1/3)

(左)かつて最もオーソドックなクラッチ機構であった水平クラッチ。薄いうえ、耐久性に優れるが、水平方向にスペースを要するため、自動巻き機構との併用が難しい。(右)自動車のクラッチと似た基本構成を持つ垂直クラッチ。横方向の移動がないため、クロノグラフ機構は極めてコンパクトになる。また、水平クラッチと違って歯車の噛み合いが起こらないため、クロノグラフのストップ時に針飛びが起こりづらい。しかし、クラッチばねのバネの強弱によって性能が変わりやすく、バネが劣化するとクロノグラフがきちんと動かなくなる場合がある。
広田雅将(クロノス日本版):文
Text by Masayuki Hirota (Chronos-Japan)

「押す」オペレーションをもたらした垂直クラッチの普及

前回ではクロノグラフのカム式とコラムホイール式の違い、そしてなぜプッシュボタンの感触に、固い柔らかいが生じるかを述べた。今やカム式とコラムホイール式に機能的な違いはなく、また前者だからボタンは固い、後者だから柔らかいという説は間違いだ、と書いた。ではなぜ、コラムホイール式でも感触の固いものがあるのか。理由のひとつは誤操作を防ぐため。そしてもうひとつの理由が、コラムホイールを動かすオペレーションが一般的に“引く”から、“押す”へと変わったためである。引くから押すに変わったコラムホイールの操作方法。それをもたらしたのが、垂直クラッチの普及だった。

普通の時計にストップウォッチ機能を足すとクロノグラフになる。アナログ式のクォーツクロノグラフの場合、現行品の大半は普通の時計を動かすモーターに加えて、クロノグラフ用のモーターを持っている。とりわけ日本の時計メーカーはモーターの小型化が得意で、そのため今や5つや6つのモーターを備えるアナログ式のクォーツクロノグラフは珍しくなくなった。

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第8回「機械式クロノグラフ、カム式とコラムホイール式の真実」

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