世界的なF1人気を背景に、腕時計の世界もモータースポーツと関わりの深いモデルが注目を集める。そのパイオニアであるショパール「ミッレ ミリア」コレクションの新作が登場した。ショパールがパートナーシップを結び、毎年イタリアで開催される伝統的なラリーに合わせて発表する新作は、コレクターズアイテムとしても高く支持されている。新作では特にクラシック回帰のトレンドを取り入れ、歴史あるレースにふさわしいスタイルをまとう。その注目ポイントを紹介する。
Text by Mitsuru Shibata
Edited by Yousuke Ohashi (Chronos Japan)
クラシック回帰のトレンドを巧みに捉えたニューフェイス

ミッレミリアは、1927年に始まったイタリアの公道レースで、イタリアの南北を往復する3日間におよぶ総距離が約1000マイル(イタリア語でミッレミリア)になることから名付けられた。
57年の終了後、77年にラリーイベントとして復活。魅了されたショパールの共同社長カール-フリードリッヒ・ショイフレは、88年にパートナーシップを結び、現在まで38年連続でワールドスポンサーとオフィシャルタイムキーパーを務める。当初出走者への記念品として始まった「ミッレ ミリア」はその絆の証しだ。

新作「ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ」は、伝説のドライバー、スターリング・モス卿のミッレミリアでの勝利から70周年を記念したモデルだ。彼の搭乗車をイメージしたシルバー文字盤には同色のインダイアルと、ブルーで縁取ったアワーマーカーや目盛りが配されている。パンチングレザーのストラップには風格が漂う。

1998年の初代、2009年の第2世代、2017年の第3世代を経て、2023年に“グラスボックス”と呼ばれるドーム型風防にリデザイン。シックなヴィンテージ感が増した。COSC認定クロノメーターを取得。自動巻き。37石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約54時間。ルーセントスティール™ケース(直径40.5mm、厚さ12.88mm)。50m防水。世界限定70本。ブティック限定販売。161万7000円(税込み)。
同じく新作の「ミッレ ミリア GTS パワーコントロール」は、モータースポーツのヘリテージへの敬意をモダンデザインで表現。文字盤色にはサーモンピンクを採用し、ヴィンテージカーの手作業によるアルミニウム製ボディワークやメタルのダッシュボードを想起させ、ブラックとのコントラストも映える。燃料の残量計を模したパワーリザーブ表示はマニア心をくすぐる。

GTSはグランツーリスモスポーツを意味し、この腕時計は走り続ける醍醐味を表現。2針とスモールセコンドに、スポーティーなベゼルがマッチする。自動巻き(Cal.Chopard 01.02-M)。36石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約60時間。ルーセントスティール™ケース(直径43mm、厚さ11.43mm)。100m防水。世界限定250本。ブティック限定販売。114万4000円(税込み)。
近年のクラシック回帰は、単なるリバイバルではなく、ブランドのアイコンや往年の名作をより深く理解し、新解釈や最新技術とともに魅力を復活させる傾向が強い。「ミッレ ミリア」コレクションもそのひとつであり、レースのレガシーを次世代に伝えるために続けられる。その価値をショパールは誰よりも知るのだ。
