ゼニスの腕時計を徹底解説! シリーズやおすすめモデルを紹介

FEATUREその他
2024.03.04

ゼニス最大の特徴 エル・プリメロ

 さて、ゼニスの象徴ともいわれる「エル・プリメロ」とはどのようなものなのか、その特徴や魅力に迫る。

エル・プリメロとは

エル・プリメロ

1969年に誕生した世界で初めて発表された一体型自動巻きクロノグラフムーブメント、エル・プリメロ。

「エル・プリメロ」は、1969年に発表された、世界最初期の一体型自動巻きクロノグラフだ。ムーブメントの名称であり、搭載されたモデル名にも使用されている。

 毎時3万6000回の高速振動を誇り、50時間を超えるパワーリザーブを実現した、ハイビートと当時としては長時間パワーリザーブの両立に成功したムーブメントなのだ。

 また、一般的にムーブメントはキャリバーナンバーのみで表現され、名称が付けられること自体がほとんどないことからも、エル・プリメロの特異性がうかがえるといえるだろう。

ロレックスなどにも搭載

 エル・プリメロは、1988~2000年頃に製造された、ロレックスのデイトナに搭載されている。

 ゼニスと同じマニュファクチュールメーカーであるロレックスは、当時クロノグラフ以外のムーブメントは全て自社で製造していた。

 また、外注品全てにおいて絶対的な信頼がなければ、導入に踏み切らないメーカーとしても知られている。

 そのような姿勢を持つロレックスに、唯一の社外製ムーブメントとして採用されたことから、エル・プリメロの注目度も一気に高まったのである。

今なお世界最高峰とされる

 エル・プリメロに関して特筆すべきことのひとつに、今なお世界最高峰といわれている初期バージョンのスペックが、現役であることが挙げられる。

 誕生から50年経過した現在でも、「現役の古典機」として愛され続けているのだ。

 ただし、設計が古いため、秒針停止機能がないことや、現在では駆動最大時間が最高レベルでないことなど、最新ムーブメントに劣る点があることも事実だ。

 それでも、初期のスペックをいまだにハイレベルで楽しめるというロマンは、他の新鋭機に真似できるものではなく、今後も「生ける伝説」として人々を魅了し続けるであろう。


その他の特徴

 ゼニスを特徴付けるさまざまな要素の中から、「多彩なラインナップ」と「マニュファクチュール」にフォーカスし解説する。

ムーブメントとモデルが多彩

 ゼニスは、長い歴史の中で、600種類を超える数多くのムーブメントを開発してきた。自動巻きクロノグラフだけでなく、パワーリザーブ表示や高速振動キャリバーなどを世界で最初に手掛けたのもゼニスだ。

エリート681

厚さ3.81mmの薄型を誇る自動巻きキャリバー、エリート681の展開図。

 現在でも、代表的な「エル・プリメロ」や「エリート」を中心に、計26種類のムーブメントを揃えている。

 また、展開するモデル数も、「エル・プリメロ」や「エリート」を軸とし、ハイレンジモデルや限定モデルを加えると150にものぼる。

 かつては比較的シンプルでスタンダードなデザインが中心だったが、時代の変化に合わせて世の中に受け入れられやすいデザインを増やしていることも特徴といえるだろう。

マニュファクチュール

ジョルジュ・ファーブル=ジャコ

スイス、ル・ロックルにあるゼニス本社。ファサードには創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコのイニシャルが刻まれている。

 時計メーカーの製造スタイルには、自社一貫生産の「マニュファクチュール」と、分業生産体制の「エタブリスール」があり、総合力と高い技術力を要するマニュファクチュールメーカーはいまだに少数派だ。

 マニュファクチュールは、価格が上がりやすいデメリットはあるものの、独自性を発揮した個性的な製品を作れることから、近年における一種のブランドステータスとなっている。

 ゼニスは、時計業界の中でもいち早くマニュファクチュールを導入したメーカーとして知られ、現在でもそのスタイルは変わらず、「元祖マニュファクチュール」と呼ばれることもある。

 現在、ゼニスファクトリーはその価値が認められ歴史的建造物に指定されているが、今なお技術者たちによって日々研究開発が進められている場所でもあるのだ。


ゼニスのシリーズと特徴

 ゼニスでラインナップされている数々のシリーズから、特に人気のシリーズとそれぞれの特徴を紹介しよう。

デファイ

1960年代、ゼニスで最も丈夫なスポーツウォッチとしてその名が誕生した「デファイ」。現行コレクションはケースとブレスレットが一体型となった、近未来的なフォルムを有する意匠を中心に、幅広いバリエーション展開が行われている。

「デファイ」は、ゼニスのクラシックでシンプルなイメージを覆すデザインと、機能性の高さから、最も人気を集めているモデルのひとつだ。

 エッジが効いたフォルムに硬質なセラミックスやチタンを使用し、サテン仕上げで近未来的な雰囲気を醸し出している。

 さまざまなバリエーションが展開されているが、文字盤の全体をくり抜き、中の機械構造が全面から覗けるフルオープンの文字盤を備えたモデルが、デファイを象徴付ける意匠ではないだろうか。

 さらに、「デファイ21」では、“100分の1秒クロノグラフへの挑戦”と銘打ち、ハック機構を応用したストップ機構で制御されるシンプルなメカニズムとシリコン製脱進機で、高速クロノグラフの50分駆動を実現しているのも出色だ。

クロノマスター

2021年に「クロノマスター」コレクションに加わった「クロノマスター スポーツ」。ブラックセラミックス製ベゼルを備えたスポーティーな意匠も印象的だが、同時に、“エル・プリメロ2”ことCal.エル・プリメロ3600を搭載していることにも注目したい。大きく基本設計を変えてこなかったエル・プリメロをアップデートしたムーブメントであり、クロノグラフでの1/10秒計測を可能とし、パワーリザーブも約60時間となった。

「クロノマスター」はエル・プリメロを搭載し、機械の美しさに重点をおいた、ゼニスの定番といえるクロノグラフシリーズだ。2016年に、デファイとパイロットを除くクロノグラフシリーズが、この「クロノマスター」として統合された。

 基本型は横並びの3つ目インダイアルを有し、エル・プリメロを象徴する3色インダイアルを軸にしたカラーバリエーションが用意されている。

 文字盤のオープンデザインから、心臓部である調速機のハイビートの動きが見えるモデルや、数字を打ち抜いたカレンダーディスクを備えたモデルなど、種類が豊富なことも魅力といえるだろう。

エリート

画像は「エリート」コレクションのドローイング画である。ゼニスを象徴する星形マークのローターがのぞくトランスパレント式バックや、サンレイパターンが施された文字盤など、アイコニックな意匠が随所にあしらわれている。

「エリート」は、機械美を追求したクロノマスターとは対照的に、過度な装飾や複雑な機能を追加せず、よりシンプルな腕時計を追求したドレスウォッチだ。

 現行モデルの「クラシック」、製造終了モデルの「キャプテン」、クラシックコレクションの礎となった「ウルトラシン」などといったラインナップが展開されてきた。

 どのモデルもシンプルで上品な美しさを備え、どんなシーンにもマッチするだろう。ムーブメントにはドレスウォッチと相性が良い「エリート」が搭載されている。

 また、自社製ムーブメントが搭載された高性能腕時計としては、比較的リーズナブルで購入できるモデルであることも、エリートの大きな魅力といえるだろう。

パイロット

2023年に刷新された「パイロット」コレクション。画像は直径42.5mmのブラックセラミックス製ケースを持った、Cal.エル・プリメロ3652搭載モデルである。特徴的なビッグデイトには午前0時を回るとリュウズでの日付調整ができなくなる安全システムや、動き始めから0.03秒以内に表示が安定する視認性に寄与するシステムが備わっている。

「パイロット」は、1900年代の初め頃から、航空計器の製造メーカーとして各国の航空会社に時計を提供していた、ゼニスの前身時代を物語るシリーズだ。

 1910~20年代当時のモデルをモチーフとし、ヴィンテージ感を楽しむモデルとして作られており、航空機の黎明期をともに拓いた歴史に浸れるアイテムともいえるだろう。

 「タイプ20エクストラスペシャル」や「タイプ20クロノグラフ」は、ケース素材がレトロ感を存分に醸し出すブロンズ製のモデルも存在していたが、2023年にコレクションが刷新され、モダン・スポーティーな意匠を備えることとなった。

 また、本コレクションのムーブメントにもエル・プリメロが搭載され、他の時計メーカーとは一線を画す、ロマンあふれるパイロットウォッチとなっている。