2024年の新作発表も済んだので、ロレックス「GMTマスターⅡ」をおさらいしよう

FEATUREその他
2024.04.28

GMTマスターの系譜

GMTマスターは、ファーストモデルから4世代にわたり製造されている。それぞれの特徴を押さえておこう。

ファーストモデル Ref.6542

Ref.6542

1955年から約4年間製造されていたGMTマスターのファーストモデル。製造された個数自体が少ないうえ、ファーストモデルということもあり、希少価値はかなり高い。

ベゼルプレートには、ベークライトと呼ばれるフェノール樹脂素材が使われている。これは世界で初めて作られた人工合成樹脂であり、人工プラスチックの初めとされるものである。

リュウズを守るガードが付いていないことも、Ref.6542の特徴だ。リュウズの周囲がすっきりとしており、よりクラシカルな印象を強めている。

ムーブメントは、Cal.1036が搭載されている。最初期の両方向巻き上げ式ムーブメントとしてロレックスが開発したCal.1030に24時間副時針を追加したモデルだ。

セカンドモデル Ref.1675

Ref.1675

Ref.1675はファーストモデルの製造が終了した1960年の後半から、80年頃までの長期間にわたり製造されていたロングセラーモデルである。

Ref.6542にはなかったリュウズガードが備わり、文字盤上の蓄光塗料はラジウムからトリチウムへと変更された。ムーブメントも、新たにCal.1570が搭載されている。

製造期間が長かったため、比較的入手しやすい。価格も手頃なことから、アンティーク市場では高い人気を誇っている。

製造時期により、ディテールに違いが見られることも特徴的だ。初期のモデルにしかないタイプのベゼルやミラーダイアルなど、レアなポイントを備えたものは希少価値が高い。

サードモデル Ref.16750

Ref.16750

1980年頃にデビューしたGMTマスターのサードモデルである。デザイン面では、Ref.1675から大きく変更された点はないが、後期モデルでは防水性が50mから100mに高められている。

ムーブメントは、Cal.1570からCal.3075へ変更された。カレンダーのクイックチェンジ機能を搭載しており、操作性の向上が図られている。

1万9800振動/時から2万8800振動/時へとハイビート仕様に変更されたことで、より高い精度で動作するよう改良された。50mから100mへグレードアップした防水性能も魅力だ。

発売後には、インデックスのデザインが、フチなしからフチありへと変更されている。前期のフチなしタイプは、アンティークの雰囲気が強いことから人気が高い。

最終モデル Ref.16700

GMTマスターの第4世代として、1988年頃に登場したモデルだ。ベゼルには、赤と青のツートーンタイプと黒のモノトーンタイプがある。

ブレスレットも、3連のオイスターブレスレットと5連のジュビリーブレスレットの2タイプが存在する。バックルは、実用性の向上を図るため、95年頃にシングルロックからダブルロックにマイナーチェンジされた。

ムーブメントはCal.3175が搭載され、テンプ受けが片持ち式から両持ち式に変更されたことにより、安定性とメンテナンス性が向上している。

最終モデルのデビューに先立って1983年にリリースされたGMTマスターⅡの影響で、99年には製造終了し、初代GMTマスターの歴史は終わりを告げることになる。


GMTマスターⅡの系譜

GMTマスターⅡは、異なる3カ所の時刻を同時に表示できるモデルだ。GMTマスターⅡがどのような変遷をたどったのか、ファーストモデルからの流れを押さえておこう。

ファーストモデル Ref.16760

Ref.16760

GMTマスターⅡとして初めて製造されたモデルである。1982年頃から88年頃までの短い期間しか作られていないため、アンティーク市場では希少モデルとして人気を集めている。

ケースの厚さが約12.5mmあり、GMTマスターに比べて厚めであることから、通称「ファットレディ」と呼ばれることもあるモデルだ。

ベゼルのカラーは、赤と黒のツートーンタイプのみしか製造されていないことも、Ref.16760の大きな特徴である。

ムーブメントには、Ref.16750に搭載されていたCal.3075の上位機種であるCal.3085が搭載された。単独で操作できる時針が備わったことで、3カ所の時刻を同時に示すことが可能となった。

セカンドモデル Ref.16710

1990年から2007年まで製造されたセカンドモデルでは、ベゼルのカラーが赤と黒・赤と青・黒の3種類に増えている。1999年にGMTマスターの最終モデルRef.16700が製造終了になったことにより、赤青ベセルが追加された格好だ。

SSと18KYGのコンビネーションモデルのRef.16713にはルビーとダイヤモンドが施された文字盤が採用されるなど、セカンドモデルの外観は独特のきらびやかさを放っている。

ムーブメントがCal.3085からCal.3185へと変更されたほか、1999年に夜光塗料が自発型のトリチウムから蓄光型のルミノバにへんこうされ、さらに2003年頃には風防の6時位置に王冠の透かしマークが入れられるなど、いくつかの部分にマイナーチェンジが施された。

ステンレススティールに加え、イエローゴールドの金無垢やSSと18KYGのコンビネーションなど、数種類の素材が使われている中でも、3種類のベゼルがすべてそろっているステンレススティールモデルが、セカンドモデルでは最も人気が高い。

サードモデル Ref.116710LN

ロレックス GMTマスターII 116710LN

GMTマスターⅡの3代目は、セカンドモデルからさまざまな改良が施されている。ムーブメントは、耐磁性能に優れたパラクロム・ヘアスプリングを有するCal.3186が搭載された。

インデックスは視認性向上のために大型化され、頑強さを増すためにリュウズガードとラグも大きくなっている。

コマの作りを空洞から無垢のコマに変更し、ブレスレットの堅牢性が増したことも特徴だ。バックルにはイージーリンクを備え、簡単に微調整できるように改良された。

GMT針は、時刻表示だけでなくコンパスの役割も果たしてくれるため、アウトドアや登山などのシーンでも重宝されている。


GMTマスターⅡの特徴や魅力

GMTマスターⅡは、どのような点が高く評価されているのだろうか。主な特徴や魅力を紹介する。

伝統を引き継ぐ独自のムーブメント

GMTマスターに搭載されているロレックス独自のムーブメントは、蓄積されたノウハウを継承しながら、時計史に残る改良を重ねることで進化した歴史を持っている。

初代GMTマスターのセカンドモデルに搭載されたCal.1500系は、現在まで続く自動巻きムーブメントの礎となる存在として、歴史的に高い評価を得ている。

その後、Cal.3000系に切り替わり、さらにCal.3100系へと進化し、2018年に最新技術を備えた現行のCal.3200系へと続いており、その設計思想は脈々と受け継がれている。

Cal.1500系で実現した自動巻きムーブメントの基礎作りがあったからこそ、目覚ましい発展を遂げた現行のムーブメントが存在していると言えるだろう。

高い評価

国際線のパイロット用に製造されたGMTマスターは、精密さや堅牢さに加え、ベゼルと24時間副時針を使って第2時間を表示した初期の時計であることから、高い評価を獲得する存在となった。

優れたデザイン性も相まって、誕生から現在までの数十年間にわたって、世界中のセレブが愛好する時計として知られるようになる。