トリローブから2種類のギヨシェ装飾をあしらった「ニュイ・ファンタスティック ブリュンヌ」が登場

2023年末、フランスの時計ブランドであるトリローブは「ニュイ・ファンタスティック」コレクションを拡充し、チタン製もしくはローズゴールド製ケースの新作「ニュイ・ファンタスティック ブリュンヌ」を発表した。これらには、2種類のギヨシェで飾られた華やかな文字盤が採用されている。現代的でありながらクラシックなこのモデルは、トリローブでは初めての試みとして、ムーブメントに「Paris France」の控えめな文字があしらわれている。

2種類のギヨシェ装飾を文字盤に採用した「ニュイ・ファンタスティック ブリュンヌ」でコレクションが拡充

　2018年の夏の終わり、フランスの時計ブランド、トリローブは最初の時計を発表した。「レ・マティノ」である。このモデルは独創的な時間表示が特徴で、詩的な時間の読み方を提示した。トリローブは時計業界でも希少なポジションを占めるようになった。

　それ以来、この新興ブランドは独自の道のりを切り拓いてきた。リファレンスは過不足なく増え、“自社製”のキャリバーも登場した。そしてこの数カ月間、トリローブはパリのまさに中心部、オペラ通りにある工房で時計の組み立てと取り付けを行うことを誇りにしている。

　そのため、ムーブメントには「Paris France」という小さな文字が控えめに刻まれるようになった。これは、トリローブでは初めての試みである。独特な個性と他とは一線を画すブランドの差別化を示すもので、さらに魅力的なものとなった。

「ニュイ・ファンタスティック」コレクションは、シュテファン・ツヴァイクの短編小説『Nuit Fantastique（幻想的な夜）』に着想を得ている。人生に退屈しきった暗い生活を送っていたある男爵が、20世紀初頭のウィーンにおける幻想的な夜に、人生における大きな変化を経験し、文字通り生まれ変わるという物語である。

　コロナ禍によるロックダウン下のとある夕方、トリローブの創業者ゴーティエ・マソノーはこのストーリーから着想を得て、創造的な閃きのもと、このふたつ目のコレクション、ニュイ・ファンタスティックを生み出すこととなった。なお、ブランドの最初のコレクション「レ・マティノ」は、フランスの詩人ルネ・シャールに着想を得ている。

　ニュイ・ファンタスティックはレ・マティノに搭載されているものと同じX-Centric³の自社製ムーブメントを搭載している。3つの回転リングにより時、分、秒が表示されるメカニズムは同じだが、その仕上がりは異なるものとなっている。

　新しい「ニュイ・ファンタスティック ブリュンヌ」は、グレイン仕上げの文字盤に、2種類のギヨシェ装飾を採用している点が特徴的だ。ギヨシェはもともとブレゲが1786年に導入した技法で、ただ美しいだけでなく、キズや文字盤の変色を回避するものでもある。

　ギョシェとは、直線、曲線、あるいは折れ線からなる網目状の線に素材を細かく彫り込んでいく機械技法である。作業はギヨシェ旋盤で行われ、円形または直線的なモチーフが作られる。平行または交差するこれらの溝は、反復的で対称的なパターンを形成する。

　丸みを帯びたサファイアクリスタル製の風防には反射防止加工が施され、文字盤の視認性を上げるとともに、細部まで鑑賞しやすくしている。

　文字盤には2種類のギヨシェが施されている。直線的で鋭いデザインのクル・ド・パリ・と、丸みを帯びた曲線で構成されたグラン・ドルジュだ。後者は分窓の中央から始まり、独特の時刻表示を際立たせている。

　フランジはサテン仕上げとポリッシュ仕上げで、光の反射により妙なる風合いをもたらす。「時代を超越した雰囲気を醸し出す霧のように、このタイムレスな色合いも時代を超越したものです」と、トリローブは述べている。

　ふたつの窓が8（無限と永遠のシンボルでもある）の字を形作り、その上部に分、下部に秒を表示する。読み慣れるのに少し時間を要するが、慣れれば簡単に素早く時刻を読み取れるだろう。

　グレード5のチタンケースモデルには、多くの人に好まれやすい直径38.5mmと、またはより現代的な40.5mmの2サイズが用意されている。ローズゴールドモデルは、40.5mmのみだ。チタンモデルでは50m、ローズゴールドモデルでは30mの防水性能を備え、リュウズはねじ込み式である。

　前作同様に、厚さ5.78mmのマイクロローターを搭載し、215もの部品で構成されるCal.X-Centric³が採用されている。このムーブメントはサファイアクリスタル製ケースバック越しに鑑賞可能で、振動数は2万8800振動／時（4Hz）、約48時間のパワーリザーブを保持している。保証期間は2年である。

　尾錠が付属した非常に美しい仕上げのアリゲーターストラップが組み合わされ、全体が完成している。