マイクロローターと複雑時計 / [マイクロローター新時代]コンプリケーションのプラットフォームとしてのマイクロローター

2017.07.14

ROGER DUBUIS

オマージュ クロノグラフ
2014年発表。マイクロローター自動巻きのCal.RD680を搭載したクロノグラフである。輝きを増すためにあえて表面をならさないギヨシェ仕上げを採用するなど、ロジェ・デュブイらしいひねりが随所に効いている。自動巻き。18KRG(直径42mm)。5気圧防水。448万円。問ロジェ・デュブイ Tel.03-3288-6640

Cal.RD680
マイクロローター自動巻きの上にクロノグラフ機構を重ねたムーブメント。オフセットした4番車に垂直クラッチを噛ませるというモダンな設計を持つ。振り落ちの少ない垂直クラッチは、マイクロローター自動巻きには向いていよう。自動巻き(直径31mm、厚さ6.3mm)。42石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約52時間。

Cal.RD680の展開図。普通の自動巻きクロノグラフと異なり、マイクロローターをベースにすればクロノグラフ機構のスペースをムーブメント全面に割くことができる。ただし、ロジェ・デュブイはあえてローターを見せ、対してクロノグラフ機構をコンパクトにすることで審美性を高めた。らしからぬほど頑強な設計が見て取れよう。

 また、仮に脱進機を軽くできなくとも、爪石とガンギ歯のアタリを厳密にすれば、性能を上げることは容易だ。現行のショパールやロジェ・デュブイ、パネライなどが、こういった例に含まれるだろう。

 ともあれ技術の進化は、かつて奇手でしかなかったマイクロローターに市民権を与え、今やコンプリケーションのプラットフォームにさえ進化させた。今後ますます、各社は薄型化と複雑化という両立させるのが難しい方向を選ぶだろう。そして、その際の切り札となるのは、間違いなくマイクロローターとなるはずだ。