9000円から数百万円まで! ISHIDA新宿に見る、時計専門店の奥深さ

FEATUREその他
2021.12.17

時計専門店ISHIDA新宿のディープさが際立つ5階

ISHIDA新宿 モーリス・ラクロア

モーリス・ラクロアの販売本数日本一を2年連続で達成したISHIDA新宿。その影響力の強さは、大ヒット作アイコンシリーズのみならず、マスターピースの在庫本数が物語る。

 間口の広いISHIDA新宿を象徴するのが5階だ。販売される時計の価格帯は9000円から300万円まで。もともと「G-SHOCKの聖地」と謳われたISHIDA新宿だけあって、今なお店頭には250本ものG-SHOCKが並ぶ。改装によって高級感を増したものの、G-SHOCKへの過剰とも言える力の入れ方は、時計専門店として初めてG-SHOCKを扱ったISHIDAならではだ。また、モーリス・ラクロアは2019年度、20年度の販売本数が日本一。大ヒット作のマスターピースがここまでそろう店も珍しい。

ISHIDA新宿 5階

ISHIDA新宿の魅力を凝縮したような売り場。グランドセイコーのような高価格帯時計と、ブローバのような機械式時計のエントリー価格帯、そしてG-SHOCKまでが所狭しと並べられる。

 他にもグランドセイコー、ティソ、ハミルトン、ラドー、ノルケインが一堂に会する。同じ価格帯でさまざまなブランドを比較できるのは、ひとつのブランドに特化したブティックにはない個性だ。

 なお、リニューアルをしたISHIDA新宿の目玉と言えるのが、時計専門店の常識を覆すコンシェルジュ制度だ。これは取り扱いブランドすべてを熟知したスタッフが、顧客の時計選びをサポートするというもの。ISHIDA新宿クラスの大型時計専門店であれば、取り扱い本数の兼ね合いからブランド担当制やフロア制を採用するのが一般的だが、各フロアに置かれた約50ものブランドを比較できるというISHIDA新宿の強みを生かすべく、あえて同制度を導入した。顧客が真に求めている商品を提案するためには、ブランドやフロアの垣根を越えた広い視野を持つことが必要、という代表取締役社長の石田充孝氏の想いが表れた制度だ。

 フロアマネージャーである加藤祐子さんのお勧めはエドックスの「クロノオフショア1」、モーリス・ラクロアの「アイコン オートマティック クロノグラフ チタニウム」。筆者のお勧めはブローバの「アーカイブス シリーズ “ミルシップ”」だ。

5階フロアマネージャー 加藤祐子さんが選ぶ5階取り扱いお勧めモデル

クロノオフショア 1

エドックス「クロノオフショア 1」
500mの防水性能を持つクォーツクロノグラフ。価格は控えめだが、エドックスらしい上質なケースは機械式モデルに同じだ。ベゼルには丈夫なハイテクセラミックスを採用する。クォーツ。SS(直径45mm)。500m防水。ISHIDA新宿限定モデル。17万8200円(税込み)。

アイコン オートマティック クロノグラフ チタニウム

モーリス・ラクロア「アイコン オートマティック クロノグラフ チタニウム」
大ヒット作のアイコンに加わったクロノグラフ。2019年、20年とモーリス・ラクロアの売り上げ日本一を記録したISHIDA新宿には、アイコンが一通りそろう。そつないデザインと、しっかりした作りは魅力的だ。自動巻き(Cal.ML112)。25石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約48時間。Ti(直径44mm、厚さ15mm)。200m防水。47万8500円(税込み)。

広田雅将が選ぶ、5階のお勧めは通好みのブローバ復刻版

アーカイブス シリーズ “ミルシップ”

ブローバ「アーカイブス シリーズ “ミルシップ”」
さまざまな価格帯のモデルを、一堂に見られるISHIDA新宿。5階の掘り出し物は、ブローバの復刻モデルだ。1957年のプロトタイプに範を取ったダイバーズウォッチは、風防の形状も50年代風だ。16mmという狭いストラップ幅も雰囲気がある。自動巻き(Cal.ミヨタ83S0)。21石。2万1600振動/時。パワーリザーブ約42時間。SS(直径41mm、厚さ15.42mm)。20気圧防水。8万8000円(税込み)。

5階 フロアマップ

新宿ISHIDA 5階フロアマップ


ネクストヴィンテージを中心に約1500本が並ぶ地下1階

ISHIDA新宿 地下1階

ヴィンテージウォッチを取り扱う地下1階。その本数は約1500にも及ぶ。価格帯はさまざまだが、コンディションに関しては次世代に受け継ぐ時計を標榜するだけあり、いずれも良好だ。

 関東圏に住む時計好きならば、一度は足を運んだに違いないISHIDA新宿地下のセコンドハンドウォッチ売り場。今はネクストヴィンテージを標榜して、次の世代に受渡す価値のある時計にフォーカスしている。その在庫はなんと約1500本。海外からの引き合いが多いのは、並んだ時計と、そのコンディションを見れば納得だ。

 副フロアマネージャーの品川幸康さんお勧めはオーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」。筆者のお勧めはIWC「ポートフィノ」だ。

地下1階副フロアマネージャー品川幸康さんが選ぶのはロイヤル オーク

ロイヤル オーク 15300

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク」
Cal.3120を搭載したロイヤル オークの15300STは、現行品より小ぶりなサイズを持つモデルだ。人気沸騰につき、なかなか見られなくなっているが、ISHIDA新宿の地下1階には1本ある。多様なメーカーの、今は作られていないモデルを比較できるのが、地下1階フロアの大きな魅力である。

広田雅将が選ぶ、地下1階取り扱いお勧めモデル

ポートフィノ

IWC「ポートフィノ」
ベーシックな自動巻きとして愛されるポートフィノ。これは大ヒット作、Ref.3513-026の通称「マーク文字盤」だ。パイロットウォッチを模した文字盤は、今なお魅力的だ。針や文字盤の夜光塗料が傷んでいるモデルが多い中、ISHIDA新宿の地下1階にあるこの個体は、抜群のコンディションを誇る。


オマケ:ISHIDA新宿はマラソンの聖地!?

ISHIDA新宿 マラソン

ヴィンテージがそろう地下1階にあって、異色を放つ新品のマラソンコレクション。セイコー製の自動巻きムーブメントを載せたジェネラルパーパスや、ETA2801を搭載するSSケースのモデルなどが並ぶ。3万円台から買える時計があるのは、ISHIDA新宿の間口の広さの証しだ。

 地下1階には、カナダのミリタリーウォッチメーカーである、マラソンが一通り置かれている。本気のミリタリーウォッチで知られるマラソンは、知る人ぞ知るブランド。まさか、これだけの数が並ぶとは思ってもみなかった。お勧めは、ジェネラルパーパスの手巻き仕様。クォーツもあるが、あえて手巻きでしょう。これを見るためにわざわざ来る人がいるのも納得の品ぞろえだ。


Contact info: ISHIDA新宿 Tel.03-5360-6800
https://ishida-watch.com/store/post/?entry=ishida-shinjuku