【86点】ブライトリング/クロノマット GMT

FEATUREスペックテスト
2012.01.01

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キャリバー04は、ブライトリングの初代自社開発キャリバー01に第2タイムゾーンが加わったマニュファクチュールムーブメントである。
Background Photograph: Fotolia/Sergiy Serdyuk

ダイバーズウォッチの要素を
併せ持ったGMTウォッチ

クロノグラフを作動させるにはまず、プッシュボタンを緩めなければならない。これは、やや面倒な作業である。だが、この方式を採用することで、ブライトリングは、500mという極めて高い防水性を保証することができた。キャリバー04はコラムホイールを搭載し、構造上はクロノグラフの始動時にあまり力を必要としないはずなのだが、ETA7750でよく知られるカム式のクロノグラフに比べ、スタートボタンの押し心地は極端に軽いというほどではない。だが、ストップとリセットの操作はスタートボタンよりもスムーズである。
リュウズも、操作の前に緩めなければならないが、刻み目の付いた扱いやすいリュウズがこの動作を楽にしてくれる。ムーブメントの巻き上げは、緩めただけの、通常のポジションで行う。リュウズを1段、引き出すと、時針を1時間刻みで合わせることができる。このポジションでは、日付も時針に連動して前後に修正することが可能だ。日付早送り機能のように即座にというわけにはいかないが、それでも十分、手際よく日付を修正することができる。しかも、旅先で新しいタイムゾーンに切り換えるのは極めて簡単である。リュウズの2段目のポジションでは、GMT針を合わせることができる。第2タイムゾーンは、パイロットにとって非常に有益な機能である。しかも、ストップセコンド機能の恩恵により正確な同期が可能なので、まずは航空指示に関するすべての表示が行われるUTC(協定世界時)にGMT針を合わせておき、その後で1段目のポジションに戻して時針を現地時刻に合わせればよい。

回転ベゼルもコックピット内での作業を軽減してくれる。離陸時にベゼルのゼロポイントを分針に合わせておけば、後で正確な離陸時刻を記録することができるからだ。さらに、有視界飛行方式によるフライト時は、すでに何分、飛行しているか、また、事前におおよその通過時刻を算出しておいた特定のランドマークに到達するまでにかかる時間を簡単に知ることができる。ダイバーズウォッチと同じように、クロノマット GMTのベゼルも一方向にしか回せないように設計されている。逆回転防止ベゼルは、パイロットウォッチとしては特にメリットではないが、高い防水性を備えていることから、クロノマット GMTはダイビングにも利用することができる。ベゼルには240もの細かい噛み合いがあり、回転時にはやや耳障りな音がするが、回し心地は軽く、遊びなく確実に設定することができる。
ベゼルと並んで好印象なのは、バックルに内蔵された細かく調節できるエクステンションである。これも、ダイバーズウォッチ以外ではほとんどお目にかかることができないディテールだ。エクステンションは、それほど長く延ばせるわけではないが、ストラップを手首のサイズにぴったりと合わせることができる。短く調整する場合は、時計を外す必要はない。ストラップの端部をバックルに押し込むと、ストラップとバックルが少しずつ噛み合うのが感じられる。延長するにはバックルを開き、内
側にあるストラップの固定部を下方に押せば、ストラップを再び引き出すことができる。

2個のセーフティーボタンを備えたフォールディングバックルは極めて美麗である。また、操作も簡単で、卓越した加工品質を備えている。穴付きのラバーストラップは
この時計との相性が良く、パイロットウォッチとしてよりも、どちらかと言えばスポーツウォッチのような印象を与えている。しなやかなストラップと、細かく調節できるエクステンションにより、威厳たっぷりのサイズと200gというかなりの重量にもかかわらず、クロノマット GMTの装着性は驚くほど良好である。だが、47mmという、今日の傾向から見てもかなり巨大なケースは、ぐらついたり滑ったりしないように、手首のサイズにきちんと合わせて着用する必要がある。